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導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
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ep57 明日はギルドに

 結局、初日の黒猫調査は、これといった収穫を得られずに終了した。

 

 コーロはベットに座り、疲労を滲ませて言葉を漏らす。

「やっぱり、アミーナになんとか返してもらえるようお願いしてみようかな......」


 コーロの周りをフワフワ漂いながらミッチーはチクリと言った。

「またまた弱気モードですか?」


「...まだ一日目だけどさ。あまりにも途方がない気がして。付き合ってもらってるユイにも悪いというか」


「では、明日はギルドのクエストに挑戦してみるのはいかがでしょう?」


「ギルドか。せっかく冒険者登録したんだしな。そもそも自分でお金稼ぐためだったんだし」


「そうですよ。脱ヒモ生活です!」

「マジでその言い方やめてくれ...。むしろユイさんに失礼だぞ」


「ところでコーロ様」

「なんだ?」

「アミーナさんは戻っていらっしゃるんですかね?」


「どうだろう?姿を見ないから今日はこっちにはもう戻らないのかもな。むしろその方がいいかも。報告できるような情報もないし。アミーナからずけずけ質問されても困るし」


 コーロは部屋の灯りを消し、ベッドに仰向けになった。

 天井を見つめながら、明日再びギルドに訪れる事を想像して少しワクワクした。

 だが、すぐに眠りの海へと沈んでいった。


 翌朝。


 コーロは目を覚ますと、顔に何かが乗っているのに気づいた。

 手に取ると、一冊の本だった。

「ミッチー!?」


「あ、おはようごいますぅ、コーロさまぁ」

「おまえどこで寝てるんだ!?」

「ワタシ寝相が悪くて......すいませぇん」

「寝相のレベルかそれ!?」


 コーロは朝支度を終えると、ユイの部屋の扉をノックした。

 ドアが開くと、すでに外出準備の整った姿のユイが立っていた。


「おはよう。コーロ」

「おはよう。ユイ」


「今日もタペストリに行くのね?」


「いや、今日はまずギルドに行って、クエストに挑戦してみようと思うんだ」

「そう?ならそうしましょう」


「ということなんで...ご指導ご鞭撻のほど、よろしくおなしゃす!」


「な、なに?いきなり?」

「先輩冒険者のユイさんなんで」


「そういうことね。なら、私が先輩として、厳しく、指導してあげるわね!」


「えっ」

「どうしたの?」

「ユイみたいな真面目な人の言う「厳しく」って、なんか怖いんだが......」


 コーロは社会人なりたて時代の新人研修に臨むような一抹の不安を抱えつつ、ユイと共にギルドに向かい出発した。

 朝食中、コーロはユイから、参考になればと過去の冒険者活動の話を聞いた。

 なので、彼は昨日ギルドで受けた説明と合わせ、すでに大体のイメージはついていた。

 ところが、いざギルドに着いてみると......


「こ、こんなクエストしか残ってないんですか!?」

 コーロは慌てて声を上げた。


「はい。申し訳ございません。現在は他のクエストはもう......」

「そ、そうですか......」


「コーロ。それでもクエストはクエストよ。達成すれば報酬ももらえるわ」


「だ、だけど、残ってるのって......迷い猫の捜索と野良犬駆除だけなんだが......」


「コーロ。あなたはまだビギナー冒険者よ。文句を言わないの。それにどんなクエストでも、そこには困っている人がいて、そのクエストを達成することで人助けにもなるのよ?」


「た、確かにそうだけど」


 コーロは仕方なく迷い猫捜索のクエストを受託し、ユイと共に初仕事に赴いた。

 

「しかし、ギルド初仕事が迷い猫捜索とは、なんだか黒猫調査とたいして変わらないですねぇ」

 ミッチーがコーロの懐から顔をチラリと覗かせた。


「妙な猫被りだよな。いや、俺は猫被ってはいないからな?被ってたらもっとイイ奴だぞ?」


「何を言ってるの?コーロ」

「いや、なんでもない。とにかく、まずは初仕事、しっかりとやりますか!」

 当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

 感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

 気に入っていただけましたら、今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

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