ep124 干渉
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氷漬けの金庫内。
ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!
怒涛のナイフ攻撃。
フロワースの執拗な攻めにギリギリかわしながら防戦一方のコーロ。
ーーーくそっ!フェーズチェンジする暇を与えてもらえない!それにフロワースは速い...というより動きに無駄がない!隙もない!間違いなくフェーズチェンジしないと勝てない相手だ!何か状況を打開する手はーーー
ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!
「貴方の勘の鋭さは本物だ。死角からの攻撃もしっかりかわす。それに氷面でも滑らない。能力なのか?本当に何者なんだ?」
「......くっ!」
コーロは退がりながら必死に攻撃をかわし続ける!しかし...
ピシッ!
「うっ!」
フロワースのナイフが徐々にコーロの身体をかすめ始める!
ーーーこのままじゃマズイ!こうなったらーーー
コーロは突如、後ろの壁に向かって跳んだ!
「!」
一瞬、僅かにフロワースとの距離が開く。
その刹那、
『ダークシールド』
魔法を唱える!
そこから闇の盾を構えたまま、三角飛びでフロワースに突っ込んだ!
ガンッ!!
フロワースは両腕片膝で防御したが、勢いで後ろに吹っ飛ぶ。
二人の距離が明確に開いた!
「よし!」
コーロはフェーズチェンジをはかる!
だが、それはさせまいとフロワースはすぐさま体勢を立て直し魔法を...
「アイシクル...ん?なんだ!?」
唱えない!
急に謎の違和感を覚えたフロワースは魔法を中断する。
それはコーロにとって、充分な間!
「フェーズチェンジ。『フェーズ:トープ』」
ブワォォォン!
シュウゥゥゥゥ......
コーロの身体から発する闇の魔力の密度が一気に濃くなる。
フロワースの対角線には、闇深まりし暗黒魔導師が立つ。
「......まあ、しょうがないね。それにしても......あの違和感は......ん?これは...」
フロワースのまわりに白く小さく煌めくものが見えた。
「......これは精霊!?誰がどこから?」
その輝きの正体は、風の精霊。
金庫外から扉に向かい、アミーナが精霊魔法を唱えていたのだ。
ーーー外からで意味あることできるかわからへんけど......相手の気いちらすだけでもええ!やるだけやったる!ーーー
フェーズチェンジを果たしたコーロもその輝きに気づく。
「あれは......アミーナの精霊魔法!...そうか!アミーナが外から精霊魔法で干渉して隙を作ってくれたんだな!
「外から精霊魔法で干渉?そんなことができるのか?物理的に密閉された上にボクのアイスドームを越えるなんて......あの猫娘も何者だ?」
冷静なフロワースも驚きを隠せない。
「フロワース。ここからが本番だ」
闇を深めたコーロは、仕切り直すように言い放つ。
「......貴方方は本当によく分からない人達だ。まあ、だからといってボクは揺るがないけどね」
フロワースはナイフをクルッと回し、それまでの微笑を薄めた。
再び構える二人。
フロワースは明らかに凄みの増しているコーロに警戒を強める。
コーロは完全に暗黒魔導師たる落ち着きを取り戻し、相手をじっと見据える。
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