ep123 戦いの行方
「さて、お喋りはここまでにして......そろそろ殺りましょうか、スヤザキさん」
フロワースは両手のナイフをクルクルっと回し、目に見えて殺気を深めた。
コーロはぬかりなく暗殺者を見やりながら、『フェーズチェンジ』に入る。
「フェーズチェ...」
「させないよ」
転瞬、フロワースは二本のナイフをコーロに向けてヒュンと投げた!
ナイフは一直線にコーロの心臓と頭部を目掛けて風を切る!
「くっ!!」
コーロは身体をヒラリと反転して避ける!
直後、フェーズチェンジに...
「フェーズチェ...」
「だからさせないよ」
入れない!
すでにフロワースが一瞬の内に間合いを詰め、コーロに肉薄していた!
その両手には新たなナイフが冷たく光る!
余裕の表情でフロワースは息つく暇なく攻め立てる!
「くそっ!」
「いつまでもつかな?」
一方、コーロとフロワースの戦いの最中。
アミーナは金庫前の閉ざされた扉の前で右往左往していた。
「やっぱりアイツ、アカン奴やった!
ほななんでウチは助けた?コーロおにーちゃんを油断させるため?なんでおにーちゃんを狙う?
ブラックキャットの仲間ではないやろし...わからへん!
とにかく、中は絶対ヤバイことになっとる!おにーちゃんを助けんと!でもどうやっても開かんし!
何か...何か...ウチにできること、ウチにできることは......!!」
その頃。
地上の公園には、ある者が降り立っていた。
「これはまた......中々派手にやり合ってるみたいですねぇ。......ん?あれは......」
「ぐぅ......あ、あいつは......」
氷の尖りに串刺し状態のブラックキャット。
すでに全身が元の人の姿に戻ってしまっていた彼は、満身創痍に呻く中、ふいに自分に近づいて来る者に気がついた。
「......どうも、ブラックキャット社長。これは随分と惨憺たる状況ですね」
「......マイルス、遅いぞ」
「これでもすぐに戻ってきたつもりだったんですが」
「......まあいい。貴様...オレをここから出せるか...?」
「......できなくはないですが、この氷を解いた途端、貴方が死んでしまうかと」
「......では、貴様の傀儡魔法とやらで......なんとかできんか」
「......よろしいんですか?」
「構わん......どの道他に方法はなかろう...」
「わかりました」
「......それともうひとつ」
「?」
「...転がっている部下達を、魔人形にしろ......」
「......それは、彼らにトドメを刺せと言っているのと同義ですが」
「ああ。やれ」
「...さすがは破滅の黒猫を名乗るだけある。わかりました。やりましょう。しかし、全員分は難しいですかねぇ?それに即席だと...」
「いいからまずはさっさと...オレを出せ...」
「...わかりました」




