休日出勤
<夢日記>
2021年7月2日
*このエピソードの元になった夢は夢日記に残していません。夢で見たほんの一コマを登場人物を別の人に置き換えて、そのまま空想ストーリーに書き起こしたものです。
<登場人物プロフィール>
橋本かおる(仮名)
私が30歳代前半の頃の9年後輩。同じ職場の同じフロア、となりの人事部にいた。仕事で日常話すことはなかったが私の部署の管理職の勤怠の問い合わせで直接話したり、内線電話でやりとりしたり、コピー機やコーヒーの自販機の前で雑談できてうれしかったと当時のダイアリーに残している。
僕はたまった仕事をいっぺんに処理してしまおうと土曜日に休日出勤して片付けてしまうことにした。
普段より少し遅く事務所に入り灯りをつけて、机の上に書類を積み重ねた。
気づけば隣の部署に灯りが点いていた。
お手洗いか何かから帰って来たのだろう、女の子が席に着いて仕事を始めた。
すぐにわかった。橋本さんだ。
コピー機が一台しかないので、平日でもよくコピー機の前で一緒になることがある。
そんな時ちょっとだけおしゃべりできる。
今日は誰もいない事務所で2人きり。
彼女も多量の書類の処理をまとめてやるみたいでコピー機がずっと動いている。
合間を見て、僕がコピー機に行く。
その時彼女から話しかけて来た。
昼休みになった。
彼女とふたりで商店街のお蕎麦屋さんへ行った。
僕が先輩とはいえ、部署も違うし管理職でもないので割り勘にした。
橋本さんのことは好きだけど下心を悟られたくない。
こんな素敵な女の子に彼氏がいないなんてありえない。
片想いではなく、単なるファンのままでいたかった。
それでなくても、静まり返ったオフィスでふたりきりの空間にいて、コピー機の前では真横まで近づいて、おしゃべりできた。
お昼も一緒に食べるという夢のような時間。
これ以上、望むものはない。
食事から戻り、まだ休憩時間だけど、僕の仕事は後少しで終わりそうだ。
自分の作業が終われば先に帰らなければならない。
橋本さんともっと居たい。
一緒に仕事をしたい。
彼女の方はまだ半分も終わってないと言う。
「僕が先に仕事終わらせるから、そしたら橋本さんコピー機ずっと使えるし、ホチ留めとか手伝ってあげよか。」
僕は昼休みの残り10分で仕事を済ませた。
午後から彼女の座席の隣で仕事を手伝った。
早く正確に処理しなければいけないので無駄話しはしなかった。
たぶん彼女は夕方の定時くらいまでかかるつもりだったんだろうけど、午後から1時間くらいで終わらせることができた。
事務所全部の灯りを消して、ドアをロックして守衛所でサインした。
彼女の自宅は職場から歩いていける近さだし土曜日の午後の中途半端な時刻。
これから電車に乗る訳でもないし、ショッピングや食事に誘うにもタイミングもロケーションも合わない。
僕は休出なのでスーツではなく私服。
しかも憧れの彼女がいるとは想定していなかったのでおしゃれしていない。
同じように彼女もラフな普段着に軽めのメイク。
彼女にとって断わる理由は山ほどある。
この事がきっかけでこれから毎日、職場でもっと仲良くなれればいい。
満足感に包まれ、守衛所前でサヨナラした。