表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
147/160

ep141 公爵

 選択に迷い行動しかねる三人。

 とその時、


「お前ら何をしている!!」


 カイソー達の背後から、別の警備隊員達がそれ以上の数をもって現れた。


 振り向くカイソーと警備副長。

「...なっ!」

「...あんたは、コリンズ局長!」


 部隊の先頭中央にはコリンズ局長が立っていた。

 さらに...


「お前は...キース!」

「貴方は...ガブリエル公爵!?」


 コリンズ局長の後ろからキースと、コリンズよりも年配と思われる整えられたロマンスグレーの髪が印象的な、いかにも高い地位にある風貌の貴族が現れた。


「カイソー!もうお前の好きなようにはさせない!」

 キースが勇ましく声を上げた。


「ブラックファイナンス部長カイソー。それに悪徳警備副長とその部下ども。もうお前達はお終いだ。

 そして......お久し振りでございます。勇者ユイリス様」

 ガブリエル公爵は、カイソー達に蔑むような目つきを向けてから、ユイに視線を移して穏やかに微笑んだ。


「......ガブリエル公爵。お久し振りです」

 ユイは勇者らしく改まって挨拶を返した。


ーーーーーー


 タペストリ警備局。

 最上階、局長室応接間。


 背の低いテーブルを囲んだソファーに、コーロとユイとアミーナは並んで腰掛けていた。

 正面には、警備局長コリンズとガブリエル公爵、側面にはキースが座っていた。


 コーロ達は、以前から密かにコリンズとガブリエルがブラックファイナンスを捜査していた事を明かされた。

 彼らの経緯を端的に説明するとこうだ。

 局内の誰が買収されているのか特定できない上に、ブラックファイナンスの拠点はいつまでも掴めない。

 捜査は難航...。

 そんな困り果てていた所で今回の事件が起き、ここぞとばかりに検挙に乗り出した...

 とのことだった。


 とはいえ、あまりにも迅速な対応だったといえるだろう。

 それを実現できたのには理由がある。


 それは、コリンズ局長が、それまでの断片的な情報から、例の公園付近の地域が怪しいと踏んでいた事が大きい。

 くわえて、ブラックファイナンスの直接の被害に遭ったキースの情報と、キースがかつての友人だったブライアン・スチュアートの息子で、ブライアンはガブリエル公爵の親友でもあった事が、大胆な検挙の実現を後押ししたのである。 


「我々は、ブラックファイナンスにはずっと手を焼いておりました」

 コリンズ局長が言った。


「しかしまさか、魔王を倒し世界を救った勇者ユイリス様が奴等を押さえてくださるとは......まったくもって感謝の限りです」

 ガブリエル伯爵がしみじみと謝意を表す。 


「いえ、ガブリエル公爵。私よりも彼の力が大きいのです」

 ユイは丁重にコーロを示した。

「キースさんのお話からもあったと思いますが、ブラックファイナンスの不正を暴いたのは彼ですし、奴等の本部を見つけ出し叩く事ができたのもすべて彼の力によるものです」


 公爵はコーロに視線を移し、まじまじと彼を見た。

「スヤザキ様。本当にありがとうございます」


「あ、いえ、そんな!とんでもございません!」

 コーロは予想外の貴族からの深い感謝に恐縮する。


「ところで......」

 ここでガブリエル公爵は急に改まり、話を切り替えようと重々しく口を開いた。

「勇者様」


「はい?」


「少々申し上げにくい事なのですが......」

「...!」


「......ボヤかしてもしょうがないので単刀直入に申します」

「はい...」


「森の妖精主殺害事件の犯人として国を追われているというのはまことですか?」

 当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

 感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

 気に入っていただけましたら、今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ