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導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
127/160

ep121 金庫

ーーーーーー


「ここは......」


「ここに隠し扉があります」

 フロワースに案内され、一行は隠し扉の前にいた。


 そこは屋敷内一階、フロワースが指定したある部屋の壁の一箇所で、魔法迷彩の施された扉が隠されていた。


「この扉...俺が侵入した時に見つけたヤツだ。あの時はブラックキャットの魔法で邪魔されたが」


「......ほう。ちなみにスヤザキさん。この扉、どうやって見つけたんですか?」


「あ~なんだろ。俺は、戦闘中で他に集中が削がれている時でもなければ、これぐらいのものなら俺の眼で見抜けるみたいなんだ」


「...なるほど」

「フロワース警部もこういうのはすぐ見抜けるのか?」


「......まあ、ボクの場合は経験から来る勘とでもいいましょうかね」

「ふーん?」


「とにかく参りましょう」

「よし」


「......」

「...アミ?どうかしたか?」


「...い、いや、なんでもあらへんよ!ウチは一番後ろからついていくわ。なんやコワくて。にゃはは......」


「なんだアミ?オバケでも出ると思ってんのか?」


「にゃははは....」

 アミーナはぎこちなく笑った。


「では皆さん。行きましょうか」

 フロワースが扉をギイっと押す。 

 すると、薄暗い奥に地下への階段が見えた。


「ここからおそらく地下三階ぐらいの深さまで(くだ)ることになりますが、ボクについて来てください」

 フロワースを先頭に、三人は階段を(くだ)った。


「さあ、後はここから少し進むだけです」

 階段を下り終えると、そこから、大人三人分ぐらいの幅の通路が続いていた。


 彼らはそのまま、壁に埋め込まれた薄暗い魔動ランプが照らす通路を道なりに進んでいく。


 やがて通路の終わりが見えてくると、突き当たった壁の側面側に、いかにも厳重堅牢な扉が現れた。

 扉は、なぜだか妙にひんやりとした冷気を放っている。


「ここです」

 フロワースが示した。


「これは、金庫か?」

 コーロが訊ねる。


 フロワースは会釈した。

「そういうことです。ではスヤザキさん。先頭をどうぞ」


「俺?」

「いわば勝利の立役者ですからね。この奥はゴールみたいなものですから」


「わかった。でもこれ、鍵とかかかってないの?」

「それなら、ボクの方でなんとかしときましたから大丈夫です」


「そっか?じゃあ遠慮なく行かせていただきますか。アミ、いよいよだな!」

 コーロはアミーナに向かって勝利の表情で言った。


「...う、うん」

 アミーナはなぜか表情を曇らせた。


「......さっきからどうしたんだアミ?疲れてるのか?」

「そ、そんなんちゃうけど...」


「スヤザキさん。アミーナさんは捕まっていたんですよ?疲労していて当然です」

 フロワースが笑顔でフォローするように言った。


「確かにそうだよな。よくよく考えたらアミは昼間から捕まってたんだもんな。でも、それもこれでやっと取り返せるってもんだ。じゃあ早速俺から行くぞ」

 コーロは扉に向き直ると、その最後の重々しい仕切りをズズズズッと押し開けた。

 すると...


「あれは......金塊か!しかも物凄い量だぞ!」


 そこは天井の高い大きな地下倉庫のような空間だった。

 倉庫内中央を大きく空けてぐるっと囲むように壁際へ設置された棚には、ぎっしりと積まれた金塊が魔動ランプに照らされキラキラと輝いている。


「そうか。お金を金塊に変えてここに保管していたんだな。確かにこれなら足もつかないよな。ましてや偽造魔法の幻影に隠れた屋敷の隠し扉の先にある地下倉庫だもんな」


 コーロは広い室内へと足を踏み入れる。

 フロワースも続く。


 最後にアミーナが室内へ足を伸ばそうとした時、フロワースがクルッと振り返った。

「猫娘さんは外でお待ちを」


「え?」


 フロワースはいきなり片手でドンと猫娘を通路へ突き飛ばした。

 勢いでアミーナがドンッ!と壁に激突して床へ尻餅を着いている間に、フロワースは扉をズズズッと閉めた。


「な、なにするんや!?」

「何してるんだ?」


 コーロが振り向き、アミーナが外側から扉に手をかけたその時、フロワースが魔法を唱える。


『アイスドーム(氷の要塞)』


 ガキィーーーーン!!!


 なんと、二呼吸と数える間に天井、壁、床が一気に氷漬けとなり、金庫内は閉ざされた氷の洞窟と化した!

 当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

 感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

 気に入っていただけましたら、今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

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