表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の試練編
90/136

試練

 5月2日の雷曜日ラィョルヤ、俺が、此の世界に来て41日、


 今日は、第8回放課後自主講座(フォールドコーゼ)が開催された、



 守護星からの『星の慶事(スターコメット)』を受けた、ハルの意見により、俺は、一回だけ、『星の遺跡・密林』の攻略に、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』が挑戦する事を許し、


 その日の、『星の遺跡・密林』は、暴風の密林、時刻は夕方、風が揺らす木々が、彼等が行く場所の足場を悪くし、更に、夜になれば、視界が悪くなり、攻略は遥かに、難しくなる。



 普通だったら、中止する、しかし、今日の俺は、出来るだけ、我満して、彼等を信じようと決めていた、


 其は、まさしく、彼等、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』の試練、


 

 そして、俺と彼等のミーティングが終わり、彼等が椅子から立ち上がろうとした時、


 ハルが、言った、



「聞いてくれ、皆、」



 全員が、ハルを注視し、



「・・・恥ずかしい、話なんだけど、たぶん、此の中で、一番、体力が無いのは、僕だ、」



 エミが、ハルを庇って、


「ハル、そんな事、無いよ、皆、ハルとおんなじだよ、」


 ハルは、首を振りながら、


「嫌、違う、僕は、はっきり言って、『星導術』を同時に、三ヶ所使った場合、スグルさんが言う、その攻略ポイントには行けないと思う、」


 ダンが、ハルの前に出て、


「ハル、君が、力、尽きた時は、私達が、君を背負ってでも、攻略ポイントに連れて行く、だから、」


 ハルは、ダンの言葉をさえぎり、


「違うんだ、ダン、僕には、君達とは違う力が必要なんだ、其が、有れば、僕は、君達と一緒に行く事が出来る、」


 ジェミは、ハルが、何を言いたいか、気付き、


「ハル、もしかして、魔石アウル・オーダの事、」


 ハルは、頷いて、


「そう、魔石アウル・オーダは、僕の力の元になる、だから、」


 オルも、気付いて、


「つまり、フォーメーションを、アンリ、ダン、そして、リア、私、エミ、ジェミ、ハルに、するって事かな、ジェミが、魔石アウル・オーダを集めて、ハルに渡す、」


 ハル、全員に、


「そう、其が、凄く、今回の挑戦では、重要なんだ、」


 皆は、ハルの我儘を、我儘とは考えず、其が、重要なら、そうするべきだ、と言うような、感じで、


 ダンが、全員を代表して、


「ハル、其で、行こう、今回の、挑戦のルールは、一人も落伍者を出さない事だ、其で、『キィオ』で有る、ハルが、我等、を導けるなら、私は、賛成だ、」


 オルも、


「私も、賛成だ」


 ジェミが、


「僕も、良いよ、」


 女子は、全員が、頷いていた、




 俺も、メルティスト先生も、此の会話を黙って、聞いていた、


 皆が、一見、何の力も無い、ハルを重要だと、言う、



 一体、何故だ?



 彼等は、チームにハルが必要だと言う、



 必要、



 何の為に、


 チームワークか、


 ハルの力とは、チームワークと関係が有るのか?



 もし、そうなら、


 ハルの守護星は、チームワークに関係する星、



 しかし、天界にそんな、星が、有るのか?



 分からない、


 

 俺には、




星に愛されし民(スタラブルラディ)』は、暴風の密林の攻略に挑戦する為に、アンリを先頭にフォーメーションを組んだ、


 陣形は、密集の縦、相互間の距離はあまり取らず、先頭は、アンリ、その後ろをダン、その後ろに、左右は、『星剣レイピア』を持ったリア、とオル、その後をエミ、とジェミ、そして、最後に、『星のナイフ』を持ったハル、


挿絵(By みてみん)


 ハルの、『星具スタートゥ』、『星のナイフ』が、一際、輝いた時、


 ハルは、全員に、



『行ケ!』



 その瞬間、アンリが跳躍し、ダンが、リアとオルが、そしてエミ、ジェミと続き、最後に、


 風で、髪がなびき、その瞳は、透明なコールドブルーのハルが、


 俺が、張った、『星隠し(ダークスター)』の外へ、飛び出した。




 勿論、俺は、『星の瞳(スタービュー)』を使って、彼等を監視する事は出来る、しかし、今回は、沼に落ちたら、落ちた者を助ける必要が有るのと、攻略の中止を宣言する為に、


 俺は、『星の遺跡・密林』の上空に飛び立ち、


 そんな俺を見た、メルティスト先生は、目を丸くしていたが、何も言わず、只、心配そうに、生徒達が、進撃して行った方向を、見続けていた。



星に愛されし民(スタラブルラディ)』と、魔鼠アウル・ペーコとの戦いは、熾烈しれつを極めていた、



 何百と襲い掛かる、魔鼠アウル・ペーコに、アンリが、疾風のように、弾き飛ばし、飛ばされた、魔鼠アウル・ペーコを同時に、ダンが、一閃で、数十匹の魔鼠アウル・ペーコ魔石アウル・オーダにしていった、


 後ろの、リアとオルは、左右から襲い掛かる、魔鼠アウル・ペーコを撃破し、


 オルは、更に、二挺拳銃のように、水弾を撃ちまくり、前方、後方へと、援護射撃で、ハルを、ダンを助け、


 エミは、全員が、不利になる寸前に、数百の、魔鼠アウル・ペーコを、空中で、止め、一気に、形勢を不利から、有利に逆転し、


 ジェミは、数百の魔石アウル・オーダを受け止めては、ハルに向かって、放出し、


 魔石アウル・オーダは、数百の輝線となり、輝く、輝線は、全て、ハルの体に、吸収されていった。



 ハルの髪は、なびき光り輝いていた、瞳は、更に、深みの増した、コールドブルーとなり、全身が光り輝いて見える、ハルは、


 戦神のように見えた、


 まるで、戦う為に、生まれた、神、



 其が、



 ハルチカ・コーデル



 そう、思える程の、


 

 気迫と、様相で有り、


 

 其処に、気の優しい、


 普通の少年の、ハルの姿は、



 無かった。




 20分が過ぎ、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』の進撃が、ゴールの神殿迄、後、100メータを切った時、


 彼等の疲労がピークに達した時、


 魔鼠アウル・ペーコの猛攻が一瞬、止んだ瞬間、



 ドバーシュ!


 ズターアァシュ!


 ブワーアアァッシュ!



 神殿より、三体の黄金の影が、放たれた!!



 えっ?



 俺は、今までに無い、『星の遺跡』の反応に愕然とした。




 三体のうち、アンリを狙った、黄金の影は、2メータを越える巨体に、獰猛な牙を持つ、齧歯類げっしるいの頭、強靭で、しなやかな、長い手足に、両手に、二本の小型剣、



 2刀流!


 まさか!!


 神殿は、対、アンリ用の、自動人形を作りやがった!



 ガキ!バキッン!ガキガキ!バキバキバキ!ガッキーン!



 アンリと、自動人形が、空中で交差し、双方、空中で、連撃を繰り出しながら、自動人形は、同時に回転蹴りを、アンリの腹部に撃ち込み、



 バッコーォオオオンン!



 吹き飛ばされた、アンリは、回転しながら、落下地点の手前の木を蹴って、沼への落下を回避しながら、自動人形と距離を取った。



 対アンリ用自動人形(aガタオートマタ)!!



 もう1つの黄金の影は、同じく、2メータを越える、頭が齧歯類げっしるいで、一本の角を持ち、太く、巨大な両腕、その両手に持つ大剣を大きく、振り上げ、ダンを真っ直ぐに、狙い、



 ブゥワアアアアアア!!!



 豪速に振り降ろされた、大剣と、ダンの『月下の秘剣(ムーンスタートゥソー)』が激突し、



 ガァッキイイイインンン!



 力に負けたダンは、足場の木の枝事、吹き飛ばされ、落下しながら、ぶつかる木々を抵抗とし、沼に落ちる最後の木で、ようやく、落下を食い止め、


 直ぐに、ダンは、追撃を回避する為に、巨腕の自動人形から、距離を取った。



 対ダン用自動人形(dガタオートマタ)!!



 三体目の、自動人形は、2メータを越える巨体に、齧歯類げっしるいの頭、頭には2本の角、その特徴は、巨大なあし、その跳躍は、一気に、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』の距離を詰め、中間にいる、オルを狙って、彼に、凶器の足蹴を、食らわせようとした瞬間、



 ガキン!



 エミが、巨脚の自動人形を止める!



 バッ!

 


 リアが、魔導術の『リキ』を混ぜた、『星剣レイピア』を、自動人形に突き刺す瞬間、



 バリン!



 えっ!



 エミの時間停止を破りやがった!



 バッコーォオオオオンン!



 リアと巨脚の自動人形は、激突し、かろうじて、リアの『リキ』が、力勝ちし、


 自動人形は、後方に距離を取りながら、第二撃の体制を取った、



 対エミリ用自動人形(eガタオートマタ)!!

 


 その時、初めて、俺は、『星の遺跡・密林』の難易度を、見誤った事に気付いた、



 ダメだ!



 此の、試練は、中止!


 そうしようとした時、



 ハルは、叫んだ、



メルナ!!!!』



 俺は、空中で止まり、声を出す事が出来なかった。




『星の遺跡・密林』の攻略は、第二局面となった、


 第一局面の、魔鼠アウル・ペーコの乱戦から、


 個々の戦いの、第二局面、この星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)である、『星の遺跡・密林』は、


 挑戦者の実力を分析し、その挑戦者の能力を上回る、自動人形を、対挑戦者用に作り、挑戦者にぶつけて来る、機能を持っていた。



 はっきり言って、



 俺の判断が甘かった、


 仮にも、星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)だ、単調な攻撃の仕組み、だけである分けがない、


 星の戦士(スターソル)を育てる為の施設、甘くは無い、



 今の彼等の実力じゃ、無理だ、体力が持たない、今、彼等は、『星の力』を限界迄、使っている、


 たぶん、木の枝の上に立っているのも、辛い筈だ、


 その状態で、自分達の力を上回る相手との戦い、


 無理だ、


 誰もが、そう思う筈だ、


 だが、ハルは違った、


 ハルは、


 諦めては、いない、


 その瞳は、依然、光り輝いていた!


 中止の約束は、誰かが、一人でも、沼に落ちた場合、


 今は、まだ、誰も、沼には落ちてはいない、



 だが、


 彼等の体力は、限界、


 彼等は、方膝を付き、肩で息をしながら、暴風で大きく揺れる木の枝にしがみついていていて、


 ハルの瞳から、耳から、一筋の血が流れ、


 ハル!!!!


 命を、


 命を、削る気か!!!


 ダメだ!ハル!!



 もう、無理だ、限界だ、俺は、そう思った、


 俺は、中止だ、そう決めようとした、瞬間、


 気が付いた、



 ハルの右胸が、



 右胸が、薄く、



 薄く、



 光り、輝いて、



右星の扉(ライトスターホール)』!!!!



 星界より、一条の限りなく、薄い輝線が、ハルの『右星の扉(ライトスターホール)』に届いた、


 その瞬間、


 ハルは、



 ハルは、



 静かに、



 限りなく、静かに、



 呟いた、



『殺レ、』



 その声を聞いたか、聞かないか、分からないが、方膝を付いて肩で息をしていたアンリが、ダンが、木の枝から立ち上がり、



 ドバーシュ!!


 ズターアァシュ!!



 と、同時に、自動人形達が、再び二人に襲い掛かった、



 えっ、



 アンリが、ダンが変わった、


 アンリの瞳が、薄く輝き、


 紫の髪は、光りながら、なびき、


 その跳躍は、遥かに早く、高く、回転、回避しながら、対アンリ用自動人形(aガタオートマタ)の強靭で、しなやかな、長い手足の両手に持つ二本の小型剣を掻い潜り、


 アンリは、自動人形(オートマタ)の後ろを取った瞬間、


 

 グワーッシュ!!!



 手を交差した瞬間、


 スッパーーーンン!!


 対アンリ用自動人形(aガタオートマタ)の首が、空を回転し、


 自動人形(オートマタ)は、


 大きな、魔石アウル・オーダになった。





 ダンの瞳が、深い、エメラルドグリーンに輝いた瞬間、


 ダァーーンン!!


 ダンは、木の枝から高速に跳躍しながら、『月下の秘剣(ムーンスタートゥソー)』を、下から構え、


 その、刃の無い秘剣は、薄く、三日月型の、光り輝く刃を見せながら、


 対ダン用自動人形(dガタオートマタ)の太く、巨大な両腕の両手に持つ大剣を大きく、振り上げ、ダンに真っ直ぐに振り下ろすより、



 ズッパアアアーーーンン!!



 より、早く、一閃が光り、


 対ダン用自動人形(dガタオートマタ)は、下半身と上半身が、二つに別れ、


 この、自動人形オートマタも、大きな、魔石アウル・オーダになった。



 ドッガアアアアアアンン!!!


 オルは、両手を重ね、両手の人指し指が、光り輝いた瞬間、


 豪音と、共に、


 彼に、飛び掛かろうとしていた、対エミリ用自動人形(eガタオートマタ)の腹を撃ち抜いていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ