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導きの暗黒魔導師  作者: 根立真先
異世界の章:第一部 西のキャロル編
115/160

ep111 フェーズシステム

 コーロは敵前にも関わらず、スッと両腕を下げ、まるで諦めでもしたように両目を閉じる。


「なんだ?ついに観念したか?」

 ブラックキャットはニヤリと笑う。


 そのままコーロは魔法を唱える。

「フェーズチェンジ...『フェーズ:トープ』」


 ブワォォォン!


「...なんだ!?」


 突如、コーロの身体から黒き闇の魔力がブワァッと膨張したかと思うと、直後にバチィンと弾ける!

 そして...


 シュウゥゥゥゥ......


 弾けたと思った闇の魔力が、今度は彼の全身を包むようにギュウッと収縮する。


 コーロはゆっくりと目を開く。

「......ブラックキャット。ここからが本番だ」


 一驚していたブラックキャットはすぐに表情を切り替えて(というより隠して)薄ら笑いを浮かべる。

「何をしたか知らないが......この期に及んで頭がどうかしてしまったか?(......なんだ?さっきよりも魔力が上昇している?それに......)」

 

 コーロは闇の魔力を(ほとばし)らせながら、自らに確認するように回想する。

 ......


ーーーーーー

 

ーーー闇の魔力は強力強大...。


 俺の頭と心にはその事がまるで刻印のように刻まれている。


 そう。

 それは妖精主の神殿で、寝台の上、胸に導きの書を置き、エルフォレス様によって闇の魔導を解放されてから......。


「...スヤザキ様。暗黒魔法をお使いになる際はくれぐれもお気をつけくださいね」


「闇に呑まれないように、ですよね」


「はい。ですので、普段はできるだけ『フェーズ:グレイ』でいてください。そして、来たる討伐軍との戦いにおいては、まだ『フェーズチェンジ』はしないでください。たとえ何が起ころうとも、です」


「はい」


「ですが、この先もっと闇の力が馴染んできたならば、その時は、相手の力を見極めた上で...」


「フェーズチェンジする、ということですね」


「わたくしが知っている事は、あくまで三百年前にダークウィザード様から聞いたお話。

 しかし、わたくしは実際に彼の戦いをじかに目の当たりにしています。

 あの方は本当に凄かった。

 歴代のダークウィザードでもっとも暗黒魔法を使いこなしたのではないかとも言われています。

 あるいは魔王以上に。実際、あの魔王ですら彼には一目置いていましたからね」


「魔王も、ですか!?」


「現代魔法においては、伝説の天才魔導師マウルマリーが史上最高の魔導師と謳われていますが、そのマウルマリーすらも三百年前のダークウィザード様には畏れを抱いたそうです。そして彼女ならば暗黒魔法についてさらに......うっ!?」


「ど、どうしたんですか??」


[...失礼しました。何でもありません。(彼女についてはこれ以上語れないようですね......)」


「でも、本当にすごいですね......魔王と伝説の魔導師の両方に勝るとも劣らぬ暗黒魔導師......その人が開発・考案・システム化したのが...」


「フェーズシステムです」


 ......フェーズシステムとは、暗黒魔法を、その強大な闇の力を段階分けし、次のようにシステム化したものだ。


フェーズ:グレイ

フェーズ:トープ

フェーズ:フリント

フェーズ:レイブン

フェーズ:ブラック


 上から下へ徐々に闇が濃くなっていくイメージだ。

 最後の『フェーズ:ブラック』に至ると、その力は魔王のそれと同等以上のものとなる...らしい。

 ただ、『フェーズ:ブラック』に移るには『鍵』が必要で、それについては俺が『同期』した導きの書には無く、エルフォレス様も知らないーーー


ーーーーーー


『フェーズシステム』により、当初からコーロは暗黒魔法の安全な行使を実現している。

 まるで、かつてのダークウィザードが、異世界から来た彼のために用意していたかのように...。


 そして今、コーロは『フェーズチェンジ』し、『フェーズ:トープ』となった。

『グレイ』から『トープ』への移行は、魔法の威力、使用できる魔法のバリエーション等、暗黒魔導に飛躍的な変化をもたらすことになる。

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