ep77 キースの先輩
「あの、人を訪ねて来たんやけど......」
「はい?」
「ウチはアミーナ。キース・スチュアートの友人なんやけど、彼は今ここにおりますか?」
「......キースの友人?アミーナ......そうか、君がキースの言っていた可愛い彼女か!」
男は笑顔で答えた。
「か、カノジョちゃいますよ!...ほんで、キースはおりますか?」
「彼はいないよ?」
「そ、そうですか...」
「......もし良ければ、少し話でもしてかないかい?」
「え?」
「おっと、自己紹介がまだだったね。僕はロナルド。キースからも僕の事は聞いていたんじゃないかな?」
「ほんならあんたがロナルド先輩か!」
「ハハ。会えて嬉しいよ。さあ、少しゆっくりしていきなよ?」
「えっと...でもキースがおらんなら......」
「アミーナ」
ここでコーロが口を挟んだ。
「ん?お連れの貴方はアミーナさんのご友人ですかね?」
男は薄く微笑みながら訊いた。
「そうです。なのでお言葉に甘えて、少しゆっくりさせていただきます」
コーロはロナルドと同じように薄く微笑んで答えた。
「コーロおにーちゃん?」
「アミ。ユイ。行こう」
「わかったわ(......何か考えがあるのね)」
三人はロナルドに促され、二階の個室に案内される。
「どうぞ皆さん。そちらにおかけになっていてください。今、何か飲み物を持ってきますから」
そこはロナルドの執務室だった。
部屋の奥には事務机があり、入り口側の手前には背の低いテーブルを囲むように来客用のソファーがあった。
彼らはソファーに座ると、アミーナがキョロキョロと部屋を見回しながら質問する。
「コーロおにーちゃん。なんでわざわざ?」
「アミ。ユイ」
「なに?」
「なんや?」
「ここ、何かにおうんだ。なんかこう、うまく言えないんだが。こう......」
「やっぱり何かを感じたのね。私にはわからないけれど。でも、コーロがそう感じたのなら、きっとそうなのね」
「それって、ブラックファイナンスに繋がる何かってことなんか?」
「ハッキリとはわからないが、何か良くないものに繋がっているというか......。とにかく、探ってみる価値はあると思う」
「わかったわ」
「うん」
飲み物を取りに部屋を出たロナルドは、別の人間に何かを伝えていた。
「彼らが来た事をすぐに本部に。いいか?すぐにだ」
「わかりました。ではノラクロウ(魔鴉)を出します」
......
バサバサバサッ!
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