表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
45/160

ep42 契約

迫りくる大怪鳥プテラス...!

 コーロは叫んだ!


「ユイ!アミーナ!待て!」

「え?」

「え?」


 コーロは、ゆっくりと近づいて来る怪鳥に向かい自らも歩き出し、接近した。


「コーロ!?」

「おにーさん!?」

「コーロ様」

 

 くうぅぅぅぅん。


「え?」

「え?」


 なんと、怪鳥はコーロに向かい愛玩動物のような甘い声を発し、懐き始めた!

 コーロが怪鳥の垂れた頭を優しく撫でると、さらに怪鳥は甘い声を出し、すっかりペットのような塩梅で完全に屈服した。


「えーっ!!?」


 一同は仰天する。 


「コーロ!?あなた一体!?」

「おにーさん!?自分何したん!?」


 皆が驚愕の渦に飲まれている中、ミッチーだけは冷静に、己の事のように誇っていた。

「フッフッフ。コーロ様。いよいよ真の暗黒魔導を覚醒し始めましたね......」


 彼は、自分でもよくわかっていなかったが、なぜかそうすべきだと思いそう行動したのだ。


 それから一同はさらに驚愕する。


「ダークウィザード様」


「え?」

「え?」

「え?」


 なんと、屈服した怪鳥から人間の言葉が発せられたのだ!


「...貴方はダークウィザード様ですね?ああ、貴方にお会いするのは三百年振りですね」


「お、おまえ、人間の言葉が喋れるのか?」


「ああ、私の事、お忘れですか?でも仕方ありません。三百年振りですから」


「三百年振り?(ん?それって三百年前の暗黒魔導師の事か?)」


「たとえ貴方様がお忘れでも構いません。私は知らせを受け、ここに参りました。私は貴方様のしもべ。ただ貴方様に付き従いゆくまでです」


「いや、付き従うと言われても......(どう考えてもこんなの連れて行けないだろ...)」


 コーロが怪鳥相手に当惑していると、懐からミッチーが助け舟を出す。

「コーロ様!契約です!契約するのです!」


「契約?」

「主従の契約です!そうすれば、この怪鳥はコーロ様の使役魔となります!」

「使役魔?あ、使い魔ってことか!」

「はい!やり方はわかっているはずですよ!」

「あ、ああ!わかったよ!」


 コーロはミッチーの言葉に従った。

 彼は屈服する怪鳥に向けて右手をかざす。

 そのまま闇の魔力を練り上げた。

 黒い光の波がゆらゆらと立ち昇る。

 

『今ここに、(なんじ)を我が(しもべ)とする。我が名に於いて、汝使役されん事、(やく)(たま)う』


 怪鳥の全身はピカーッ!と黒い波の光に包まれた!


「...ああ、ダークウィザード様。必要とあらば、いつでも私を、お呼びくださいませ...」


 そして光は、怪鳥ごと彼の右手の掌の中にズズ~っと吸い込まれるように消えていった。


「あの~ミッチー。これで良かったのか?」

「バッチグーです!」


「コーロ、あなたって本当に一体......」

「おにーさん!自分ホンマ何者やねん!?」

「え?一応、暗黒魔導師?」

「なんで疑問系やねん!」


「おい、あんたスゲーな!?」

「何者だアンタ!?」

「ひょっとしたら魔王なのか!?」

「そいつはおもしれー!」


 盗賊の襲撃、撃退。

 魔物の襲来、撃退。

 彼らの馬車の旅の最初の晩は、とんだイベントの連続となった。

 だが、突然の二度の脅威を退けた事は、連中の絶好の酒の肴となり、その後は大いに盛り上がった。

 コーロとユイも連中の輪の中に入り(というより入れられて)、宴の夜を賑やかに過ごした。


「ホントにあんたらすげえな!?」

「いや~美人剣士さんには痺れたな~!」

「いやいや、あの魔物を手懐けた兄ちゃんもすげーぞ!?」

「てゆーかその喋る本はなんなんだ!?」

「ホンマおねーさんもおにーさんもごっついわ!ニャハハハ!」


 盗賊どもは縛り上げられたまま、アミーナの魔法により眠りに落ちていた。


 じきに宴会は終わり、皆、寝支度に入った。

 コーロ達も連中から旅の寝具を借りて、草の上に横になった。


 小川のせせらぎと虫の声と草木の細やかなざわめきだけが、夜の音色を奏でていた。

 澄み渡った夜空の星は朗らかに煌めいていた。 

 当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

 感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

 気に入っていただけましたら、今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ