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導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
122/160

ep116 コーロの思惑

『ダークシャドウ』


 コーロは闇の影となって霧散し、猛獣どもから攻撃をかわしつつ、

 

 ブウゥゥン


 猛獣達の上空に現れる!

 そのまま次撃に...


「ダークア...」

「死ね」


 移れない!

 コーロの背後斜め上辺りからの空間からブラックキャットがぬうっと現れ、大黒狐の凶暴な爪を突き立てる!


「『ダークシールド』!」


ガキィィィン!!


 コーロは瞬時に背後へ闇の盾を発動し攻撃を防ぐ!が...

 大黒狐の攻撃の圧力で前方に吹っ飛ばされる。

「くっ!」

 ダッと着地するも、続けざまにまた一頭の猛獣が側面から彼を襲う。


「『ダークウィップ』!」


 ビシィビシィビシィビシィビシィ!!!


「ギャウゥゥッ!!」


 コーロの手から放たれた闇の鞭の連撃が、上下左右遠近前後と自在にしなり、猛獣の皮膚を肉ごと切り裂くようにとらえる!

 無惨に切り刻まれた猛獣は横向きにドサリと崩れ落ちる。

 

「一匹仕留めたか......ん!」

 言葉を吐く暇を与える間もなく、またしても無数の火の玉が彼を襲う!


「『ダークシールド』×3」


 が、咄嗟に闇の盾を複数発動し、なんとか防御する!


「...まったく、少しは休ませてくれよ」

 コーロがそうボヤいた視線の十メートル先には、ブラックキャットが立っていた。


「すばしっこいやつだな...(...この男の異常な感の鋭さはなんだ!?攻撃を予想しているのか?というより......オレの死角からの攻撃に対しても全て直前に察知しているような、そんなふうに見える。一体何なんだコイツは......)」


 ブラックキャットは戦闘を追うごとに、コーロに対する警戒心を募らせる。


 一方、コーロはブラックキャットと相対しながら若干やきもきしていた。

ーーーアミーナの奴どうした?なぜプテラスに撃たせない?テキトーにぶちかませって言ったのに。これじゃ余計に戦闘を長引かせてしまうぞ?ーーー


 距離を空け、互いにそれぞれ思いを抱え、睨み合う両者。

 次第に残りの猛獣どもも離れた距離を保ちつつ四方に集まってくる。

 一同、先ほどまでの目まぐるしい攻防が嘘のように動きを止める。

 とその時、


 ドガァァァァァァン!


 爆撃音が一帯に鳴り響く。

 

「!!」


「よし!」

 コーロはニヤける。


「なんだ?どこに撃っている?あの方向、屋敷でもないところに...なぜだ?」

 疑念を抱くブラックキャット。


 おもむろにコーロはブラックキャットに向かい声を上げる。

「ブラックキャット!(...少し時間を稼いでみるか...)」


「......なんだ」


「お前は、ニセモノの破滅の黒猫だよな?じゃあ一体、本物の破滅の黒猫はどこにいる?」


「...貴様如きがそれを知ってどうする?」

「俺の仲間がその人に会いたがってるみたいでね」


「貴様の仲間如きがあの方に会えるはずなどないわ」

「...お前も知らないんだろ?本物がどこにいるのかは」


「貴様には関係ない」

「......」


 会話が止まると再び...


 ドガァァァァァァン!


 先の一発とは別の方向から爆撃音が鳴り響く。


「なんだ!?何をしているのだ!?(...何か妙だ...)」

 疑心が不審に変化し始めるブラックキャット。


ーーーよし!その調子だ!アミーナ!プテラス!ーーー

 コーロは悟られぬよう(かす)かに頷く。

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