密林攻略
5月5日の火曜日、俺が此の世界に来て44日、此の日は、第9回放課後自主講座開催される、
そして、此の日より、
料理作業員の、
ブライアン・ゲートルが、
『星に愛されし民』の為に、栄養管理をする事になった。
何せ、育ち盛りの子供達だ、食の管理は重要、子供達は、皆、ハルも、エミも、寮生活になり、
寮だから、学食で、ボーゲンさんの食事を取る事になる、しかし、学食は、多くの学生と先生達も、食べる料理だから、極普通の食材に、普通の食事だ。
しかし、彼等は、『星の力』を使う事の出来る、『星に愛されし民』、『星に祝福されし穀物』を食材とした、『星に祝福されし食物』を取らなければ、ならない、
更に、ハルは、『星に愛されし子供』だ、『星の力』の回復する必要が有り、『星に祝福されし食物』は、特に重要だ、
俺は、積極的に、『星に祝福されし食物』を作って、彼等に出していたんだが、やはり素人、ワンパターンで、彼等の健康や状態を気にした料理が作れず、
リアちゃんの配慮で、『星に愛されし民』に、専属の料理作業員が、就く事になった。
其が、ブライ、こと、
ブライアン・ゲートル
俺は、彼に、『星に祝福されし穀物』を提供した。
そして、4時、全員が、魔導防護服を着て、俺の庭の前に集まり、メルティスト先生も来た、
其処で、俺は、皆に、ブライを紹介した、勿論、ブライの事は、リアちゃんも、アンリちゃんも知っていた、
ブライは、メルティスト先生を見て、あの人誰々、って騒ぐから、俺は、彼に、メルティスト先生を紹介した、
彼は、コッソリ、俺に、彼女、エキゾチックで、素敵だ、彼氏いるのか、と、しっこく聞くので、俺は、いないんじゃねぇの、と無責任に答えて、彼を軽くあしらった。
俺にとって、先生は、どうでも、良い、俺は、今日は、『星の遺跡・密林』の最終攻略の重要な日だ、
全員に、ストレッチを指示し、30分後、俺は、『星の遺跡・密林』の『神殿』の前に、『星の門』を開いた。
その光景に、ブライは、ビックリして、
「今日は、ハル、先に入って、『星隠し』を張れ、護衛は、アンリ、ダン、その後、は女子、オル、ジェミ、先生だ、」
全員、返事した後、俺の指示に従い、最後に、『星の門』に入ろうとした、ブライを俺は止めた、
「ブライ、あんたはダメだ、魔導防護服を着ていない、悪いが、此処で、俺達の帰りを待っていてくれ、」
ブライは、えっ、ってな顔した後、俺の言ってる事の意味が、分かったのか、黙って、『星の門』の入り口から下がった。
『星に愛されし民』は、『神殿』の前で、再び集合した、
その日の『神殿』は、雨、豪雨と落雷が響き渡り、風が吹き荒れていた、
神殿の入り口には、大きな崩れ掛かっている、庇が有り、彼等は其処で、辛うじて風雨を避ける事が出来た。
神殿の入り口から、中を覗くと、やはり、三体の自動人形が、鎮座していた。
俺は、此の『星の遺跡・密林』の難易度から、考えて、一体とは、考えていなかった、最低、三体、
で、覗くと三体、勿論、俺は、『星の瞳』で、感覚的に、奴等の強さが分かる、
皆で、挑戦して、何とか勝てる強さ、そう言う気がする、
自動人形は、三体共、同じ姿で、身長は、3メータ、四本の太い腕を持ち、頭は、魚、
魚?
最初の頭は、バッタ、で、『草原』は、鼠の頭で、『星の遺跡』は『密林』、自動人形は、魔鼠、じゃ、魚だったら、海か川って事、
其に、次に来る、自動人形は、魚って事か?
両側の魚人が、巨大な槍を二本持ち、真ん中の魚人は、二刀の大剣を持って座っている。
俺は、皆の方に向いて、
「皆、聞いてくれ、最後の試練だ、あの自動人形を破壊するのが、此の『星の遺跡・密林』の攻略の条件だ、」
俺は、言葉を切った、
「ハッキリ言う、『星導術』の、身体強化をマスターした、君達には、たぶん、簡単な相手だ、だが、注意してくれ、三体いるから、真ん中をアンリ、左を、リア、右をダンが相手する、リアの援護を、エミ、オルがする、ジェミ、は、全員に指示、全員が配置に就いたら、ハルが神殿に入れ、」
俺は、そう指示し、ハル以外の皆が、神殿に入った、
「大丈夫なの、スグル、」
俺は、メルティスト先生を安心させる為に、
「大丈夫ですよ、ありゃ、ただの人形です。」
と、簡単に答え、
ガラガラガラ、ドッシャーァアン!
外に響く、豪雷音、
全員が、配置に就いた、
「ふぅ、」
ハルが、呼吸を整え、
『星のナイフ』を、右手に持ち、
髪は、風に靡き、瞳は、深いコールドブルー、
『星のナイフ』は、一際輝き、
アンリの瞳が、薄く輝き、紫の髪は、光りながら、靡、
ダンの瞳が、深い、エメラルドグリーンに輝いて、
オルの、右手が、ウォータブルーに輝き、
エミの、赤毛が、燃えるように、光り靡いた時、
ハルは、ゆっくりと、神殿に一歩を踏入れ、
彼は、静かな声で、
『終リダ!』
その、時、
ズダァアアアアアアンンン!!
「消えた!」
メルティスト先生が叫んだ、
メルティスト先生の、目には、魚人型の自動人形が消えたように見えた、
その瞬間!
えっ!!
彼等は、『星に愛されし民』を襲うような、姿で止まっていた!
エミ!!!
止めたのか?
嫌、止めてるんじゃねぇ、動きを、遅くしてる、
エミの成長に、俺は、唖然とし、
シュッ!
最初に、アンリが動いた、
舞うように、目の前の自動人形の横を擦り抜け、
シュン!!!
えっ!!
ゴトン!!!
ゆっくりと、自動人形の首が落ちた。
アンリも、また、成長していた、
二番目に、動いたのはダン、ダンは、自動人形との間合いを詰めると、『月下の秘剣』を握り締め、
ピシッ!!!
薄く、細い、白光に光る刃線が、斜め下から斜め上に切り上がり、
自動人形は、
ゆっくりと、
ズズズズズズズズ!!!
その上半身と下半身が斜めにズレれて、
ガッタァアアアン!
上半身が、神殿の床に落ち、その落下音が、神殿に響き渡った、
ダンの、刃の動きは、早く、刀身はぶれず、体の重心も、安定し、
彼は、着実に達人へと、進化していた、
バシュ!
オルは、簡単だった、威力の有る、氷弾を自動人形に撃ち込むだけで、決着が着いた。
俺も、メルティスト先生も、唖然としていた、
まさか、彼等の実力が、これ程とは!
「いぇーえええい!!!」
エミが、喜んで、跳び跳ね、
俺は、我に帰ると、
床に、15センチ位の、六面体の黄金の遺物が出現し、
そして、7つの銀色の杯、
黄金の金貨、7枚、
えっ、
何なんだ、此は、
此って、まるで、スグルの世界で、言うと、ゲームのボーナスステージ、その物だ、
星の力の訓練所だよなぁ、
何で、金貨が?
で、メルティスト先生、触ってるし、
俺は、怒って、
「メルティスト先生、危険物かも知れないし、勝手に、触っちゃ困ります!」
メルティスト先生は、心外ってな表情で、
「失礼ね、私は、専門家!ちゃんと鑑定したし!此方の銀のコップは、製作日は、魔導歴マイナス253年、『月の雫の銀杯』、と呼ばれる遺物、効能は、無し、ただの食器、この金貨は、魔導歴、マイナス55年製作、『月の星の大国』の、終わり頃の金貨、価値は、50万RGが、相場ね、」
・・・
えっ?
何?
50万?
俺、確か、
二十五万RG
で、売ったょなぁああ!
俺は、ガクッと両膝を着いた、
「スグル、何?私の鑑定の偉大さに、畏れちゃったの?」
違います、大損した、自分に、呆れているだけです!
俺は、直ぐに、気を取り直して、六面体の遺物『鍵』を、『星隠し』に包んでから、手に取った。
流石に、先生は、この『鍵』は、触ろうとはしなかった、
俺は、先生に聞いてみた、
「先生、やっぱ、先生ほどの人でも、コイツは、鑑定、出来ないんですか?」
先生は、俺をジーッと見た後、
「その、製作日は、今日よ、」
「今日!?」
俺は、驚いた、
「ハッキリ言って、其は、遺物じゃあ無いって事ね、この遺跡が、今日、作成した、私達を、次の遺跡に案内する為に、そうでしょ、スグル、」
・・・
そう言う事か、
先生は、鑑定が出来て、製作日が分かるから、遺跡が作った物と遺物の違いが分かる、
先生は、今まで、この遺跡がおかしいと言う事も、知っていたのか、
だが、何故、この時点で、遺物が出たんだ?
確かに、大会も近いし、放課後自主講座も、金がいる、
・・・
考え過ぎか、
まぁ、良い、
遺物は、約束通り、先生が預り、
『鍵』は、俺が預かった、
神殿の外は、嵐に近く、まるで、台風が来ているみたいで、俺は、全員を帰還させる事にした、
「諸君、『星の遺跡・密林』、攻略、おめでとう!」
まずは、誉めた、
『星の遺跡・草原』を攻略した日が、4月25日、今日が、5月5日、 10日で攻略した事になる、
このペースが早いのか、遅いのかは、俺には分からない、ただ、分かる事は、『星に愛されし民』は、着実に成長している。
全員の顔に、安堵が浮かび、俺は、続けた、
「次の遺跡は、また、俺とメルティスト先生が、調査した後、攻略を開始するので、今日は、戻って、解散とする、以上、」
ダンが驚いて、
「解散ですか、大会は、今週の光曜日なんですよ、『身体強化』も、出来るようになったんだし、大会に向けて、練習するべきです!」
俺とメルティスト先生は、顔を会わせ、
メルティスト先生が、俺に言えってな顔をして、
俺は、首を振りながら、
「なぁ、ダン、練習っても、外は嵐だし、此れじゃ無理だ、」
ダンは、食い下がった、
「じゃ、『ロープの森』で、フォーメーションを、」
俺は、ダンを止めた、
「ダン、焦る気持ちは分かる、だが、今の、君達じゃ、『ロープの森』では、レベルが低くて練習にならない、たぶん、次の遺跡が、君達の最適な練習場所だ、だから、次回の放課後自主講座迄、待ってくれ、」
ダンは、暫く、俺を見た後、
「分かりました、」
と、一言、言って沈黙した。
俺と、メルティスト先生は、ダンが納得した事と、他の皆が、何も言わなかったので、
全員が、納得したと考えて、
遺跡の神殿から、『星の門』を通って、俺の宿舎の前に帰還した。
帰還すると、アウトドアテーブルには、暖かい御茶と、五種類のケーキと菓子、其に、氷菓子、更に、一口サイズのサンドイッチが、綺麗にセッティングされていた、
ブライが、料理専用魔導四輪車から、冷えた、ジョッキを持って出てきて、
「あっ、丁度、良かった、今、セッティングが終った所です、お腹空いたでしょ、どうぞ、座って、召し上がって下さい、」
リアとアンリは、ブライの実力を知っているようなので、別に驚いていなかったが、
他の皆は、唖然として、テーブルを見詰めた後、エミちゃんが、凄い、凄いって騒ぎ出して、一気に、その場が、和んで、ブライが、会話の中心になった。
ブライは、お菓子、一つ、一つの解説をメルティスト先生にし、先生も、満更でも無い雰囲気で、リスのように、お菓子を頬張っていた、
先生、チャンスなんだから、男心を擽るように、もっと、上品な、綺麗にな、召し上がって下さいよ!
と、俺は、心の中で、叫んでいた。
しかし、ブライが、『星に祝福されし穀物』の菓子を用意してくれたおかげで、
『星に愛されし民』は、『星の遺跡・密林』の攻略祝いをする事ができ、
俺は、ブライに、感謝した。