表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
41/160

ep38 アミーナ

猫娘の乗る馬車に乗り、一行は西のキャロル公国へと向かう。

その途上、夜になり、野宿をすることになる。

 優しく流れる小川のほとりの草原には、所々に数本ずつの大小の木が生い茂っていて、適度な風よけとなっていた。

 川から少し距離を空ければ、乾いた短草の絨毯が柔らかく広がっていた。


 猫娘は器用にも灯りから火から魔法で代用して、野宿の潤滑な実現を促していた。


 連中は陽気だった。

 大声で笑う者。歌を歌う者。客前ではやらないふざけた芸を披露する者。

 静かな小川の傍で、焚き火を囲んで用意した食事と酒をやりながらどんちゃんやっていた。

 連中とは少し離れて、コーロとユイは別に火を()べて座っていた。


「スゴイわね。これ相当進んだと思うわ。しかも揺れも通常の馬車と変わらないし」

「あのネコの子、ホントにすごいんだな」


「ねえコーロ」

「ん?」


「確か、導きの欠片を探すと言っていたけれど、それって何なの?」


「ああ、それは...それがないと俺は何のためにこの世界に来たのかもどうやって元の世界へ帰ればいいのかも何もわからないんだ」


「そうなのね。で、それがキャロルにあるの?」

「いや、ていうか......」


「じゃあなぜキャロルに......」

 言いかけて、ユイはレオルドが自分にキャロルに行く事を勧めたのを思い出した。

 それを(コーロ)が聞いていたので、自分のためにそうしてくれたんだということに彼女は今更気づいた。


 ユイは口を噤んでコーロの顔をじっと見つめた。

 コーロはユイの心境に気づかず、じっと見つめてくるユイに何となく気恥ずかしくなり目を逸らすと、突然ジャケットの懐からミッチーが飛び出して来た。

「ああっ!もう狭苦しいのカンベンです!!」


「ミッチー!?いきなり飛び出して来るなって!」


「もう!さっきから何二人でちちくり合ってるんですか!ワタシも混ぜてくださいよ!」


「何言ってんだおまえ!?ちちくり合ってないわ!」

「ちちくり?」

「あ、えっと、ユイさん。そこは掘り下げなくていいから...」


 三人がぎゃーぎゃーとやっていると、猫娘が驚いた声を上げて駆け寄って来る。

「そ、それなんや!?本が喋っとる!?魔法か!?」


「あ、えっと、これは......」

「どうも、ご挨拶遅れました。ワタシ、ミッチーと申します!」


「うわ!ホンマしゃべっとる!」

「おい!ミッチーおまえ!」


「コーロ様!別に隠すことでもないでしょう?ねえ?ユイ様もそう思いません?」

「え?私は...」


 仕方なくコーロは猫娘に簡単に事情を説明した。(魔物の森の一件については一切何も言わず)


「異世界から来た?それどこや!導きの書?それなんやねん!なんやよーわかれへんけど...そんなんあるんや~ニャハハ!」

 猫娘はケラケラ笑いながら不意に、

「せや!まだ名乗ってなかったわ!ウチはアミーナ!」

 思い出したように名乗った。


「俺はスヤザキユキミチ」 

「私は勇...じゃない、ユイリスよ」

「ミッチーです!」

 コーロ達も応じた。


「スヤザキのおにーさんと、ユイリスのおねーさんと、ミッチー...ね。よろしくな!」


「ああ、よろしく」

「よろしく」

「よろしくお願いします」


「にゃはは。あ、お二人さんにはオモロいもん見せてもろうたから、ウチもオモロイもん見せたるわ」


「オモロイもの?」


「これや!」

 アミーナはおもむろに懐から一枚の紙きれを取り出した。

 当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

 感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

 気に入っていただけましたら、今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ