ep26 暗黒魔導師と勇者
迫り来る勇者ユイリス...!
一方、ユイリスは暗闇の森を駆けていた。
真っ直ぐに、湖の方へ、コーロ達のいる方へ...!
「あっちから、闇の魔力を感じる...!おそらくこの魔法の......このまま突き進んでいって術者を...!」
「...はっ!」
エルフォレスは気づく。
ユイリスが迫って来ている事に...!
「...来ている!私達の方へ...」
「エルフォレス様?」
「スヤザキ様!何者かが迫って来ています!」
「え、この暗闇の中で...」
コーロが言いかけた時、彼の眼前に一筋の光が出現した!
「えっ??」
刹那、光は彼に向かい剣の一撃を放つ!
傍らでミッチーが叫ぶ!
「コーロ様!!!」
ガキィィィィン!!!
「防がれた!?」
「スヤザキ様!」
すんでのところで、エルフォレスがコーロの前に『妖精の盾』を発動し、光の剣撃は防がれた!
が、その衝撃でコーロの暗黒魔法が解かれてしまう!
「あっ!」
森を覆う漆黒の闇が解かれた!
視界が戻る!
森は元の緑豊かな自然の姿に戻ってしまった!
コーロの眼前には、勇者が立っていた。
ユイリスの眼前には、暗黒魔導師が立っていた。
「あ、貴方は...人間?なぜ人間が?それとも魔族なの?」
ユイリスはコーロに向かって言った。
「お、女の...剣士?」
コーロはユイリスに向かって言った。
互いが互いの姿に驚きを隠せない。
コーロにとっては、異世界で関わる、異世界での最初の人間だった。
ユイリスは、相手の予想外の人間の姿に一驚していたが、その横を見てさらに驚愕する!
「貴女は、妖精主!?」
エルフォレスはユイリスに視線を送り言葉をかける。
「その聖なる力。貴女は勇者様ですね?」
ユイリスの頭にはエヴァンスの言葉がよぎり、
「これは幻術...ではないのか?」
問いには返答せず、すぐに彼女は勇者らしく、コーロ達に向かい自らを名乗った。
「私は勇者ユイリスだ!討伐軍の一員として参った!そして妖精主殺しの...」
ここまで言うと、ユイリスは改めてエルフォレスに視線を注ぎ、疑念に駆られる。
ーーーこれは本当に幻術なの?私にはそうは見えない。でも、それなら、妖精主は生きているの?それに、一緒にいる人間?魔族?の男はなに?ーーー
エルフォレスとコーロを交互に見やり、思案を巡らす勇者ユイリス。
その様子を見て、エルフォレスが諭すような声で語りかける。
「勇者ユイリス様。貴女ならわかるはずです。わたくしは幻術ではありません。確かに生きています。そして貴女の本当の敵はこの森の魔物達ではありません」
「妖精主様?やはり貴女は、本物の妖精主様なのですか?」
「わたくしは本物です。妖精主エルフォレスです」
「本物...なんですね。...では本当の敵とは一体...」
その時、突如、コーロが叫んだ!
「エルフォレス様!!」
瞬間、森の影から突然ガサっという音が鳴る!
直後、得体の知れない人影がビュッと飛び出して来て、エルフォレスに向かい飛びかかった!
「ああっ!!」
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