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導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
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ep118 コーロの想い

 ......場面は戻り、

 ブラックキャットは俄に冷や汗をかき始めていた。


ーーーこの男、強い!......認めざるをえない!間違いなく相当な使い手だ!クソッ!完全に見誤っていた!まさか勇者の従者がこれほどとは......こうなればーー!


 ドガァァァァァァン!

 ドガァァァァァァン! 

 ドガァァァァァァン!


 またしても連続の爆撃音が響く。

 それも二人からかなり距離が近い位置で。

 そのはず、今度の爆撃は猛獣に狙いを定めたもの。

 猛獣どもが、コーロの『ダークスパイラル』を見て怯み固まっていたところへの不意の一撃だった。


 これで、残り五頭の猛獣達も皆、沈んだ。

 残すは大黒狐のみ。


「コーロおにーちゃん!!これであとは黒狐だけやで!!」

 上空からアミーナが叫ぶ。


「助かったぞアミ!プテラス!」

 コーロが称賛するように明るく答える。


「ニャハハ!」

「我が主の命のままに」


 彼は改めてブラックキャットに向き直りギロリと睨みつける。

「ブラックキャット!あとはお前だけだ!アミとキース君から騙し取った金を返してもらうぞ!」

 

 追い詰められている現状を理解したブラックキャットは、呼吸が乱れ始めていた。

「ハァ、ハァ、ハァ......クッ。貴様如きに...キサマ如きがオレから奪うのかぁ!!」

 苦痛と苦悶に汗を滲ませながら必死の形相でブラックキャットは怒鳴った。


 相手を見据えるコーロの視線は一切ブレない。

「奪ったのはお前だ!」


 ブラックキャットは怒りに身を震わせながら眼を血走らせる。

「キサマ如きに...キサマ如きに...オレがここまで来るのに、どれだけ奪われ、どれだけ地の底を這いずり回ってきたのかわかるかぁ!!

 ......オレは二度と奪われぬよう、奪う側になった。そのオレから、キサマ如きが奪っていいはずなどない!!オレは奪う側なんだぁ!!」


 ブラックファイナンス社長ブラックキャット。

 彼と対峙し、言葉を交わしながら、コーロの胸中には様々な想いが去来する。


 アミーナのこと。

 キースのこと。

 仲間に裏切られたユイのこと。

 転移前の...自分のこと!


「......お前の過去に何があったかは知らない。お前がどんな物を奪われてきたのかも知らない。 

 でも、だからといって、お前がアミとキースから奪っていい事にはならない!!」


「......オレは弱者から奪っただけ。奪われた奴が弱かっただけだ。かつてのオレもそうだった。弱い(ゆえ)に奪われた。

 だが今は違う。オレは奪う者となった。オレは奪われた分の何倍も奪う!オレには奪う権利がある!!これは世の中の摂理だ!!」


「どんな過去や理由があろうと、他人の積み上げた努力を理不尽に奪っていい権利なんてない。

 世の中の摂理?フザけんな!!アミとキースから奪ったものを返せ!...アミーナの努力を返せ!!!」

 

 アミーナは、上空から獣の耳をピンと立てて、コーロの言葉を聞き、胸を熱くする。

「......コーロおにーちゃん!!」


 ブラックキャットはグルルルと唸りながら、痛む足をグッと踏み締め、攻撃態勢に入る。


ーーー奴に隙があるとすれば......オレが追い詰められていると思っていること。実際、それは事実。であるならば...逆にそれを利用する!ーーー


 ブラックキャットは、何かを呟いたかと思うと、グッと地を蹴り、ダッと突進した!

 負った傷をものともせず、痛々しい傷口から血を(ほとばし)らせながら!

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