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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の試練編
95/136

海岸

「・・・湖、って言うより、これって海だよね、海、」


「当たり前に海、波が有るし、たぶん、舐めたらしょっぱい筈よ、」


「じゃ、海の幸を使った料理、ですかねぇ、出すのは、」






5月6日の力曜日リィョルヤ、俺がこの世界に来て45日、


 昨日は、第9回の放課後自主講座(フォールドコーゼ)が開催され、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』が、『星の遺跡・密林』を攻略し、


 六面体の『キー』と、『月の雫の銀杯(ムーンドゥカァ)』、『月の星の大国』の金貨、七枚を手に入れる事が出来た。


 で、俺とメルティスト先生の約束で、新しい遺跡に行く場合、一緒に同行して、お互いに、安全を確認し、


 其を基に、その遺跡で、放課後自主講座(フォールドコーゼ)を開催するかどうかを、メルティスト先生が判断する事になっていた。


 この日、俺は、午前中は掃除、午後は、庭の手入れ、そして、4時、もし、メルティスト先生が来なかったら、俺は一人で行くつもりだったんだが、


 まず、ブライが、俺の宿舎に魔導二輪車(モーグサルク)で来て、俺はブライに、


「ん、今日は、放課後自主講座フォールドコーゼは休みだぜ、どうしたんだ?」


 ブライは、嬉しそうに、


「あぁ、スグル、メルがさぁ、今日、新しい遺跡に行くって言うから、俺も、料理長オヤジに言って、行く事にした、」


 メル?


 メルって、お前、どっかのナンパ外国人か、ちょっと気安くない、


 まぁ、俺から見たら、此処は外国だし、お前は外国人だけどさぁ、


「あのなぁ、前も言ったよな、『遺跡』は、危険だから、魔導防護服アウルプロセル着てない奴は、認めないの!」


 ブライは、指を振らしながら、


「ちっ、ちっ、スグル、見てくれよ、これを、」


 ブライは、上着とパンツを脱ぎ出した、


 えっ、


 ブライ!


 ちょっと待て、って、


 お前の裸体、


 見たくねぇえええ、って誰が、驚くかぁ!!


 コイツ、下に、魔導防護服アウルプロセルをちゃんと着て来やがった、


「お嬢様から、借りたぜ、スグル、」


 ブライは、白い、清潔に見える、魔導防護服アウルプロセルを着ている、


 お前、本当に戦うコック、やる気か?


 と、自分で、自分に突っ込んでいたら、メルティスト先生がやって来て、



「あっ、ブライ、来てくれたの、有難う。」


 ちょっと、満更、でもなさそうだ、


「メル、俺は、危険な処にメルを一人で行かせる分けには、いかない、」



 ・・・


 まぁ、良いか、


「じゃ、ブライと先生は手を握って、オッケ、じゃ、『キー』を起動します、」


 ブライは、喜んで、先生の手を握り、俺は仕方なく、ブライの手を握った、そして、『キー』を包んでいる、『星隠し(ダークスター)』を解除した瞬間、


 

 バシュンンン!!


挿絵(By みてみん)


俺の足下は、砂、目の前は、青い地平線、波がローリングして白い泡が沸き起こっている、



 ザザザザザザザザザ~



「・・・湖、って言うより、これって海だよね、海、」


 俺は、つい呟いてしまった、


 メルティスト先生は、呆れながら、


「当たり前に海、波が有るし、たぶん、舐めたらしょっぱい筈よ、」


 ブライは、感動して、


「じゃ、海の幸を使った料理、ですかねぇ、出すのは、」


 俺は、えっ、と思った、


 食えんのか?


 魚の自動人形オートマタ



 しかし、良く見ると、今回の『星の遺跡』は、黄金のブイが見える、更に、遠くに島が有る、


 あれが、ゴール?



「スグル、もしかして、あの島に、行くって事、」


 先生も、もう、三回目だから、此の、星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)の仕組みが分かってきたようだ、


「そうですね、先生、たぶん、あれが、この『星の遺跡・海岸』の攻略ポイントです、」


 先生は、俺を見ながら、


「一体、どうやって、あの島まで、行くの、まさか、泳いで、じゃあないわよねぇ、」


 俺は、頷きながら、


「まさか、泳ぎは、しませんよ、普通に歩いて行けば良い、」


 二人、同時に、


「えっ!歩く!!」


 俺は、二人を無視して、波の上を、歩き始めた、


 ブライは、唖然として、


「スグルって、中級魔導士なのか?」


 メルティスト先生は、首を振って、


「違うわ、彼は、上級魔導士よ、空も、飛べるし、」


 ブライは、驚き、


「上級って、何で、そんな奴が、学校作業員ハウゼ・アルパやってんだ?」


 メルティスト先生も、釈然としない表情で、


「分からないけど、たぶん、異国人だから、」


 ってな話を、俺は、小耳に聞きながら、波間を歩き始めた、一応、『星隠し(ダークスター)』は、先生と、ブライだけで、俺は外している。


 何時いつもなら、ビュン、ビュン、襲って来る、自動人形オートマタが、全然、襲って来ない、


 ?


 何故だ?


 そんな事を、考えながら、波の上を歩き、やがて、黄金のブイまで、来た。


「此処までは、順調、何も無し、」


 俺は、浜の二人を見た、二人は、真剣に、俺を見ている、


 じゃ、先に、行ってみますか、ってな気持ちで、黄金のブイを乗り越えた、その瞬間、


 バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン! バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン! バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!


 水面から、数百匹の魚が、俺に向かって、飛び出し、


 バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、バシ、


 最後に、


 ガシッ!!


 俺は、捕まえた、一匹、以外は、全て、魔石アウル・オーダにした、


 成る程、取り敢えず、『星の遺跡・海岸』の仕組みが分かったので、俺は、走って、二人の所へ、戻った。



 俺は、メルティスト先生に、黄金の飛び魚モドキを見せた、此の飛び魚、ちょっと口が、ピラニアのようで、食い付かれると痛そう、


 先生は、魔鼠アウル・ペーコのように、可愛い見た目じゃ無いので、チラッと見たら、一言、


魔魚アウル・ポーケ、」


 ブライが、身を乗り出して、


「どれどれ、スグル、見せてみ、そのポーケ


 俺は、魚をビシッと、握り、


 ボン!


 魚は、魔石アウル・オーダになった。


「えっ?何で、」


 俺は、笑いながら、


「そんな、ポーケっとした顔で、驚くなよ、ブライ、先生も言ったろ、コイツは、魔魚アウル・ポーケだ、食えないし、殺せば、魔石アウル・オーダになる、」


 ブライは、納得しながら、


ポーケ顔?」


 先生は、俺に呆れながら、


「ブライ、気にしないで、スグルは、異国人だから、発音が滅茶苦茶、たぶん、良い顔って言ったのよ、」



 ・・・

 

 

 違うわい!!




 暫く、俺は、考えた、


 此の、『星の遺跡・海岸』は、体力を強化する為の星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)だ、


 もし、この星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)が水中戦を想定していたのなら、ゴールは、水中になる、しかし、ゴールは、海の上の島に有り、攻略には海を渡る必要が有る、


 泳ぐって事は非効率過ぎて、考えられ無い、しかし、『星の力』を維持して行けば、海の上を歩けるし、島迄、辿り着ける、


 問題は、膨大な『星の力』を消費する事だ、


『密林』で、『星の力』の使い方を、学び、次は、『星の力』を使い続ける為に、体力をつける、


 その練習スペースが、安全地帯として、黄金のブイを設置した、


 本当に、理想的な、星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)だ、



「其で、どうするの、スグル、」


 メルティスト先生が、俺にどうするかを、聞いてきた、


 俺は、真面目に、海を見ながら、


「取り敢えず、あの、黄金のブイ迄、海を歩く、練習ですかねぇ、」


 其を、聞いた、ブライが驚いて、


「おぃ、スグル、お嬢様なら、兎も角、ツェ組ったら、ハッキリ言って、落ちこぼれだぞ、そんな事、出来るのか?」



 ・・・



 成る程、世間は、彼等を、そう見ているのか、確かに、ダンが、色々とこだわる訳だ、


 先生も、ちょっと気まずいのか、


「出来る、出来ないは別にして、出来ない場合は、泳ぐ必要が有るけど、あの子達、泳げるのかしら、この地方って、海や川無いし、」



 えっ、



 彼等、泳げ無いの?


 確かに、ハルもダンも、沼に落ちて、溺れてた、


 そう言えば、この学校、プール無い!




 ブライも、頷きながら、


「はっきり言って、東部の者は、海も川も無いから泳げ無い、この国で、泳げる奴は、西部か、南部の海沿いか、北部の川沿いの奴等だけ、実際、俺も、泳げない、」



 ・・・


 そう言う事か、


 さて、どうするか、って事を、俺が考え始めた時、


「でも、浮きの魔導具(アウル・バ・トゥル)、用意すりゃ、良いんじゃねぇのかなぁ、」


 と、ブライが、話を付けたした、



 えっ、


 浮きの魔導具(アウル・バ・トゥル)



 先生は、俺を見て、ため息を付いた、 


「やっぱり、スグルは知らなかったのか、普通は、海とか、川に入る場合は、両手首に、浮きの魔導具(アウル・バ・トゥル)を嵌めるし、本当は、密林の沼地対策として、用意したかったんだけど、」


 俺は、先生に、その浮きの魔導具(アウル・バ・トゥル)って奴を詳しく聞いた、


 どうも、ブレスレットに、魔導回路アウル・カルラが書き込まれていて、水に入ると、装着者を沈ませ無いように、『リキ』が、発動するらしい、


 そう言うのが有るから、この世界には、浮き輪が無い、


 先生に、浮き輪の話をしたら、先生、その空気ってのが、抜けたらどうなるの、って聞かれ、俺は、はっきりと、沈むと断言したら、


 先生は、俺に、バカじゃないの、って言った、


 

 まぁ、そりゃ、言うわな、空気抜けたら、終わりだし、


「私達の国の子達は、だいたい、持ってるけど、この学校の子は、持って無いわよねぇ、ブライ、」


「そうだね、メル、俺も、この地方の出だから、分かるけど、浮きの魔導具(アウル・バ・トゥル)は高い、確か、安くても5万RG(リージェン)はしたから、其にあまり、使わないし、まず、持って無いと、思うよ、」



 先生は、少し考えて、


「じゃ、買うとして、来るのは、来週、そうなると、放課後自主講座フォールドコーゼも、来週から開催、」



 えっ、



 買うの!


 一人、5万、七人で、35万RG(リージェン)


 あっ、


 あの金貨か、


 換金したんだ、先生、


 確かに、こうなると、


 色々と、金は確かに、必要になる、


 先生は、結構、正しい、




 ブライが、ちょっと、寂しそうに、


「じゃ、メルとは、来週迄、会えないんだ、」



 先生は、慌てて、


放課後自主講座フォールドコーゼは、開催するわよ、ブライ、そ、そう、スグルのね、スグルのやる、練習が、来週からって事、そうよね!スグル!!」



 ・・・



 何だかなぁ、


 まぁ、良いか、


 何か、やらねぇと、ダンが、また、文句、言うし、


 もしかして、『星』も、騒ぐかも知んないし、


 さて、どうするか、


 何を、したら良いんだ、


 まずは、歩く練習、



 で、他に砂浜で、出来る事は、




 ビーチバレー、


 

 でも、やるか、



 気晴らしに、



 まぁ、彼等次第だな、



 結局、俺は、メルティスト先生と話し合い、来週、浮きの魔導具(アウル・バ・トゥル)が、届いたら、本格的に、『星の遺跡・海岸』の攻略を始める事にして、


 明日と明明後日しあさっての、放課後自主講座フォールドコーゼは、何をするかは、生徒達と相談しよう、


 と、言う事に決まり、



 俺達は、宿舎の前の庭に戻った。



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