第2話
韓国軍合同参謀本部は、大統領から対日戦(対馬侵攻作戦)の準備が命じられ、具体的な作戦計画が立てられていった。
侵攻兵力の中核となる地上部隊には韓国陸軍の部隊がはじめに検討されたが、北朝鮮との軍事的対峙が今でも続いていて、全体の戦力は弱体化しているとはいえ、北の武装工作員・ゲリラ部隊との戦闘を経験している韓国軍としても、背後の北朝鮮に付け入る隙を与えないためには陸軍部隊の基礎配置を変えるわけにはいかなかった。そこで韓国海兵隊が当てられた。
韓国海兵隊は韓国海軍に所属し、2個師団と1個旅団で総兵力2万8千名を有している。侵攻作戦実施部隊には釜山の第1海兵師団が指名され、陸軍と海軍の特殊部隊が海兵隊の侵攻を支援することとなった。
ここまででおよその対日戦略が決まった。
・戦争目的
対馬の領有を確実なものにし、これまで侵略の歴史を反省しなかった日本に対して軍事的な実力行使をもって懲罰し、実益を伴う反省と謝罪を引き出す。
・行動方針
米国や国連の介入を回避しつつ、特殊部隊を活用した奇襲攻撃を重視し、これにより極力交戦することなく戦争目的を達成する。
韓国軍の行動と共に、韓国政府、韓国企業、在日同胞、親韓日本人勢力の側面支援を計画的かつ組織的に実施し、国連安保理事常任理事国への工作を強化する。
・作戦参加部隊
地上戦力
第1海兵師団、陸軍の特戦司(特殊戦司令部)隷下の2個空挺特殊作戦旅団、海軍特殊戦旅団
海上戦力
第7機動戦団、第5戦団、潜水艦戦隊の潜水艦3隻
航空戦力
大邱基地の第11戦闘飛行団、海軍第6戦団所属の航空部隊、他は輸送機等作戦の支援に必要な機体を多数
以上のことが国防部長官から大統領に伝えられ、対日戦略計画は承認された。
そして練りに練られた対馬侵攻作戦は、毎年8月に対馬で開催される「対馬厳原港まつり(対馬アリラン祭り)」に乗じて決行することとなった。