ep39 紙きれ
野宿の中、アミーナと話をしていると...。
「紙?」
「その紙が何なの?」
「この紙、ただの紙やない。見てみい?」
アミーナはいきなり火の魔法で紙を燃やして見せた!
しかし、火中で紙は燃やされることなく、何事もないように原形をとどめている。
やがて炎が消えると、紙は全く元のままの姿を見せた。
「スゴイやろ?これ?燃やしても燃やされへん。さらに破いても破られへん。何してもこのまんまなんやで?一週間前ぐらい?に拾ったんやけど、オモロイから見せ物で最近よう使っとんねん」
「ん?なんか、それ知っているような......」
「コーロ?」
「コーロ様......」
「まさか、ひょっとして......」
「ええ、コーロ様。間違いありません」
「ちょ、ちょっと二人とも何?」
「な、なんやなんや...?」
コーロとミッチーは、声を揃えて叫ぶ。
「それ!導きの欠片だ!!!」
ユイがびっくりして訊ねる。
「これが貴方達が探してるっていう導きの欠片なの!?」
「たぶんそうだろ!?いや間違いないだろ!?なあミッチー?」
「はい!間違いありません!確かにこれが導きの欠片です!」
「なんやなんや!?自分ら何言うとんねん!?」
コーロはミッチーと顔を見合わせ、一呼吸置くと、落ち着いて切り出す。
「あ、あの、アミーナさん」
「なななんや?突然改まって」
「あの~、その紙、俺達が探している紙なんですよ」
「え?」
「その『導きの欠片』は元々この本の一部で、俺達が探しているもので、大事なものなんですよ」
「導きの欠片言うんかこれ?」
「そう。だから、それ、俺達に返してもらえないかな~」
「返す?」
「そう」
「なんでや?」
「いやだから、元々この本の一部で...」
「ふーん、そーなんか」
「じゃあ、とりあえず渡してもらえないかな~」
「イヤや」
「え?」
「だからイヤや言うとんねん」
「いやだからその、それ元々はこの本の一部で」
「タダで返すんはイヤやもん」
「いや、だから元々はこの本の一部...」
なぜかアミーナはむっつりとして頑なに導きの欠片を渡そうとしない。
ここで、ミッチーがしびれを切らして叫び出した。
「...こんの泥棒猫娘がぁ~!!なんですか?キャッツアイ気取りですか?木更津にでも行っちゃいなさい!!」
「だ、誰が泥棒猫娘や!?人聞き悪いこと言うな!」
「ならさっさと渡しなさいな!」
「タダで渡すんはイヤやもん!!」
「盗っ人猛々しいとはまさにこの事!!ちょっとユイ様もなんか言ってください!」
「わわ私?うーん。ねえアミーナ。またお金払えってことなの?」
「いや、そーとも限らんけど」
「じゃあどうすれば渡してくれるの?」
ユイが問いかけると、アミーナはうーんと言いながら腕を組んで考え始めた。
とその時、コーロは何かの気配を感じ取る。
ーーーなんだ?何か嫌な感じがする。これは......害意!何者かが、俺達を狙っているーーー
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