ep19 魔物の森にて
場面は移り、魔物の森。
~~魔物の森~~
妖精主エルフォレスにより、潜在する闇の魔導を解放されたコーロは、それから一週間、魔物の森の結界内でエルフォレスにより魔法の指南を受けていた。
同時に、この世界についての大まかな説明も受け、やっと彼も地に足をつけ始めていた。
「なあミッチー?」
「どうしましたか?コーロ様」
「普通は『魔開の儀』を行ってから初めて適性がわかるんだよな?」
「そうですね」
「じゃあおまえは、なぜ俺が魔法を使う前から暗黒魔導師だとわかってたんだ?」
「そうでしたっけ?」
「そうだよ!覚えてないのか?」
「そういえば確かに......はて?なぜでしょう?」
「おまえはホントに......結局、魔法の詳しい事もこの世界の事も直接にはほとんどエルフォレス様が教えてくれたんじゃないか」
「ですねぇ?」
「...もういいや。とにかく、討伐軍からこの森を守って欠片を集めれば全てがハッキリする訳だからな」
「あら、コーロ様。ついこの前まではやたらとグズグズしていたのにずいぶんとたくましくなって...ワタシ、嬉しい限りですよ!」
「グズグズって言うな!いきなりこんな所連れて来られて訳わからなかったんだから仕方ないだろ!」
「あらあら、相変わらず仲睦まじいですね」
「あ、エルフォレス様。って仲睦まくはないですよ!」
「ちょっとなにテレてるんですかコーロ様?」
「テレてないわ!」
「フフフ。それではスヤザキ様。その様子だともう暗黒魔法にも大分慣れてきた様ですね」
「は、はい!見ての通りで...!それにこの服...黒のタイトな上下に濃紫のロングジャケット?これを着ると魔力が安定します。すべてエルフォレス様のおかげです!」
「とんでもありません。それは貴方の資質と才能です。
そしてその服はかつてのダークウィザード様が置いていった闇の衣。
再びこの地を訪れた新たなダークウィザード様にお渡しするのは必然です。
やはり貴方は、正真正銘のダークウィザード様です」
「あ、いえ、そんな...アハハハ...」
「ちょっとコーロ様、ちょっと褒められたからってチョーシに乗らないでくださいよ?それとエルフォレス様を見る目がちょっとエロいです」
「う、うるせえ!それとそんな目では断じて見てないぞ!」
「フフフ。スヤザキ様。わたくしはむしろ嬉しいですよ?」
「ちょっとエルフォレス様!からかわないでください!」
「フフフ。失礼しました。ところで......」
エルフォレスは急に神妙な顔つきになる。
「スヤザキ様。ミッチー様。先ほどフェアリーネットワークからの情報で、本日、討伐軍が進軍を開始したようです」
「え?進軍てことは......」
「はい。いよいよその時がすぐそこまで迫って来たということです。そしてその時とは、おそらく三日後になるかと」
魔物の森はヘンドリクス王国の北に位置し、どの国にも属さず、魔王の干渉も受けない緩衝地帯となっていた。
森の北、東、西にかけては険しい山脈に面している。
よって、討伐軍の進軍は南側方向のいずれかからとなるが......。
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