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導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
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ep134 再会と最後

「キース......」

「ア、アミ......そ、その、僕...」


 微妙な距離を保つ二人。

 しかし...


「キース!」

「あ、アミ!?」


 アミーナはキースの胸に勢いよく飛び込んだ。

 

「ごっつ心配しとったんやで!?でも無事で良かった!ホンマに...!」


「アミこそ無事で良かったよ!アミが攫われたって聞いて、心臓が止まりそうになるぐらい心配だったんだ!」

  

 開いてしまっていた距離を、埋め合わすように抱き合う二人。


 やがて再会の抱擁を終えると、キースが懸命に口を開く。

「...アミ!本当にごめん!全部僕のせいだ!僕のせいでアミに酷い目を!」


「ううん。悪いのはブラックファイナンスやろ?確かにキースは甘かった。でもそれはウチも同じや。だからそこまで自分だけを責めんといて、な?」


「で、でも...!!」


「ううん。ちゃうねん。そんな自分を責めるキースを見てるとウチがツラいねん。せやから、な?」


「ア、アミ...!!」

 キースは腕で溢れ出る涙を拭った。


 アミーナは大きな瞳を潤わせながらエヘヘと優しくはにかんだ。

 コーロとユイは二人をあたたかく眺めながら穏やかに視線を交わして頷き合った。


 キースは涙を流し終えると、大事な事を思い出したようにサッと濃紫のジャケットを脱いでコーロに差し出した。

「スヤザキさん。これ、ありがとうございました」


 コーロは軽く会釈してジャケットを受け取り、バサァっと着衣した。

 そこへ...


「コーロ様ぁ!!」 


 ユイとキースの間にフワフワ漂っていたミッチーがコーロのもとへ飛び込み、もぞもぞとジャケットの懐へ潜り込んだ。

「やはりコーロ様のここが一番落ち着きます。えへへ」


「ミッチー...」

 嬉しいような困ったような複雑な表情を浮かべるコーロ。


 ところが、コーロはすぐにギョッとした。

 なんとミッチーが「スピ~スピ~!」と即爆睡に落ちたのである。

「どんだけマイペースなんだ......ある意味鋼のメンタルだな...」


 コーロは、相変わらずどころかそれ以上の能天気ぶりのミッチーに唖然としつつ、何気なくジャケットのポケットをまさぐると、ハッとした。


「フロワース!」


 コーロはポケットから取り出したナイフをフロワースに向かってピュッと投げる。

 フロワースはパシッと片手でキャッチする。


「なんだ。そのままスヤザキさんに差し上げてもいいのに」

 フロワースは巧妙な笑みを浮かべた。


「ふざけんな!二度と狙われてたまるか!」


 さて......


 いよいよ本当に為す術が無くなったブラックキャット。

 彼の前には、暗黒魔導師と勇者、銀雷の処刑人と氷の暗殺者。

 この期に及んで手負いの彼に何ができようか?


 ブラックキャットは奇妙に沈黙しているが...

ーーー屋敷内にはまだ術式が残っている。ここで『トリックラビリンス(偽造迷宮)』を使いその隙に逃げればーーー

 ...決断する。


『マイルス。傀儡を解け』

『...もうよいのですか?』


『勇者も仕留められていない上に厄介な奴まで現れた。今の状況では勝ち目はない。撤退する』


『ということは、貴方はまたゼロからやり直すという事ですか?』


『仕方ない。だが必ず復讐してやる。お前らにも協力してもらう』


『なるほど、わかりました。ですが傀儡を解くことはできません。なぜなら、これは傀儡ではありませんから』


『...?どういう意味だ?』


『もう貴方に利用価値はありません。変に足がつく前にお引き取り願いましょう』


『何を言っている!?』


『光栄に思ってください。これはエヴァンス様からお教えいただいた、勇者様すら操られた魔法ですから』


『なに!?』


 突然、ブラックキャットはプルプルと震えながら、銃を握っている手をググググッと自分のこめかみの辺りまでゆっくりと持ち上げた。


「なんだ!?」

 コーロ達は一斉にブラックキャットへ視線を集中する。


 彼は自身の手に握られた凶器の銃口を、自らのこめかみにピタリとくっつける。

『裏切る気か!?マイルス!キサマぁ!!』


「チッ!バカ猫が!」

 スラッシュが雷の疾さで行動の阻止に動き出す!

 が、


 バーン!


 ほんの僅か、間に合わず。

 引き金は引かれた。

 ブラックキャットの目は、たちまちに生命の色を失った。


ーーーこんなところで、オレは奪われてしまうのか......奪い続けて来たオレが...こんなところで......いや、奪い続けて来たからこそ...奪われて終わるのか......オレはーーー


 彼の頭部から、彼が今まで奪ってきたものが、一気に吐き出されるように噴出する。

 ブラックキャットは、無惨にもあっけなく、その場にドサァッと沈んだ。

 赤い絨毯を、赤黒く染めて......。

 当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

 感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

 気に入っていただけましたら、今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

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