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新屋敷物語

<夢日記>

2010年7月11日

VHSダビング

彼女の家で

休み中毎日通いできる

その間・・


*この夢日記は夜中に目が覚めた瞬間に断片的に書き留めたものです。

真っ暗な中で書いた文字を解読しましたが意味がわかりません。

空想力を働かせてハッピーエンドの話にしてみました。


<ときめきプロファイル>

古賀くに子(仮名)

中学1年の水泳の授業。プールサイドで海パンの自分を見ながら「てしま君、大きいね」と言われた。ほんとに大きくなってしまいそうなのであわててその場を去った。誰かにちょっとしたいたずらでおそらく体育館まで追いかけたような行為が男子禁制の区域に入ってしまったかでクラスの女子が保健の先生にちくった。保健室に呼ばれ女子数人と先生に囲まれ正座させられ「今度したら、煮ても焼いても好きな様にしてもいいってことね」と説教された。先生も女子たちも自分をからかって楽しんでいる雰囲気だった。「好きな様にする」と言う言葉に先生は別として女子だけにならどうにかされたいと思った。

女子だけの押しくらまんじゅうに入れられた。

春休み頃、彼女の家で開かれた女子だけの誕生会に男ひとり誘われた。恥ずかしくて、もうひとり男子がいるならという条件で友人を誘い参加した。多分女の子だけのいけない話題になった雰囲気を感じ廊下に避難した。この子からおいでよと言われたが友人もいたこともあって行かなかった。何をしていたのか。何をされたのか。何故行かなかったのか悔やまれる。


海外赴任3年目の一時帰国休暇を取り、アメリカの夏休みである7月に熊本に直接帰った。

日本はまだ夏休みではなく、高校卒業後初めて学生も社会人も日常生活を送る平日に全く自由に過ごす楽しい日々だった。

実家の夕食は時刻が早めで熊本の日没も東京とは感覚的に1時間は遅い。

夕食後、白川の土手を毎日散歩した。

堤防の上を明牛橋まで行かず少し手前で降りる。

車が入って来られない行き止まりから細い道に出て少し坂道を上がると明牛橋と実家を結ぶ細長い一本道に出る。

このルートがお気に入りの散歩コースだった。

このあたりに中学の同級生だった古賀くに子の家があった。

彼女とは中学1年の1年間だけ同じクラスだった。

春休みに誕生会に誘われてほとんど女子の中にひとり参加した。

それでおとなになってもこの近くを通ると何となくときめいた。

新屋敷は昔の佇まいを残しているが新しい建物も増えていて、景色が変わっていた。

そのため彼女の家の場所を正確に思い出せなかった。

堤防からの路地から真っ直ぐな道に出た角で若い女性と出会い頭になるくらいのタイミングですれ違った。

僕が堤防から降りたとはいえ行き止まりでその奥の住民しか通らない方向から歩いて来たので不審者かと思われないか気まずかった。

すれ違った直後、足音が途絶え立ち止まる気配がした。

思わず振り向いてしまった。その女性も立ち止まって振り向いている。

「てしまくん?」

驚いたと同時に知り合いで不審者と思われてないことがわかりほっとした。

場所から古賀さんに違いないと思った。

「古賀さん?」

「やっぱり。久しぶりね。家近いのに会わないもんね。」

立ち去りがたかった僕は踵を返すと元の道に戻った。

「家近いのに」という彼女に僕の近況を話そうと歩き始めるとそのまま彼女も家の前を通り過ぎ僕について来た。

話しをするうち、白川の堤防に上がっていた。

そこで互いの近況を話した。

彼女の両親は新屋敷の実家を不動産会社に管理を任せ人に貸して大津町に近い所に家を建てた。

実家跡は数年、ほかの人が住宅として住んでいたが老朽化したので不動産会社が賃貸マンションに建て替えた。

彼女は父親がオーナーで家賃も要らず通勤に便利な実家跡に一部屋借りて住んでいるという。

中学の頃から外向的で明るかった彼女はいくつか仕事は変わったが今は販売の仕事をしているらしい。

職場は女性ばかりで出会いのチャンスがないしチーフから店長になり、ますます忙しくなっているという。

白川の土手でおしゃべりした後、土手を逆戻りして子飼橋の方へ帰った。

実家に戻ってからは心と身体が燃えて来た。

日本人の女性と何年も話しをしていないし、相手が幼なじみ。

中学時代の彼女の下ネタ好きを思い出し、妄想が膨らんだ。

興奮でなかなか寝付けなかった。

翌日、午前中に彼女のマンションを確かめてみた。

仕事に出ているのだろう、人の気配は無い。

留守中の部屋を外から見ていたらもやもやが暴走しかねなくなりそうだった。

その日は夜が来るまでとても長く感じた。

コンビニでお酒を買って、8時頃、彼女の部屋を訪ねていった。

灯りが付いているし換気扇が回っている。

勇気を出してチャイムを押した。

「ごめん、いきなり訪ねて。毎日ひとりですんげえ暇なの。よかったら一緒に飲まない?」

彼女がどういう反応をするかかなり不安だったけど休暇も残りわずか。

アメリカや東京に戻れば二度と彼女に会うこともないだろうと断られたとしても悔いはなかった。

「いいよ。飲もう飲もう。男の人と飲むなんて久しぶり。」

よろこんで部屋に入れてくれた。

アルコールが入り僕もかなり大胆になっていた。

相手も同級生とはいえ中学時代、女の子として意識した事はないし、下ネタを平気で口にする彼女に恥ずかしがり屋の僕は少し引いていた。

今、その片鱗は窺えないがかえって自分の素を曝け出すことができた。

酔いもまわり少ししゃべり疲れ、僕は彼女をじっと見つめていた。

「え、え、何?」

「古賀さん、ほんときれいになったなぁって見とれてた。」

「何それ?口説いてるの?」

「うん、口説き方知らないけど口説いてる。」

「どぅしょっかな?じゃあもっと飲もう。」

その後、かなり酔っていたらしくあまりおぼえていない。

深夜に酔いが覚め彼女は酔いつぶれていたし、朝までいたら悪いと思い、そっと部屋を抜け出し実家に戻った。

残された休暇は数日だった。

その翌日も彼女の部屋を訪ねた。

彼女が怒っていないか心配だった。

「昨日はごめん。酔っ払って変なこと言ったり、夜遅くまで居座って黙って帰ったり。」

「いいよ、いいよ、私も楽しかった。」

「変なことしなかった?」

「私こそ・・ちょっと待ってて、支度するから。白中の裏にスタバができたの知ってる?お茶しない?」 

夏の夜に涼みながら散歩するのに旧専売公社の工場跡地のショッピングモールまでちょうど良い距離だった。

「変なことって何?」

「何だよ30過ぎて」

「過ぎてないよ、私3月生まれ。」

「何か唇や掌に感触が残ってる。」

「どっちから行ったんだろね。以外と飢えた私からかもよ。」

「それでさっき『私こそ』って。」

「でも、がっかりかなぁ?黙って帰ったって言ったけど私起きてたよ。いつ来るかなって待ってたのに。」

「恥ずかしい。飲んでたから。」

話題がどんどん下流へ流れていくうちショッピングモールに着いた。

周りの目もあるので話題はガラリと変わった。

先日よりもっと詳しく互いの近況を話した。

僕は唯一独身で海外赴任している寂しさ。

本社の女の子と電話で話すうちに妄想が爆発してクリスマスの休暇に自費で帰国しドライブに誘い突然プロポーズして撃沈したこと。

彼女も、ちょっと勝ち気な性格か恋人がなかなかできないことや職場で地位が上がるうち、バイトやパート、お客さんも気を使う女性が多くストレスが溜まっている。

僕が核心に触れる失恋のエピソードを話したので彼女も心の中にあるものを吐き出してきた。

ひと月早い夏休みはあっという間に終わった。

休暇とはいえ旅費が会社から出ていることもあり本社に挨拶に行かないわけにはいかなかった。

東京で一泊して本社に挨拶に行った。

部長から僕を早く連れ戻さなければと言われた。

意外と早く10月に入り内示が出た。

11月末から本社に出社した。

引越し便の遅れなどで年が開けてようやくの東京での新生活が動き始めた。

正月に帰省した時、父親から子飼橋の架け替えによる道路拡張の話しが出ていたことを聞いた。

父は立ち退いて、長い間勤務した職場方面で土地勘があり、便利だと保田窪から帯山方面のマンションを探している。

実家の土地は全部、道路用地にならず、両隣も合わせた残り三筆の狭い土地は所有者がバラバラで、そこに不動産業者が残りの土地の買収を計画していた。

地元では有力な持ち帰り弁当チェーンが出店候補地を探していてここに白羽の矢が立った。

「ヒライって、ひろしの同級生だろ?土地を売ってくれと会社の人が来とる。」

僕は以前から仕事を辞めてこの土地をなんとか活用して商売ができないか考えていた。

土地は売らず駐車場と店舗を建ててフランチャイズになろうと考えた。

「会長さんのお嬢さんとは中学、高校と同級生でした。」

僕が弁当チェーンの経営企画部に行くと話しは一気に進んだ。

自前の土地だけでは狭いので立ち退いた土地の等価交換を市と調整した。

右の空き家の跡は無償で手に入れた。

左のコインパーキングは採算が取れなくなったので節税の為だろう、オーナーが安く譲ってくれた。

僕は会社を辞め、熊本に戻って開店の準備を進める事にした。

熊本に戻ると真っ先に彼女に会った。

「私もお弁当屋さん、やりたかった。従業員にしてくれる?家から近いし。」

「僕は逆に住む所、探してるんだよね。」

「親はサンピアンの方に引っ越して僕も今仮住まいしてるけどもっと近い所。新屋敷なんて理想だけど、いい部屋知らない?」

「今空いているのは最上階の3LDKだけなんだよね。後はワンルームだけど満室。」

「じゃ3LDKに一緒に住もう。店で接客や厨房やるより今まで、売上管理とかパートの採用とかしてたんでしょ?共同経営者で手伝ってよ。」

「えっ?えっ?それ、プロポーズ?」

「もちろん。じゃ、はっきり言うよ。僕と結婚してください。」


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