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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の試練編
88/136

チーム

 4月30日の磁曜日ジィョルヤに第7回の放課後自主講座(フォールドコーゼ)が開催された、


 此の日、俺は、本格的に、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』が、『星の力』を使いこなす、訓練を始めた、


 其は、彼等が、俺が、宿舎の前の森に張ったロープを登り、天辺にいる俺の元に来る事だった。


 彼等が、登って来る途中、俺は、俺が作った数百の『星珠スターボール』を、彼等にぶつけて、彼等が登るのを邪魔する、


 彼等は、その『星珠スターボール』を避けたり、弾く事が出来ず、『星珠スターボール』に弾き飛ばされて、次々とロープから、落下して、


 森の地面に這いつくばった。


 彼等は、挑戦する事、三回、そのたびに地面に這いつくばり、


 そして、時間は、17時半、此処で、ロープ登りを中止し、俺も、ロープの天辺から降りて、


「よし、今日は、此処まで、皆、クールダウンした後、解散、で、次回、明後日の放課後自主講座(フォールドコーゼ)は、今日の続きだ、皆が、出来る迄、此の、『ロープの森』で特訓する、」



 オルが俺に、


「特訓?ですか、」


 俺は、頷き、


「ああ、特別な、訓練って言う意味だ。」


 ダンが噛み締めるように、右手を握り締めながら、


「特別な訓練、特訓!」



 ふぅ、



 特訓は、ずぅーっと、ダンが望んでいた事だし、まぁ、彼にとっては、納得の事か、



 その後、皆は、解散となり、俺は、ハルに、『星のソース』を掛けた、『星に祝福されし食物(スタラブルイー)』のサンドイッチ(バンデゥタ)を渡し、


「遅くなるから、帰る途中で、食え、腹へってんだろ、ハル、」


 ハルは、嬉しそうに、


「はい、師匠!」


 何時もの、明るい、ハルの返事を聞いて、俺達は別れた。





「此のままじゃ、だめだ、ダン、」


 練習の終盤、私は、ダンに話し掛けた、


 ダンは、期待のこもった瞳で、私を見ながら、


「オル、何か手があるのか、」


「うーん、有ると言えば、有る、まぁ、私の話を聞いてくれ、ダン、」


 私は、ダンと話をした、チームとは、チームワークとは何かを、


 私達は、魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセの団体戦に出る、個人戦じゃ無い、皆で、相手のチームのキィオを攻略しなくては、ならない、


 今回の、スグルさんの特訓とやらで、私達、個人での頑張りだけでは、どうにもならない事が分かった、



 やはり、作戦が必要だ、



 今までの考え方では、ダメだ、


 ダンは、私に聞いてきた、


「で、一体、どうする気なんだ、オル、」




 その後、直ぐに私達は、帰り際の、アンリを追い掛けて、話が有るからと、引き止めた、



「私に、朝の練習に出ろと、オルダス・ホールス?」



 彼女は、リアの家の使用人の関係者なのか、言葉は丁寧だし、リアをお嬢様と呼んでいる、


「ああ、オルで良い、其れで、アンリ、明日、朝、ダンと私と、君で、ちょっと、試したい事が有るんだ、だから、出来たら、朝の5時、此の場所に来てくれないか、」


 アンリは、リアを見ながら、


「お嬢様、」


 リアは、頷きながら、


「うん、良いんじゃない、付き合ってあげたら、私の事は、心配しないで、一人でも大丈夫だから、」


 アンリは、暫く考えた後、


「では、5時に、来ます、オル、」


 私は、アンリの手を握りながら、


「有難う、アンリ、」


 アンリは、顔を赤くして、


「えっ!」



 ・・・



 アンリって、結構、奥手なのか?


 リアは、そんなアンリを見て、笑ってるし、




 5月1日の錬曜日レィョルヤ、俺が此の世界に来て、2度目の月が変わった、


挿絵(By みてみん)


 その日、俺は4時に起きて、ダンを待っていた、


 俺は、てっきり、今日も、ダンが、一人、自主練習に来ると思っていたんだが、今日は、オルにアンリ迄、来た、


 三人とも、魔導防護服アウルプロセルを着込んで、やる気満々だし、


「スグルさん、やはり、私達の自主練習に付き合ってくれるんですね!」


 オルが、嬉しそうに、俺に言って来る、


 俺は、ちょっとカッコ付けて、


「熱心な生徒を、見捨てるってのは、学校作業員ハウゼ・アルパとしては、失格だろ、」


 此の言葉で、ダンは、俺を尊敬している、目で見てる、


 実際の、俺は、星が、俺に託した、使命で、動いているだけなんだが、


「じゃ、軽く、ストレッチしてから、始めようか、」






「私が先頭ですか?オル」


「ああ、アンリ、私が君の援護をするから、先頭を行ってくれ、」



 私達は、ストレッチを15分する間に、作戦を話し合った、


 昨日、私はダンを説得し、アンリを先頭、後方をダンと私に決め、ダンは私の護衛、私は、アンリの援護に専念する事を決めた、


 冷静に考えて、今のダンの実力では、スグルさんの、あの猛攻には耐えられない、


 元々、スタイルが違う、ダンは一本の剣を確実に振り、相手を一匹ずつ、払うタイプだ、しかし、アンリは、二本の剣を素早く振り、手数を重視するタイプ、


 だから、ダンの場合、一回の攻撃の破壊力が重要だが、其に比べてアンリは、破壊力は少ない代わりに、スピードが重要になる、


 ならば、もし、私が、アンリを援護したなら、どうだろか、アンリなら、より、前に進む事が出来る、


 そして、撃ち洩らした、スグルさんが言う、『星珠スターボール』を、ダンが確実に処理して行けば、



 昨日よりは、確実に、私達は、進める筈だ、


 ストレッチの間、お互いの役割とフォーメーションを確認した後、



 私達は、アンリを先頭に、ロープに登った!




 成る程、そうきたか、


 俺は、百発近い『星珠スターボール』を投げながら、彼等のフォーメーションに感心した。


 ダンが考えたのか、嫌、彼はそう言う事を考えるのは、たぶん、得意そうには見えない、となると、オルか?



 俺が、『ロープの森』の天辺で待機すると、ダン、オル、アンリの三人は、何時もなら、ダンを先頭に、横並びにロープを登って来るのに、


 今日は、アンリを先頭に、縦に並んで、ロープを登り始めた、


 俺は、最初から、数百発の『星珠スターボール』を彼等に投げつけたが、


 縦で並んで登るから、先頭のアンリには、後ろからは『星珠スターボール』はこない、アンリは、前だけ集中して、弾く事に専念していた、


 更に、後方のオルが、ダンを援護するのでは無く、アンリを援護しているので、アンリはより多くの、『星珠スターボール』に対処する事が出来る、


 そのオルは、左右の手から水矢をまるで二挺拳銃のように、撃ちまくって、アンリの援護と、後方から来る、『星珠スターボール』の対処をしていた、


 真ん中のダンは、左右上下の『星珠スターボール』を対処するだけだから、数は、アンリより圧倒的に少ないので、彼は、確実に『星珠スターボール』を破壊し、後ろのオルに『星珠スターボール』を行かないようにしている。



 チーム戦、


 彼等は、チームとは何かを、自分達で考え、答えを導きだした!



 俺は、少し感動した、


 此なら、行けんじゃね、と、俺は、思ったんだが、



 体力が足りない、


 結局、彼等は、六回挑戦して、俺の処迄、後、3分の1位で、力尽きて、リタイアとなった。


 しかし、良くやった、


 体力は、練習を繰り返せば、自然と付く、重要な事は、自分達で攻略を考え、自分達の意思で行動した事だ、



 彼等は、成長している、


 

 時刻は、6時半、着替えて、シャワー(ドルサァ)を浴びて、朝飯食ったら、授業が始まる、8時ギリギリ、此で、朝練は終了だ、


 ダンも、オルも、アンリも、大量の汗と、肩で息をしながら、『ロープの森』の地面に座っていた、


 其処に、暫く前から、練習を見ていた、ジェミとリアが彼等に近付き、


 ジェミは、練習を終えた、三人に声を掛け、


「ダン、オル、アンリ、凄いね、あれなら、もうすぐ、スグルさんの場所に行けるじゃないか、」


 ダンが、ジェミとリアに気づき、


「ジェミ、リア、見てたのか、」


「ああ、見てたし、驚いた、」


「アンリ、貴方も、素敵でしたわ、」


「お嬢様、」



 俺が、木の天辺から、地上に降りると、ジェミとリアがいて、俺は皆と会話している、ジェミの側により、俺に気付いた、ジェミが、


「あっ、スグルさん、おはようございます。」


 俺は、笑いながら、


「あぁ、おはよう、で、何だ、二人とも、早朝デートか?」


 二人は、顔を見合わせ、ジェミはやれやれって顔しながら、


「スグルさん、差し入れです、リアに呼び出され、リアが、アンリが早朝練習しているから、朝飯、持って行くって言うから、僕が運んで来たんですよ。」


「俺の分も有るのか?」


 ジェミは、頷いて、


「沢山有りますよ、今、出します。」



 シュン!!



 ジェミは、宿舎の前の庭に、沢山の料理がセッティングされている、10人用の巨大なアウトドアテーブルと、椅子をだした。



「えっ!」



 俺、ダン、オルが驚き、


 アンリは心配そうにリアを見た、


 そんな、アンリに、リアは、


「大丈夫、料理長が、アンリの為に頑張ったようですし、私は、テーブルごと、持って行くと言いましたから。」



 ・・・



 そうか



 やっぱ、ジェミ、お前も、尻に敷かれるタイプか、


 俺は、ジェミを見た、


 ジェミは、仕方ないですよ、ってな顔で、俺に答えた。



 しかし、料理は旨かった、アレンジした俺のソースを掛けた上級牛肉バ・モウオーブン焼き(コゥール・ドン)、冷たいシチュー(レバドン)、高級野菜、上品に焼き上がったパンの木実(デゥタ)、絞りたての果実ジュース、デザートには氷ケーキ(ケール・コーデ)


 体が、早朝練習で火照っている、彼等には、丁度良い、温度の料理、


 流石、一流プロの料理!


 

 食事が終わると、リアは、テーブルも椅子も、食器も、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』で、使えるので、置いてくと言い、


 まぁ、見たところ、テーブルも、椅子もアウトドア用だから、外に置いても良いし、何せ、俺の宿舎は小さいから、こんな大きなテーブル邪魔だ、


 しかし、テーブルが有ると打ち合わせにも便利だ、先日のパーティでは、料理を並べるのもキッチンの上だったし、


 俺は、此のテーブルと椅子は、有り難く、貰う事にした。



 ダンとオルは、着替えと、シャワー(ドルサァ)を浴びに寄宿舎に戻り、アンリは、俺の宿舎の、シャワー(ドルサァ)を使った後、制服に着替えて、リアとジェミの三人で、教室に向かった。


 その後、俺は食器を片付けた後、校舎の掃除等を始めて、


 午後、4時過ぎに、今日も、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』は、俺の宿舎の前に集まり、


 今回は、庭のテーブルを囲んで、オルを中心にミーティングをしてから、自主練習が始まった。


 勿論、俺は、そのミーティングには参加してはいない、あくまでも、彼等の自主的行動だ、


 内容を、俺が聞いたら、俺はその対策をしてしまうから、意味が無い、


 俺は、ミーティングを終えて、ストレッチを、彼等が始めた時から、参加し、彼等が準備出来た時、『ロープの森』の天辺に立ち、彼等を待った、


 そして、アンリを先頭に、彼等は、ロープを登り始めた。






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