表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 魔物の森編
23/160

ep21 相見

一方、ヘンドリクス討伐軍は。

 まだ仄暗(ほのぐら)い早朝。


 朝景色の肌寒い空気の中、約一千の人員を要する討伐軍は、当初の予想通り、魔物の森の南から、戦力を分散する事なく、真っ直ぐに迫っていた。

 前日夕方、すでに討伐軍はヘンドリクス王国北端の村に到着していた。

 そこで最後の休息を取ると共に最終的な準備を整え、黎明過ぎには出立していたのだった。


「しかし、本当にこんな馬鹿正直な進軍で良いのかね?」

「さあな。だが副騎士長マイルス様の命令だからな」

「優秀なあの人がそうしろと言うんだから間違いはないのだろう」

「森が見えて来たぞ」


 副騎士長マイルスを先頭にして、一歩後ろにエヴァンスとユイリスを率いた討伐軍は、森の南端部分の手前の草原で一旦進行を停止した。

 草原の先には深碧(しんぺき)の壁のように森が奥深く広がっている。

 (にわか)に討伐軍がどよめく。


「おい!あれは......」

「森の守護獣だ!」

「それと横には......お、おい!?あれは妖精主じゃないのか!?」


 ユイリスもその予想外な光景に驚きの声を上げる。

「これはどういうことなの!?」

 

 なお、エルフォレスは木の精霊を使役し、その力であらかじめ討伐軍の正確な位置を把握していた。

 そこを多勢の来客を招き入れる森への大きな入口とし、いわば森への大きな玄関先に出て、レオルドと共に待ち構えていたのである。


「大体......千ってところか?何とも言えねえ数だな」

「そうですね」

「こんぐらいならオレがまとめて今やっちまうか?」

「いけませんよレオルド。それでは意味がありません。それに勇者様もいるのですよ?」

「わかってるよ。ジョーダンだよジョーダン」


 エルフォレスは、討伐軍全体をしっかりと確認すると『妖精の声音』を使い、大きく声を響き上げる。


「ヘンドリクス軍の皆様!わたくしは魔物の森の妖精主エルフォレスです!

 わたくしはこのように生きています!こちらのレオルドはわたくしや森を守ってくれる守護獣です!

 他の魔物達は皆弱く大人しい者達です!この度の事件は大きな誤解をはらんでいます!

 さあ、矛をお収めください!真に倒すべき敵はここの魔物達ではありません!」


「どういうことなんだ!?」

「妖精主は生きているぞ!?しかも横にはあの守護獣が!」

「誤解ってなんだ!?真の敵!?」


 兵士達は当惑して騒ぎ出した。

 馬上のユイリスも同様に困惑する。


 ユイリスは先頭に出てエルフォレスの呼びかけに「それは...」と返答しようとするが、遮るようにエヴァンスが馬上から叫んだ。

「皆さん!あれは幻術です!本物の妖精主ではありません!我々を撹乱するためです!賢者である僕の目は誤魔化せません!」


 ユイリスが「エヴァンス?」と疑問を表すも、続けざまに副騎士長マイルスも馬上から叫んだ。

「そういう事だ!お前達!決して騙されるなよ!我々の任務は魔物どもを討伐する事だ!」


 兵士達のざわめきは変化する。


「なんだ!そういう事か!」

「賢者様とマイルス様が言うんだ、間違いない!」 

「さすがは賢者様だな!」


 ユイリスは多少戸惑ってはいたがエヴァンスの事を信じていたので、彼の認識に従った。


 一連の様子を目撃してエルフォレスは、わかってはいたものの冷静に嘆息した。

「やはりこうなりましたか...」


「となると、黒幕はあの男か?」


「それはわかりません...。

 それよりレオルド。早速作戦に入りましょう。

 できれば私の呼びかけに応じて欲しかったのですが......仕方ありません」


「ああ。それじゃあおっ始めるとするか!」

 当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

 感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

 気に入っていただけましたら、今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ