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導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
153/160

ep147 恋のダークナイト

 夜になり......


 就寝前。

 皆、各々の部屋に戻り、それぞれの時間を過ごしていた。


 コーロは、スピ~スピ~とすでに爆睡しているミッチーを横に、寝間着でベッドでくつろいでいた。

 そんな時、ふいに部屋の扉がコンコンと鳴った。

「ん?」

 彼はすっと立ち上がると、入口に向かいドアをガチャッと開ける。


「アミ?」

「コーロにぃ」


 そこには寝間着の猫娘が立っていた。


「どうしたんだ?」

「...ちょっと、入ってええ?」

「...?いいけど?」


 アミーナはコーロの部屋に入ると、ベッドの上にちょこんと座る。


「どうしたんだ?」

 コーロが訊ねると、アミは手でベットをトントンと叩いた。

「横に座れってこと?」


 アミーナは無言でコクンと頷く。


 コーロはアミーナの隣りに座る。

「えっと...何か話があるのか?」


「......あんな?ウチな?コーロにぃとユイねぇに助けてもらったお礼がしたくてな?」


「そんなの別にいいんだけどな」


「それじゃウチの気持ちがおさまらへん」

「そうか」


「うん。ほんで、コーロにぃにはこれがええと思うて」

「これ?」


「その......ほら、前にコーロにぃがウチの耳と尻尾触りたい言うてたやろ?せやから...」


「えっ」


「せやから......思いっきり触ってもええよ!!」

 アミーナは顔を真っ赤にして叫んだ。


 コーロはびっくりしながらも猫好きの血が騒ぎ、横にしおらしく座るアミーナの獣耳と尻尾をまじまじと見た。

「......い、いいのか?アミ」


「......え、ええよ。せやけど、優しく...な?」


「わ、わかった...」

 コーロは猫娘の獣耳と尻尾を凝視しながら、そっと手を伸ばす。

 が......


「......ハッ!」

 付近に殺気を感じ、パッと入口に振り向いた。


「ゆ、ユイ!?」


 そこには、寝間着姿のユイが、悪魔のような眼をギラリと鋭く光らせて立っていた!

「......ねぇコーロ。一体何をしているの?」

 彼女の形相は、勇者というより魔王に近かった!


 コーロは伸ばした手をサッと引っ込めて、浮気現場を押さえられた夫のようにあたふたとし始める。

「え、えっと...いつ入って来たんだ?」


「私の質問に答えて」

 有無を言わさぬユイの声。


 コーロはなぜか自分が悪い事をしたような心持ちになり、拍車をかけて狼狽(うろた)える。 


「い、いや、その、これは、違うんだ!そういうのじゃなくて!その...」


「そういうのって...なんのこと?」


「いや、だから、その......

(それ答えたら絶対ダメな地雷質問だろ!どうする?そうだ!話を逸らそう!)

 ...てゆーか、ユイさんは何しに来たのかな~??」


「わ、私は、その、寝る前に、ちょっと話がしたくて......じゃなくて!質問してるのは私よ!」


「あっ、そ、そうですね~!アハハハ...」


「ユイねぇ!これはただのお礼やねん!」

 アミーナが口を挟んだ。


「お礼?お礼で何をするのコーロ?」

 ユイは止まらない。


「えっと、その、あの......ああ、もうこうなったら...『ダークナイト』!!」


 闇が一気に辺りを包む!

 部屋は漆黒に覆われた!


「ちょっとコーロ!?」

「コーロにぃ??」


 コーロは闇に紛れて修羅場からトンズラする!


「コーロ!待って!」

「コーロにぃ!」


「スピ~スピ~」

 コーロのただ一つの救いは、もっともこの手の事件が大好物そうなミッチーが、ひたすら爆睡ブッこいてくれていた事だろう。



 さて......


 新たな仲間を加え、新たな旅立ちを迎えることとなった主人公・須夜崎行路。

 だが、彼らの旅はまだ始まったばかり。

 やがて、世界に渦巻く大いなる陰謀が、否が応にも彼らを巻き込んでいくことになる。


 彼らに待つ運命、宿命は、果たしてどのようなものなのか。

 異世界に導かれし暗黒魔導師の本当の闘いは、これから、始まる......。

いよいよ次回、

西のキャロル編、完結...!

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