ep96 勇者vs魔人形集団5
「......くっ!どうすれば......!」
ユイがそう言った次の瞬間である。
バガァンッ!!!
強烈な衝撃音が鳴り響いたと同時に、魔人形の一体の上半身が粉々に消し飛んだ!
残った下半身にはバリバリと電流が走っているのが見える。
「えっ?」
「あぁっ?」
ユイとゲアージが驚く暇もなしに、
バガァンッ!バガァンッ!バガァンッ!バガァンッ!
次々と轟音が鳴り響く。
気がつけば、残り六体のうち、五体の魔人形の上半身が塵となって滅失していた。
残された下半身はバリバリと電流を走らせながらバタバタと地に横たわっていく。
「オイ......オイオイオイなんなんだオイ!?」
動揺するゲアージ。
「これは一体......あ、あれは?」
ユイは、ゲアージとの対角線上の側面のむこうの方から、大きな人影が近づいて来るのに気づいた。
最後の一体の魔人形がぬらりと動き出し、バッ!とその者に向かって飛び出した!
が......
バガァンッ!
結果は同様だった。
轟音とともに、上半身を失った魔人形の下半身はバリバリと電流を走らせながら地面にパタっと横たわった。
さらに......
バガァンッ!バガァンッ!バガァンッ!バガァンッ!
ユイに足を切り落とされ、上半身のみで地を這いずっていた四体の魔人形までもが消し飛ばされた。
すなわち、魔人形は完全なる全滅を喫す。
「......ったく、こんな時間にこんな辺鄙なところで、大の男どもが一人の女に寄ってたかって何してんのかねぇ?」
視線の先から、白銀のローブを羽織った身長百九十以上はゆうにあろう体格の良い大男が現れた。
無造作な銀髪は耳を覆っていたが長髪ではない。
凛々しい目は左右の色が異なるオッドアイで、濃紫色の目とは反対側の、雷色の目の方の頬には縦に一本の傷が入っている。
どこか粋な色気と雄々しさを併せ持つ伊達男のリラックスした自信と余裕を滲ませる表情は、真の強者を思わせる。
「......あ、あんたは!?」
ゲアージが男に向かい声を上げたのも束の間、男はシュッ!と一瞬で間合いを詰め、地に膝をつくユイの傍らへすっと寄ったかと思うと、騎士のように自らも片膝をついて、紳士らしく手を差し伸べて言葉を発した。
「やあ素敵なお嬢さん。なーに、お礼はいいさ。ただ、朝までオレに付き合ってくれるだけでいい」
ユイも答える。
「た、助けていただき、ありがとうございます......て、貴方は!?」
「ん?お嬢さん?オレの事知ってんの?......て、あんた......勇者ユイリス!?」
「あ、貴方は......銀雷の処刑人!」
二人は顔見知りだった。
お互いあまりに意外過ぎる遭遇に場を忘れて仰天する。
「......いや、その名前、マジでハズいんでやめてくれ......て、なんでユイリスちゃんがこんなとこいんのよ!?」
「貴方こそ、何でこんな場所に現れるの!?ここは戦場ではないでしょう?」
「いや、オレ、戦場以外でもフツーにいるし」
「お、おい。あんた、まさか......」
ゲアージがわなわなと声を上げる。
「ん?おまえは......確か、ブラックキャットのとこのやつだっけか?」
「や、やっぱダンナっすね!?そ、そうっすよ!おれはブラックファイナンスのゲアージっすよ!」
「ゲアージ?そんな名前だったか?わりい、男の名前は覚えらんないからなぁ」
「ハ...ハハ...。で、な、何しに来たんすか?」
ゲアージは何やら怯えているような物腰で訊いた。
「別にお前に答える筋合いもねえなぁ」
男は無関心に答える。
「ハ...ハハハ......(チッ!なんでこの人が急にここに現れやがんだ!?すぐ社長にも知らせねえと!いや、社長に会いに来たのか?だが今までこの人が単身、社長に会いにきた事なんてあったか?)」
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