魔鼠
4月30日の磁曜日、俺が此の世界に来て39日、
今日は第7回放課後自主講座が開催される、
『星に愛されし民』は、昨日、自主練習をして、全員が15分間位は、ロープ渡りが出来るようになった、
で、問題は、此処からだ、『星の遺跡・密林』には、魔鼠がいる、
俺は、午前中に森から木を3本拾い、木刀を3本作った、うち、二本は小刀にして、双刀として、使えるようにした。
午後、4時に、『星に愛されし民』が、魔導防護服を着て、俺の宿舎の前に集合した、
俺は、皆に、
「昨日の自主練習で、だいぶ、ロープ渡りが上手くなった、此は、此で、俺は、良いと思っている、只、『星の遺跡・密林』を攻略するには、もう1つの問題を克服する必要が有る、」
ダンは、えっ、ってな顔して、
「スグルさん、もう1つの問題って、」
俺は、ダンを制止しながら、
「まぁ、此も、百聞は一見に如かず、見て貰うのが、早い、」
突っ込みのエミちゃんが、
「ヒャクのブンが、一件しかないってどう言う意味よ、スグル!」
なんじゃ、そりゃ、
「あぁ、俺の故郷の言い方で、百回説明するより、一回、見る事で、全てが分かるって、言う意味だ、」
メルティスト先生が、
「スグルさん、其は此方では、見る知識って言うのよ、」
俺は、舌を出しながら、吐きそうに、
「ベロが、げぇっ?」
メルティスト先生が、怒りながら、
「バカスグル!ベロスゲーテ!!」
エミちゃんは、首を振りながら、
「本当に、相変わらずの、意味不明の動作と、発音の悪さ、変わんないわねぇ、スグルは、」
完全に、年上の俺を、馬鹿にしているエミちゃんだった。
「で、ジェミ、仮設の水栓は、『星の秘蔵庫』に入ってるか、」
ジェミは、頷いて、
「ええ、入ってますよ、スグルさん、今日は、水が必要な事をするんですか、」
俺は、眉をしかめながら、
「まぁ、万一って事かな、じゃ、何時ものように、『星の遺跡・密林』に行ってみっか、じゃ、ハルからだ。」
ハルは、元気良く、
「はい!師匠!!」
よし、良い返事だ、と俺は、思いながら、『星の遺跡・密林』の『星の門』を開けた。
場所は、『星の遺跡・密林』、全員が、俺が張っている、『星隠し』の中に入っている、
俺は、
「じゃ、皆、見ていてくれ、」
と、言いながら、俺、一人、『星隠し』の外に出た、
その瞬間、
バッ、バッ、バッ、バッ、
数十匹の、黄金のモフモフが俺を襲う、
「きゃあ~ああ!!」
先生と女子の歓声、
ビシッ!ビシッ!ビシッ!ガシッ!
捕まえた、一匹を除いて、全て、魔石になった。
俺、再び、『星隠し』に入って、
「こいつが、魔鼠だ、」
右手には、捕まえた、一匹のモフモフ、
確かに、ちょっと可愛い、リスっぽい、こいつが、数十匹、飛んで来る。
リアが、目をキラキラさせて、
「そのぅ、スグル様、ちょっと触らせて、貰えませんか、」
・・・
ふぅ、此だ、
バシッ、
俺は、魔鼠を魔石にした、
「あああ、」
メルティスト先生と、リア、エミのガッカリした声、
「まぁ、此のように、魔鼠は、見た目が可愛いが、確りと俺達を襲って来る、特に、空中から襲って来た場合、対処が難しくなる筈だ、」
俺は、此処で、一旦、言葉を切って、
「此の、対処が出来て、初めて、此の『星の遺跡・密林』を攻略出来ると、俺は、思っている、」
全員が沈黙し、俺は、
「じゃ、また、戻って、ロープ渡りの練習を、」
ダンが、手を上げて、
「スグルさん、ちょっと良いですか、」
ほら、来たよ、ダン、やっぱ、お前は、納得しないよな、
「スグルさん、私達は、連携で、『星の遺跡・草原』を攻略しました、だから、今回もハルの『星隠し』から、オルが援護してくれたら、行けそうな気がするんですが、」
・・・
駄目だな、だが、ダメって言ったら、たぶん、何故ですか、やってみなくちゃ、分からないじゃ無いですかって言うだろうし、
「じゃ、試してみっか、ダン、」
ダンは、頷いて、
「はい! じゃ、頼む、オル、ハル、」
オルも、頷き、
「分かった、ダン、」
「良いよ、ダン」
と、ハル、
俺はジェミに、
「仮設水栓を用意しとけ、ジェミ、」
ジェミは、キョトンと、
「えっ?スグルさん?」
ダンは、一気に、俺の『星隠し』から、飛び出し、その後を、ハル、オルが続く、
ガシッ!ガシッ!
ダンが、魔鼠を弾き、飛び乗った、木から再び、空中に飛び出した瞬間、
「えっ!!!!」
全員が、愕然とし、
バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、バッ、
援護しようとした、オルが、
「うっ、嘘だろ!」
一瞬にして、数百匹の魔鼠が、ダンに飛び付き、空中で弾く事が出来ない、ダンは、
直ぐに、黄金の巨大な、モフモフの塊のボールのようになって、
ヒューーーーーーーン、
ドボォーオオオオオオオン!!!
ダンは、魔鼠と一緒に、沼に落ちた。
俺は、上着を脱いで、
「さぁーてと、助けに、行きますか、」
「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ、」
バシャッ!!
沼の水を吐いているダンに、俺は、仮設水栓の水を掛けた、
沼に落ちて、泥まみれだったダンが、水により、綺麗には成ったんだが、
「ジェミ、タオル、収納してあるだろ、」
「はい、スグルさん、有ります。」
「じゃ、ダンに貸してやれ、」
俺も、自分に付いている泥を水で流しながら、
「分かったろ、『星導術』の、使い方が甘いんだ、もっと、素早く、各部所に使わないと、あの数の、魔鼠には、対応出来ない、」
俺は、ジェミからタオルを受け取りながら、
「でだ、戻って、『ロープの森』で、新しい、練習をする、」
ダンも、タオルで体を拭きながら、
「新しい、練習ですか?」
俺は、ニヤリと笑って、
「あぁ、新しい練習だ、」
『星に愛されし民』は、俺の宿舎の前に有る、『ロープの森』に戻り、
全員が、30分のストレッチをした後、
シュッ!
「此が、『星珠』だ、」
俺は、手に翠光の玉を作り、皆に見せた。
全員が、驚き、
オルは、驚きながらも、
「スグルさん、その光玉で、一体、何をするんですか?」
と、聞いてきたので、俺は、
「ロープを登って来る、皆に、此の『星珠』をぶつける、勿論、危険じゃ無いが、ぶつかれば、圧力が掛かるから、避けたり、弾いたりしないと、吹き飛ばされる、可能性は、有る、」
全員が唖然とし、その中で、ダンが、
「つまり、スグルさん、その『光玉』が、私達にとって、魔鼠と言う訳ですね、」
俺は、頷いて、
「そうだ、此れから始めるのは、俺が考えた、対魔鼠の模擬戦だ、俺は皆が、此の模擬戦で、魔鼠を攻略出来るようになってから、『星の遺跡・密林』の攻略を始める予定でいる、」
と、ちゃんとした、考えを皆に話し、
皆は、俺の考えに納得したのか、黙って、俺を見ている、
じゃ納得したんで、始めるんだが、その前に、
俺は用意していた、木刀をダンとアンリに渡して、
「それとな、ダン、アンリ、お前達は、此の、木刀を使ってくれ、なんせ、お前達の、『星具』、まともに使ったら、ロープ、みんな切れちまうから、」
ダンと、アンリは木刀を受け取り、
ダンは、俺が作った木刀を見て、
「此で、ですか?」
真剣じゃ無く、こんなおもちゃで大丈夫ですか、ってな顔してるよ、
やっぱ、ダンは、まだまだ、素人だぜ、
「大丈夫だ、ダン、型が出来ていれば、木刀でも、充分に威力が出るから、『星珠』を弾く事は出来る。」
シュッ!シュッ!
直ぐに、アンリは、木刀を振りながら、木刀の感触を確かめている、
何回か、木刀を振った後、
「大丈夫です、スグルさん、此で充分です、」
俺は、感心した、
ちゃんと、重さ、持ち具合、重心を確認してる、本当に、此の、アンリって娘は、素人じゃねぇ、
俺は、二人が、納得したのを確認して、
「じゃ、始めるか、俺が先にロープに登る、準備が出来たら、俺は、皆に、『星珠』を投げる、そしたら、全員、俺に向かって、ロープを登れ、良いな、」
全員が、
「はい、!!!」
うん、良い、返事だ、
よし、やるか、
バッ、バッ、バッ、バッ、
俺は、一気に、ロープの天辺迄、掛け上がり、
「よし、やるぞ!」
そう、声を出して、右手の『星珠』を、『星に愛されし民』の皆の前に投げた、
バシッ!
『星珠』が、地面にぶっかって、砕け散った瞬間、ダンが、
「行こう、皆!!」
と、叫んで、『星の力』を発動した後、ロープに飛び乗り、
俺は、そんなダンに、
「じゃ、まずは、一発、」
右手に、再度、作った『星珠』を、投げつけた。
そして、
全員が、地面に這いつくばり、俺の方を、唖然とした顔で見てる、
俺は、うん、最初は、こんなもんかなと思いながら、彼等を見ていた。
俺は、ロープに飛び乗ったダンに、一発の『星珠』を投げつけ、ダンは、その『星珠』を木刀で弾き、続く、アンリにも投げた、『星珠』を、アンリは、軽々と弾き、
更に、エミちゃんは、ジェミ、リア、オル、ハルに向けた、ボールを止めた後、
リアが『魔導術』で、『星珠』を砕いた。
俺は、そんな、練習を三回位、繰返して、
彼等が、俺の処から、半分位ロープを登った、当たりで、
シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!
俺は、一気に、数百の『星珠』を作り、彼等の前後左右、斜め、上、下と、あらゆる方向から、同時に、彼等に襲い掛かるように、投げつけ、
ダンも、アンリも数秒間、『星珠』を捌く事は出来たが、結局その後は、『星珠』を全身に受け、ロープより、弾き飛ばされて、地上に落下した、
勿論、彼等は、魔導防護服を着ているから、怪我等はしない、
エミも、最初は、数十の『星珠』を止めたが、やはり、更に、襲い掛かって来る、『星珠』を止められず、『星珠』の衝撃を受けて、ロープより落下した、
魔導術を使う、リアも同様に、『星珠』を捌けず、ロープより落下し、
オル、ジェミ、ハルは、最初の猛攻で、既に、地上に落ちていた。
メルティスト先生は、俺の方を見上げて、両手を上に上げながら、怒った顔で、なんか、大きな声で、ピョンピョンしながら、怒鳴っていた、
たぶん、先生、俺の行動が、生徒に対するイジメだって、言ってるようだ、
・・・
まぁ、端から見れば、そう見えてもしょぅがねぇしな、
此は、有る意味のイジメかも知れない、
だが、彼等は『星に愛されし民』、星から運命を託された人々だ、
もっと、もっと、過酷な運命が、彼等に待ち構えている、
俺は、止めるつもりは無い、
ダンが、騒いでいる、メルティスト先生と、何か、話し会い、先生は騒ぐのを止めて、
ダンは、皆は、再び、俺の方を見た後、彼等は、俺の方向に、ロープを登り始めた、
そうだ、其でこそ、『星に愛されし民』だ、
俺は、再び、数百の『星珠』を作り、
彼等に投げつけた。