海へ、
「すっごーぅぃ、でっこい、池!」
「此って、伝説の巨大な湖よ!」
「此は、海です、」
5月7日の磁曜日
俺が、此の世界に来て、46日、
今日は、第10回放課後自主講座が開催される日、
一昨日は、『密林』を攻略したので、今日から、新しい、『星の遺跡』で、放課後自主講座が開かれる事に、皆が、期待し、
4時に、集まった、『星に愛されし民』の面々の顔には、期待する、笑顔が、溢れて、
て、
ちょっと、待て、
一人、見知らぬ、女の子が混じってるんだが、
「えーぇ、と、」
俺は、ダンを、くいくいっと、手招きし、
「ダン、あの娘、何だ?」
ダンは、その娘を見ながら、
「えーぇとですね、スグルさん、彼女は、ドリス・ウェルチカ、三日後の、地区予選に、リアの代わりに、出場するメンバです、」
えっ!
リアちゃんの代わり?
ドリス・ウェルチカさん?
俺は、驚いて、彼女をまじまじと見た、
彼女も、俺と目が合い、恥ずかしいのか、モジモジしている、
美人って言うより、可愛い娘ちゃん系で、ちょっとふっくらしていて、ピンクのリボンで後ろ髪を纏めている。
其に、ちゃんと、ピンクと水色の、魔導防護服を着ていて、
俺は、取り敢えず、彼女と話をしてみる事にした、
「えーと、ドリス・ウェルチカさん、」
彼女は、緊張して、ちょっと、吃りながら、
「は、はい、スグルさん、ド、ドーリと、呼んでくだせい、」
くだせい?
「ま、間違えました、くだしゃい、」
くだしゃい?
「わぁ、わぁ、間違ぇーますた、!」
えっ?
「ドーリ、もう、挨拶、良いから、さぁ、スグル、ドーリに、何か、言ってあげてよ、」
エミちゃんが、慌ててる、ドーリに、助け船を出し、俺も、慌てて
「おっ、おぅ、よ、宜しくな、ドーリさん、」
ドーリは、笑顔で、やっと落ち着いて、
「宜しく、お願いします!」
エミちゃんは、ドーリちゃんの側に寄って、
「ドーリ、スグルって、ただの、おやじだから、そんなに、緊張する事無いって、」
ドーリちゃんは、ビックリして、
「ええええ、エミ、だって、皆、言ってるよ、凄い魔導士だって、」
エミちゃんは、手を振りながら、
「違う、違う、変な魔導士、」
ってな、会話を、俺が聞こえる、側で始めた、
何だかなぁ、
俺、スグル年齢だと、二十代だけど、確かに、見掛け年齢は四十代の小太り、オヤジ、否定はしない、
更に、精神年齢は二千才、
変な魔導士って、魔導士じゃねぇし、
でも、変なは当たってるよな、
此の世界じゃ、『星の力』は、変な力だし、
ダンが、気にして、
「スグルさん、その、ガルとの約束で、地区予選には、上級魔導士のリアは、出さない事にしたんです、其で、急遽、ドリスにお願いして、」
俺は、ため息を付いた後、
「相変わらず、大変だな、ダン、其で、大丈夫なのか、あの娘、全然、練習もして無いし、そんなんで、ガルに勝てるのか、」
ダンは、頷きながら、
「スグルさん、もう、勝ち負けには、拘りません、ただ、6人で、スグルさんに教えて頂いた、『星導術』を使い、全力で、ガルにぶつかって往きます、其だけです。」
・・・
へーぇ、
成長してんじゃねぇの、ダン、
そうだ、勝ち負けってのは、結果だ、
結果に、拘る事は、勿論、大事だ、
だが、結果とは、行動の代償だ、
重要なのは、自分が納得出来る、行動をして来たかだ!
だから、人は、もがき、苦しむ、自分が納得する迄、
だから、俺は、何千、何万回と剣を振るった、
ダン、だから、お前、朝から、晩迄、努力した、
だったら、
弱い奴に勝っても、意味が無い、
そうだろ、
また、もし、負けたなら、
負けたのは、相手が、自分より強かったからだ、
ならば、その時、更に、進むか、其処で、立ち止まるか、
どう、行動するかを決めれば良い、
そして、その行動の結果が、
また、色んな形で、人生に訪れる、
そう言う物だ、
とは、俺は、ダンには言わない、
俺は、そう言う事を言う、キャラじゃねぇ、
何て事、考えてると、ブライと、先生が、仲良くやって来た、
ブライの奴、午前中から、料理専用魔導四輪車に乗って来たんだが、
時刻になっても、メルティスト先生が来ないので、心配して、先生、向かいに行って来るって、車から飛び出したんだけど、
着替えて、遅くなってたのか、ちょっこっと、遅れてきただけだし、
子供じゃ、ねぇんだからさぁ、
・・・
まぁ、良いか、
先生も、揃って、皆、集まったので、何時ものように、
「じゃ、『星の門』を開くから、何時ものように、ハル、ダン、アンリ、そして、オル、ジェミ、『遺跡』に入って、ジェミが、安全だと思ったら、リアに指示して、エミ、ドーリ、先生、ブライの順だ、最後に、俺が入って、閉じる、」
ドーリが、小声で、
「エミちゃん、スータのゲトって何さ、?」
エミも小声で、
「見てれば、分かるって、」
ジェミが、手を上げて、
「スグルさん、ピョンピョンは、」
・・・
根に持ってんな、ジェミ、
「あぁ、あれは良い、リアに、分かるように伝えてくれ、」
今度は、ブライが、
「スグル、あの入り口、大きく出来ないか、料理専用魔導四輪車入れたいんだけど、」
えっ!
あれ、入れんの?
・・・
「まぁ、出来ない事は、無いけど、」
ブライは、嬉しそうに、
「じゃ、頼むよ、スグル、」
確かに、あの、常夏の海岸で、ブライが作った、トロピカルジュース、飲めたら、
やべぇ、ヨダレ出そう、
「あぁ、分かった、分かった、じゃ、『門』、開けるから、」
で、ドーリちゃんは、腰が抜けるくらい、驚いて、
先発隊が、先に『星の門』を潜り、
暫くして、ジェミが、また、興奮しながら、ピョンピョン跳ねて、早く来いと、大騒ぎ、
先生も、俺も、ブライも、理由が分かっているので、先生は笑いながら、
「じゃ、早く行きましょ、」
と、女子達を急かし、
ブライが運転する、料理専用魔導四輪車が入るように、『門』を広げて、
車が入ったのを確認した後、
最後に、俺が、『星の遺跡・海岸』に入って、『星の門』を閉じた。
「すっごーぅぃ、でっこい、池!」
ドーリが、感極まって、言葉が訛ってる、
「此って、伝説の巨大な湖よ!」
エミが、興奮して、ハルにしがみつきながら、騒いでいる、ハルも、一緒に興奮して、
「えっ、伝説の湖って、あの大魚が住むって言う、あの湖!」
アンリが珍しく、突っ込んだ、
「此は、海です、」
俺は、笑いそうになったんだが、ブライが、俺を見ながら、
「あは、スグルも、湖って言ってた、」
・・・
言うなよ、ブライ、恥ずかしいだろ、
リアがジェミの手を握りながら、
「ジェミ、此が、海です、」
ジェミは、首を振りながら、
「知ってるって、リア、見るのは、初めてだけどね、」
オルがダンに、
「懐かしいな、一年前に、自由都市、以来の海だな、」
ダンも、懐かしそうに、
「ああ、そうだな、オル、あの時も、色々あったが、あの美しい海を見たら、何か、全てが、バカらしくなったのを、思い出す、」
「そうだな、ダン、」
ってな、会話で、全員、何か、観光地に来た、雰囲気に浸っている、
あのねぇ、君達、此処は、星の力の訓練所なんだよ、危険なんだよ、
ってな、無粋な話をする事は、俺は、しない、
まぁ、たまには、観光地の気分も、良いかな、って、俺は、思っている、
この、一月、色んな事があった、そして、やっと、此処まで来た、
今度の光曜日には、ダンが拘った、魔導格闘技大会がある、
そして、其が、終れば、星が言う、その先に、
彼等は、『星の遺跡』のその先に行かなければならない、
だったら、今だけは、のんびりしても、良いんじゃねぇ、
俺は、そう、思った。
一応、リーダのダンは、此処が、観光地じゃ無いって事を、自覚しているのか、
「スグルさん、僕達は、此処で、何をするのですか、」
って、聞いてきた、
「うん、あれな、あの島に、行くんだ、あの島に、たぶん、次の遺跡に行く『鍵』が、有る、」
俺は、地平線に有る、孤島を指で、指しながら、皆に説明した、
ハルが驚いて、
「師匠、あの島迄、どうやって、行くんですか?」
「うん、あぁ、こうやってだ、」
俺は、海の上を、歩き始めた、
全員が、驚き、
「因みに、」
俺は、駆け足で、黄金のブイ迄、行き、
「此処までは、なんにも、起きない、しかし、」
俺が、ブイを飛び越した、瞬間、
バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン! バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン! バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!
水面から、数百匹の魚が、俺に向かって、飛び出し、
バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、
最後に、
ガシッ!!
俺は、捕まえた、一匹の魔魚、以外は、全て、魔石にした、
俺は、また、駆け足で、皆の処に戻り、魔魚を見せながら、
「此のような、魔魚が、襲って来る、たぶん、先に行けば、形の違う、魔魚も、襲って来る筈だ、」
俺は、また、波の上を歩くこと、数歩、
「取り敢えず、今日は、『星導術』で、波の上に立つ練習をする、で、歩いたとしても、膝か、腰が水に浸かる位置迄、」
俺は、言葉を止め、
「水は、溺れたら、命に関わる、幾ら、魔導防護服を着ていても、溺れた者を助ける事は、出来ない、」
俺は、手首を指しながら、
「メルティスト先生と、相談した結果、全員に浮きの魔導具を付けて貰う事にした、」
ハル、エミ、ジェミ、其に、ダン、オルが、ほっとした顔をした、
やっぱ、此処等辺の子供は、泳げないのか、ん、ドーリちゃん、顔、変わんない、
「えーと、ドーリさんは、泳げるの?」
ドーリは、嬉しそうに、
「はい、水の上には立てませんけど、泳ぎは得意です、小さい頃から、ホルテル湖で、泳いでましたから、」
・・・
俺が、此の世界に来た、あの湖、
へーぇ、ドーリちゃん、彼処ら辺の子供なんだ、
「浮きの魔導具は、来週、学校に届くそうだ、だから、本格的な、放課後自主講座は、来週の、火曜日からになる、以上、質問は、」
俺は、ダンを見た、ダンは、納得したのか、表情も変えず、頷いていた、
リアが、手を上げて、
「おぅ、リア、何だ、」
リアは、嬉しそうに、
「はい、スグル様、皆さん、泳げない方がいらっしゃるので、少し、泳ぐ練習をしましょう、」
・・・
えっ!
泳ぐ練習?
「いや、リア、魔導防護服を着てちゃ、泳げないだろ、」
リアは、
「はい、魔導防護服じゃ、泳げません、ですから、水着を、着て泳ぎます、」
・・・
ええええええええええ!
「エロイって、何、それ、」
つい、声、出しちまった、
エミちゃんが真っ赤な顔で、盛大に、突っ込む、
「何、言ってんのよ!スグル!水に入る時、着る服!水着!」
あぁ、水着ね、水着の事ね、
ちょっと、呼び方、やばくね、
俺は、メルティスト先生の方を見て、
「どうします、先生、」
と、聞いてみたら、先生は、ブライの方をチラッと見た後、
「ん、良いんじゃない、私も、泳ぎくらいなら、教えられるし、」
先生、ブライと遊びたいとか、
「でも、水着どうします、買います、先生、」
リアが、また、手を上げて、
「それ、私、用意します、ポワジューレの最新、モデル、でーす。」
女性陣が、キャーって歓声を上げ、
俺は、
・・・
まぁ、良いか、
「じゃ、次回の、雷曜日の放課後自主講座は、泳ぎの練習って事で、良いな、」
全員が、頷き、俺の話は、終わった。
その日は、何時ものように、ストレッチを、30分間、行った後、全員で波の上を歩く練習をした、
ドーリは、魔導力を使っても歩く事は、出来ず、逆にリアは、簡単に歩いて黄金のブイ迄、行く事が出来た、
リアは、上級魔導士だ、たぶん、俺のように、空を飛ぶ事も出来るのかも知れない、
そして、他の皆は、『星の力』で、波の上を歩く為に、まず、ハルが手本として、波の上を歩き、
ハルは、だいたい、3分くらい波の上を歩いた後、皆に、『星の力』の使い方コツを伝えた。
ハルが言うには、『星の力』を、足の裏に集めて、下に噴き出す、そんな感じと説明し、
エミ、ジェミ、アンリ、ダン、オルが、練習を開始した。
やっぱり、彼等は、『星の力』の使い方が上手い、直ぐに、波の上を歩いたり、駆けたり、する事が出来るようになったのだが、
いかんせん、『星の力』を大量に消費する為、5分間、歩くと、ガス欠になり、全員が、海の中に落ち、
勿論、俺は、彼等を深い海に行かせなかったので、落ちても、水に浸かるのは、腰までで、彼等は、水の中を歩いて、海岸まで戻った。
結局、この日の波の上の歩行は、休憩を入れて、4回、行い、彼等は20分間まで、歩く事が出来るようになり、その時点で、今日の放課後自主講座は、終了となった。
その後、ジェミが前もって出していた、テーブルには、ブライが作った、三種類の氷ケーキ、二種類の氷ソフトケーキとジュースがあり、
皆で、それらを、楽しく飲んだり、食ったりした後、
俺の宿舎の前に戻って、解散となった。