ep136 包囲
屋敷一階広間。
フロワースは倒れたブラックキャットに近づき、生死を確認するように屈みこむ。
「......ダメだね。まったく余計な事を...」
キースは目の前の惨劇にただ呆然と立ち尽くしていた。
アミーナも同様だったが、瓦礫のように横たわるブラックキャットに哀れむような眼差しを向けながら口を開いた。
「......コイツも、可哀想な奴やったのかなぁ。酷い奴やったけど......」
そこへ...
「動くな!!!」
タペストリ警備局警備隊の連中が銃を構えて現れた!
「お前達は何者だ!」
数はざっと五十名以上はいるだろうか。
十名ばかりが三人に向け銃を構えて屋敷に立ち入り、残りの者は外から包囲するように立っている。
「この辺りから何度も爆撃音が鳴り響いている事が確認されている!それについ先ほどの光も何だ!?お前達の仕業なのか!?」
「な、なんやこの状況、ヤバないか!?」
焦るアミーナ。
「で、でも悪いのはブラックファイナンスだよね!?ぼ、僕達もマズイのかな!?」
狼狽えるキース。
「はぁ...。しょうがない」
フロワースは溜息をつくと、両手を上げながらスタスタと前に出て行き、弁解の舵を切る。
「ボクはタペストリ警備局のフロワース警部ですよ?」
「フロワース警部!?でもこんな所で何をしているんだ??」
「何をって......それは...」
「待て!そいつは本物の警部じゃない!」
銃を構えた警備隊員の後ろから声が響くと、グレーのスーツにネクタイ姿の、風格のある中年の男がすっと現れた。
「私はタペストリ警備局、警備局長のコリンズだ」
「...!これはまさか、警備局長が出てくるとはね」
まさかの警備局長の臨場にフロワースも面を食らわされる。
コリンズ局長は、積み重ねた経験を滲ませる眼で三人それぞれにじっくりと視線を運んでから、迫るように問答を開始する。
「おそらくここは、ブラックファイナンスの本部ではないのか!?だが、見たところ君達はブラックファイナンスではないな?」
「ほう。ここがブラックファイナンスの本部だと推測できるんだね?コリンズ局長」
フロワースが答える。
「...私は半年前からずっと奴らを捜査していた。だが、内部事情もあり中々進まなかった。それでも今まで得た断片的な情報を総合すれば、そうなる」
「なるほどね。でももうすべては終わっちゃったよ。ほら」
フロワースは体を反らし、横たわるブラックキャットを指し示した。
「そ、それは...!?」
「ブラックキャットさ。もう死んでいる」
「君が殺したのか?」
「違うよ。ボクら以外の誰かに、ね」
その時、コーロとユイとスラッシュの三人は、屋根の上から警備局の立ち入りを視認していた。
「これ、マズイんじゃないのか?」
「よろしくはないわね」
「あ~めんどくせーなぁ」
「逃げるか?でもアミ達は下にいるのか」
「なら私が勇者の名前で...」
「ダメだ!買収されてる奴らだったらどーする?」
「ここで待ってりゃいーんだよ。まっ、軽く捻ってやってもいいが、ユイリスちゃんとの約束もあるしな。アイツらもすぐここに来るって。そしたらズラかりゃあいい」
「そんな簡単なもんか?てゆーか約束って..」
「わ、私達も助けに行かないと!!」
ユイはコーロの言葉を遮るように言った。
「大丈夫さ。フローもいるしな。まっ、オレ達は逃げる準備だけしときゃいい」
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