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導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
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ep71 懸念

「で、具体的にどうやって取り返すのですか?」

 ミッチーがコーロの肩にストンと乗って真面目に質問した。


「まずは、状況を整理しよう」


 一同はそのまま作戦会議に移行する。


 コーロは再び椅子に座ると、闇の魔力を纏わせて、じっくり考えながら話し始める。

「......ざっくりまとめると、キース君がブラックファイナンスの詐欺に遭い、奴らにアミーナの金ごと騙し取られた、ということだよな。

 でさ?俺はこの世界のことはまだよくわかっていないが、こういうのって、たぶん警備局?に駆け込むべき事案だよな?」


「ええ」

 ユイが答える。


「でもさ?ブラックファイナンスはおそらくこんな事は他でもたくさんやってるだろ?

 しかもこれは相当悪質だ。もちろん案件ごとに程度の差はあるんだろうけど。

 つまり、何が言いたいかというと、今までだって警備局に駆け込んで来る奴は何人もいたはずなんだ」


「確かにそうね」

「せやな」


「でもどうだ?俺とユイがここ数日間タペストリの街で黒猫調査をして、その流れでブラックファイナンスについての話は何度も聞いたが、悪い話はひとつもなかったよな?

 悪い噂すら微塵もなかったよな?むしろ評判は良かったぐらいだ。こんだけ悪質な事をやっていながら」


「そういえば、そうね...」

 ユイは思案しながら呟く。


「そこでひとつ重大な懸念が生まれる」


「懸念?」


「それは、どの程度かはわからないが、警備局はブラックファイナンスに買収されているんじゃないか?ということ」


「そ、そんなん、あかんやん!」


「つまり、ブラックファイナンスに関する事件は揉み消されてるって事だ。

 もちろん、だからといって警備局の人間全員が全員買収されている訳ではないだろうけど。

 その証拠に、警備局の機能自体は正常だった。ここ数日、街を歩き回ったけど、特に治安が悪いって訳でもない。

 つまり警察機能は正常に働いているんだ。となると、一部かあるいはもっと多い連中が買収されてるってことになる」


「そ、そんなん、どーしよーもないやんか......」


「だから、警備局の買収されていない信用できる人間に接触できればベストなんだが」


「なるほどね。ねえコーロ?」

「なんだ?」


「あなたの力でそれは見抜けないの?」

「どうだろう。俺の力は心を読める訳ではないし、それは難しいと思う」


「となると、私達だけでブラックファイナンスと一戦交えるしかないのかしらね?」


「だが、奴らのボス、ブラックキャットがどこにいるのかも、奴らの正確な規模もわからないからな。いくらユイが勇者だからといっても、街中で暴れ回る訳にもいかないだろ」


「そうよね。ならどうすれば......」


「でもまず最初にやらなければならない事は......」

「?」

「?」


「キース君を探す事だ!」


「キースを?探すんか?」


「なぜなら、奴らと直接関わったことのあるのは彼だけだ。彼に聞けばブラックファイナンスについて何かしらわかるかもしれない」


「キース......」

「アミーナ?大丈夫?」


「いや、会わんとあかんよな...。会わんとあかんねん...」


「なあ、アミーナ。キース君は家にいなかったんだよな?どこにいったかもわからないんだよな?」


「うん。おばさんも知らんみたい」


「キース君のお母さんは警備局に行ったのか?」

「まだ行ってへんかったけど。でももう行っとるかもしれへん」


「じゃあ急いだ方がいいかもな」

「それはどういう意味?」


「もし、買収された警備局の人間がキース君を迎えに行ったら......あまりよくない展開になるかもしれない」

 コーロは言葉を選びながら慎重に言った。


「では、まずキース君を探すことからね」

「ああ。だが、彼の顔を知っているのはアミーナだけだから...」


「ええよ!ウチも一緒に行く!」

 アミーナは力強く協力の姿勢を表した。


「...よし。じゃあ早速キース君捜索プランを立てよう!」


 その時。

 コーロ達が集まっていたアミーナの部屋のドアを、コンコンとノックする音が鳴る。

 当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

 感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

 気に入っていただけましたら、今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

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