ep103 戦いの終わり
カイソーは呆然と立ち尽くす。
スラッシュはユイの方を見て確認する。
「これでいいか?」
「ええ」
納得するユイ。
「す、すごい......」
キースはただ驚嘆する。
さて、ミッチーは先ほどからずっと黙っているが......実は、スラッシュに終始視線を集中していた。
ーーーこの男、この力。もしや......ーーー
「んじゃ、ブラックキャットんとこ行くか」
「そうね」
「あ、あの、僕も......行きます!」
キースが必死に口を挟んだ。
「あなたも?」
「は、はい!あ、足手まといになるかも...いや、なるだろうけど......自分の手で、アミを助けたいんです!」
「ふーん。さっきの戦いをずっと見ててもそう思うんだな?そのアミってのはお前の女か?」
なぜかスラッシュが訊く。
「はい!......て、こ、恋人とかでは、な、ないんですけど......その......」
「大事な女なんだな?」
「は、はい!アミは、僕にとって、とても......それに...」
「ん?」
「さっき、ずっと、ユイリスさんに守られっぱなしで、足も引っ張って、何もできなくて......それが嫌なんです。
それにアミを巻き込んだのは僕......。
たとえ足手まといだろうと、僕自身も戦わないと、多分ダメなんです。
ユイリスさんは身を呈して僕を守ってくれて、絶望的な状況でも決して諦めずに戦ってて、それを見てたら僕も......
宿屋でユイリスさんが言ってくれたように、僕も戦わないとダメだなって思ったんです!」
「キース......」
ユイはキースに母のような眼差しを向ける。
「いいじゃねーか、ならお前も来い。いいだろ?ユイリスちゃん」とスラッシュ。
「ええ。一緒に行きましょう」
「は、はい!」
「ただな?戦い方ってのは人それぞれある。何も戦場で戦う事が全てじゃねえ。守り方ってのも様々だ。だからお前にはお前の戦い方がある。それはわかっておけ」
スラッシュは諭すように助言した。
「あっ、は、はい!」
「貴方......」
ユイは意外そうにスラッシュを見つめる。
「なんだ?」
「...いえ。あと、馬車から剣を取ってきたいわ」
「あいよ」
スラッシュを伴い、ユイ達は、来た道を引き返すようにタペストリを目指し戦場を後にした。
ひとり茫然と立ち尽くすカイソーを残して...。
これでユイ側の戦いは決着を見た。
...夜はまだ深い。
戦闘の終わった大地は、先ほどまでの混乱が嘘みたいに静まり返り、風の音と月明かりだけで彩られている。
では、コーロ達の戦い、すなわち、本丸での戦いはどうなっているのか?
果たしてアミーナを救う事はできるのか?
暗黒魔導師の闇の力が今、本格的に試されることになる...。
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