ep137 僕の戦い方
屋敷一階。
緊迫の広間。
きょどきょどするアミーナ。
「あ、あの人達はブラックファイナンスに買収されとらんのか？ホンマどーなんや？ウチらどうすりゃええねん...」
ここで、意外な人物が意外な提案をする。
「あ、あの、アミ。それにフロワース警部。ぼ、僕に任せてもらえないかな？」
「え？？」
キースの方へ振り返り疑問の声を揃えるアミーナとフロワース。
「警備局長が相手なら貴族とも......そ、その、とにかく、僕が話せると思うから！」
キースは確固たる表情で言った。
アミーナは心配そうにキースを見つめる。
「キース？どーゆーことなん？」
「ごめん、アミ。今は説明してる暇はないよ。とにかく後は僕に任せて、二人は行って！」
キースは、おおよそキースらしからぬ有無を言わさぬ強い口調で言い放った。
ゆえに、彼の覚悟がアミとフロワースにもよく伝わった。
さらにキースはフロワースに向かい付け加える。
「フロワース警部。貴方のボス、スラッシュさんに言われたんだ。お前にはお前の戦い方があるって。だから......僕は僕の戦い方でみんなを守る！」
「スラッシュさんが君に？......そう、ならわかったよ。それじゃ猫娘さん、行くよ」
「え？ホンマにキースを残して行くんか？」
キースがアミーナを見てはにかみながら答える。
「大丈夫だよアミ。て言っても、今の僕なんかを信じられないよね」
「そ、そんな事は！」
「いいんだよ。でも、だからこそ...僕に任せて！さあ！アミはもう行って！」
「猫娘さん、行くよ」
「ほな、キース、任せるで？信じてええんやな？」
「ああ。僕を信じてアミは行って！」
キースは力強く微笑んだ。
フロワースとアミーナは視線を交わして頷き合うと、奥の階段までひとっ跳びタンタンタンと駆け上る。
「待て！」
警備隊員が二人に向け一斉に銃口を向ける。
しかし、
「待ってください！」
キースが両手を上げて叫んだ。
「コリンズ局長！」
そのままキースは警備局長に呼びかける。
「何だ？」
コリンズはいぶかしげな視線をキースに向ける。
キースは、意を決した目を強く光らせた。
「コリンズ局長。僕はキース・スチュアート。ブライアン・スチュアート伯爵の息子です！」
コリンズ局長は思わず目を大きく見開いた。
「......ブライアン・スチュアート伯爵の、息子だって！？」
......このすぐ後、外にいた警備隊員達は、屋敷から飛び立つ翼の生えた巨大な魔物の姿を目撃する。
バサ～バサ～バサ～！
「お、おい！あれはなんだ！？」
「ま、魔物だ！！」
「屋敷から魔物が、飛び立って行く！？」
ビューーーーーン！！
「な、なんだったんだ？あれは......」
......
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