表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
146/160

ep140 ブラックボックス

 コーロは、ベッドにそっと横たわったままのミッチーを見ながら口を開いた。

「ミッチーの奴、ずっと寝てるな。一体どうしたんだ?」


「......ひょっとしたら昨日の事が関係あるのかしら......」


「昨日の事って?」


 ユイは昨日、ミッチーに傷を治してもらった事、ゲアージとの戦いの際に弾丸を防いでもらった事、キースへの弾丸も防いだ事を説明した。


「そんな事があったのか......」

「それはミッチーの魔法なんか?」

「どうなのコーロ?」


「いや、俺もわからない。というか、ミッチーが魔法を使っているところ自体見たことない」


 コーロはミッチーを不思議そうに眺め、一度ふぅっと息を吐いてから、表情を引き締めて話を切り替えた。


「ユイ。アミ」

「なに?」

「なんや?」


「俺......これからタペストリの警備局に行こうと思う」


「!」

「ホンマ!?」


「ああ。キース君は任せてと言ってたみたいだけど......ブラックファイナンスの不正を暴いたのは俺だ。つまり、俺の能力で何か役立てる事があるんじゃないかって」


「コーロ!」

「おにーちゃん!」


「それに、なんかバタバタして忘れちゃってたけど......」


 コーロはおもむろにベッドに向かい両手をかざすと、魔法を唱えた。


『ブラックボックス』


 ブウゥゥゥン...


 黒き闇の光とともに、ベッドの上に黒いアタッシュケースのような箱が出現した。


「なにかしら?」

「なんやそれ?」


 コーロはパカッと闇のアタッシュケースを開いた。


「それは...」

「金塊!?」


 コーロは金塊を一つ掴むと、アミーナに見せながらニイッとした。

「全部でちょうど、額にして一千金貨分はあると思う。一応フロワースにも確認してもらったからな。アミとキース君が取られた金額分って訳だ」


「...フロワースとは金庫で戦ってたんじゃないの?」


「そのすぐ後、アイツと休戦して金庫から出る時に急いで持って来たんだ」


「......おにーちゃん!!」


 コーロはアミーナを見て頼もしく微笑んだ。

「これはアミとキース君、二人の努力を合わせたモノだろ?だからキース君にも渡せないと意味がないからな」


「コーロ...」

 ユイはコーロにじいっと視線を注いだ。その眼差しの奥には淡い花の色彩がゆらめいていた。


「おにーちゃん!!」

 アミーナはコーロの胸にバッと飛び込んだ。

「コーロおにーちゃん!コーロにぃ!」


 コーロはあやすようにアミーナの肩をよしよしと優しく撫でた。


ーーーーーー


 支度を整えると、すぐに三人は宿屋を出た。


 宿屋沿いの通りを歩きながら、コーロはジャケットの懐にしまった本をチラッと覗く。

「いつになったら起きるんだコイツは……」


 そこへ…


「お前らぁ!!」


 彼らを呼ぶ怒声が路上に響く。

 

「あれは...」

「...まさか、ブラックファイナンスの...カイソー!」

「と、警備局の人もおる!」


 いつの間にか三人の進路の先には、ブラックファイナンス部長カイソーと警備副長、そして無数の警備隊員が立ち塞がっていた。

 連中はダダダッと駆けつけ次第すぐさま三人を包囲する。


「お前ら......ただでは済まさんぞ!!!」

 憎悪に目を燃え上がらせて怒鳴るカイソー。


「大人しく連行されてもらおうか、勇者様」

 血走ったイヤらしい目をたっぶりとユイに注いで凄む警備副長。


 カチャッ


 警備隊員達が彼らに魔動銃を向ける。


「どうする?」

「こんな街中で警備隊員相手に戦うのは...」

「逃げるしかないんか...でもキースが...」

 当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

 感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

 気に入っていただけましたら、今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ