ep104 敵の本拠地
いよいよ、主人公=暗黒魔導師の出番...!
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ユイ達が戦闘を終える数刻前。
コーロは、バサ~バサ~と荘厳に羽ばたく大怪鳥プテラスに跨り、上空から夜のタペストリの街を見下ろしていた。
「た、高い......やっぱり、コワイ...!......でも、スゴい。まるで剥き出しのジェット機にでも乗っているみたいだな......!」
眼下に広がる景色、絶え間なく当たる風、ビュオオオという風切音、それらは決して地上では味わえないもの。
ここに来てコーロは、自分は今、まさしくファンタジーな異世界にいるんだと強く実感する。
「これぞ異世界......なんて悠長なこと言っている場合じゃないわ!てゆーかもうすでに魔法も見てるし何なら自分でも使ったし!......気を取り直して、本来の目的を!さて......エルフォレス様!」
コーロは手に持った一本の羽根に向かって呼びかけた。
「スヤザキ様。そこからもう少し北西に進んでください」
「わかりました!プテラス!北西だ!」
「承知」
バサ~バサ~バサ~!
タペストリ市の夜空を力強く羽ばたく大怪鳥プテラス。
彼らの姿はまるで暗黒より来たりし闇の使者のよう。
「スヤザキ様!一旦停止を!」
「プテラス止まれ!」
大怪鳥プテラスはある地点の上空で停止した。
「ここは......大きい湖のある、公園??」
彼らの直下には湖があり、それは公園の中核をなしている。
灯りは乏しく、上空からはまるでそこだけ黒く広がっているように見える。
「ちなみにスヤザキ様。そちらの公園は、現在は公園としては機能していません。何でも、半年以上前にある資産家が当該土地の所有権を特別に取得したとかで、現在は私有地だそうです」
「そこまで調べ上げていたんですか!?一体いつ??」
「先ほどです。フフフ。わたくし、情報戦は得意ですので。...導きの欠片があるとおぼしき地点には公園があり、妖精不動産オンラインから土地情報を洗い出しておりましたところ、そのような情報を発見したのです」
「妖精不動産!?(あ、相変わらずこの人のこういうの、よくわからない......)と、とりあえず、ありがとうございます!」
「お金の流れと地面(不動産)は嘘をつきませんからね。フフフ。もちろん巧妙な誤魔化しや偽装を施されている場合も多々ありますが......そこはスヤザキ様の出番です」
「......そうか!」
コーロは理解した。
彼は闇の魔力を練り、眼下の公園をじっくりと睨め回した。
暗黒魔導師はその闇の魔力により、どんな暗がりでも夜目が効く。
さらに、その闇の目は、闇から真理を見抜く...。
「......これは!」
コーロは見抜く。
「大きい湖と見せかけて......デカい屋敷がある!あれが奴らのアジトか!!」
偽造魔導師ブラックキャットによる完璧な欺きは、暗黒魔導師によっていともたやすく看破される。
「公園を私有化し、園内の大きな湖の幻影に本部を潜ませるとは......
わたくしの魔法・幻術とはまた異なる様ですが、見事な魔法、見事な偽装工作です。
敵ながら評価せざるを得ません。これではまず誰も辿り着けないでしょう。
......ブラックキャットなる者の偽造魔法、かなりのものですね。
スヤザキ様、どうかお気をつけください。くれぐれも慎重に行動してくださいね」
エルフォレスが心配の念を込めて戒めるように注告した。
彼女は続ける。
「これでブラックファイナンスの本部は突き止めました。
猫娘さんがそこに捕らえられていることは確実です。
そして、ブラックキャットもそこにいる可能性が高いでしょう。
スヤザキ様。いよいよここからが本番です」
コーロは敵の本拠をじっと見据えて決意の表情で答える。
「そうですね。......アミーナを助け出し、金も取り返す!なんならブラックファイナンスごとぶっ潰してやるぞ!なーんて、さすがにそれは無理だろうが」
「承知」
大怪鳥プテラスが承諾する。
「へ?」
マヌケな声を出すコーロ。
「我が主の命により、ブラックファイナンスなる組織の如きよ。塵となりて滅びよ!」
重々しい口調と言葉に合わせ、プテラスは大きくガバァっと口を開くと、ヂヂヂヂィィっと口内に青黒いエネルギー弾を生成し始めた!
「......えっと??プテラスさん??何でそんなに口を開けたのかな~?何しようとしてるのかな~?」
コーロの思い、いざしらず。
エネルギー弾、生成完了。
『デストロイブレス(破壊の大息)』
ブヴォォォォーーーン!!!
青黒く光るエレルギー弾が眼下の湖めがけて彗星の如く発射された!
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