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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の試練編
82/136

草原攻略

 豪速の大剣が、アンリに降り下ろされる!


 アンリは、双刀をクロスし、大剣を一瞬受けながら、


 ガシッンンンンンン!!!


 大剣の力を、体を崩しながら、右方向に流した、


 俺は、その流れるように、相手の力を左右にもって行く、受け流しの技に、


 上手い!


 そう、思った。




 4月25日の雷曜日ラィョルヤ


 『星に愛されし民(スタラブルラディ)』の第5回放課後自主講座(フォールドコーゼ)が開催された。



 全員が、俺の宿舎の前に、3時半に集まり、何時ものように、ジェミが、食い物と飲み物を、彼の『星の秘蔵庫(スタートレェチェ)』に仕舞った後、


 俺は、『星の遺跡・草原』の、最終攻略ポイントで有る、ストーンサークルに、『星の門(スターゲート)』を開いた。



 最初に、ハルと、ダン、アンリが『星の門(スターゲート)』に入り、ハルが、『星隠し(ダークスター)』を張る、


 そして、男子、女子、メルティスト先生と、『星の門(スターゲート)』をくぐり、


 最後に、俺が、ストーンサークルに入って、『星の門(スターゲート)』を閉じる、


 此も、何時もと、変わらない手順だ。



『星の遺跡・草原』のストーンサークルの状態は、前回と変わらず、中央に座っている石像が有るだけだ、


 しかし、回りの景色は、すっかり変わって、草原は黄金こがね色になり、空には、うろこ雲、


 秋、秋になろうとしている、


挿絵(By みてみん)


 どうも、時間軸が違うのか、其とも、此の景色も、『星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)』として、作られた物なのか、


 まぁ、俺としては、どっちでも良い、兎に角、今日か、次回、此の、『星の遺跡・草原』を攻略して、次のステージに進む、其だけだ、



 俺は、皆を見ながら、


「じゃ、此から、最終試練の説明をする、俺が経験した試練と同じ仕組みなら、あの石像は、俺か、ハルの『星導術』に、反応する筈だ、」


 全員が、俺を注視している、


「でだ、反応して動き出すと、結構、早い速度で、あの大剣を振って来る、勿論、君達が着ている、魔導防護服アウルプロセルなら、大剣の攻撃も防げるし、たぶん、『星の保護(スターガード)』が発動するから、怪我もしない筈、」


 その説明で、全員が安堵し、



 俺は、話しを続ける、


「只、安全だとは言え、我々は、あの石像を攻撃して、石像を破壊しないと、此の次の『星の遺跡』には、行けない、」



 ダンが不思議そうに、


「次の『星の遺跡』ですか?」



 俺は、首を縦に振りながら、


「そうだ、次の遺跡だ、実は、此の遺跡は、俺とメルティスト先生が訪れた、最初の『星の遺跡』じゃ無い、此処は、二番目の遺跡なんだ。」



 全員が、驚き、オルが、


「メルティスト先生、本当なんですか、」


 と、メルティスト先生に聞き、彼女は、


「スグルさんの言う事は、本当、コレステリラの『星の遺跡』にも、あのような石像が有って、スグルさんが破壊したら、転移の遺物が出てきて、その遺物の力で、私とスグルさんは此処に運ばれた、って訳ね、」



 ハルは、俺に、


「師匠の、『何処どこでも扉』と同じ物なんですか?」



 うん、まぁ、ありゃ、『星の門(スターゲート)』その物だし、


「そうだ、あれは、次の『星の遺跡』を案内する、『何処どこでも扉』、その物、だから、皆は、もし、石像を倒した後、遺物が現れたら、その遺物には、絶対に触らないでくれ、良いな!」


 俺は、彼等に警告し、彼等は、全員が頷いた。



 オルが、不思議そうに、


「しかし、なんで、スグルさんは、その最初の遺跡で、訓練を始めなかったんですか?」


 俺は、首を横に振りながら、


「ありゃ、ダメだ、彼処あそこは、観光地化してて、入るのに、一人1回、1万RG(リージェン)は取られる。」



 リアとジェミ以外が、驚いて、



「1万RG(リージェン)!!」



 と、大声を出し、俺はジェミが驚かなかった事で、


「ジェミ、やっぱ、お前、知ってたな。」


 ジェミは、困ったなぁ、って顔して、


「スグルさん、知ってた訳じゃ、無いけど、資産家で、有名な、シュタイン・バーグ氏が、彼処あそこに投資したって噂が有って、なんか、中古の魔導船を買って、『遺跡』への航路まで引いたらしいし、やっぱ、なんか有るなぁ、と思っていたから、」



 うん?



 シュタイン・バーグ?



 コーネルじゃねぇのか?



「なぁ、ジェミ、彼処あそこ村長ムーダ・パーダは、コーネル・オリゴンって奴なんだけど、何か、心当たり、ねぇ?」



 ジェミは、暫く考えた後、


「・・・スグルさん、コーネルって人は知りませんけど、その人と、スグルさんは何か有るんですか?」



 ・・・



 すっげえ下品で、やな奴、って事は言えないし、なんせ、メルティスト先生の夏季自主講座サァルドコーゼは、確か、彼処あそこに行く予定だし、


 仕方ねぇ、此処は、無難な言い方すっかな、


「あぁ、コーネルは、『星の遺跡』を案内してくれた、コレステリラの村長ムーダ・パーダでさぁ、彼の案内は良かったんだけど、俺とメルティスト先生、最後の石像を壊した時、突然、彼の目の前から、消えちゃったから、彼、心配してないかなぁと、思って、」


 その時、メルティスト先生は、嬉そうに、


「その事なら、大丈夫、私が、彼に連絡しといたから、」



 ・・・



 えっ!!!!!



 ええええええええええええ!!



「連絡したんですか!メルティスト先生!!」



 メルティスト先生は、俺に当然って顔で、


「当たり前でしょ、夏には、夏季自主講座サァルドコーゼでお世話になるのよ、連絡するわよ、」


 俺は、彼女に呆れながら、聞いた、


「先生、奴、俺達がどうやって、此方に戻ったのか聞きませんでしたか?」


「勿論、聞いたわ、だから、貴方の魔導術で戻ったと言ったし、専門家として、彼処には一般人を入れてはいけないと、アドバイスもしたし、当然でしょ。」


 アドバイス?


 あの下品な奴に、


「で、奴は、なんて、答えたんですか?」


「ん?彼の事、彼は、普通に、分かりましたって言ったし、あの石像の事が分かったから、良かったって、御礼も言ってたわよ。」



 御礼?


 

 ・・・



 俺の考え過ぎか?


 何か、奴には、裏が有るような気がするんだが、


 奴は、金儲けの好きな、只の下品な奴、・・・なのか?




「スグルさん、其で、一体、私達は、何をしたら良いんですか?」


 おっと、ダンか、話しがだいぶ、逸れちまった、


「すまん、ダン、話しを戻すと、此のストーンサークルの攻略だが、まず、フォワードのアンリ、ダンが、中に入り、石像の攻撃に備えろ、オルとエミは、後方から支援が出来るように待機、準備が出来たら、ハルがストーンサークルに入る、良いな、」



 全員が、頷き、俺は、


「じゃ、何時いつものように、30分のストレッチをした後、作戦に入る、各人、充分に体を、作ってくれ、以上、」


 と、終わろうとしたら、ジェミが手を上げて、


「あのぅ、スグルさん、僕とリアは、何をしたら良いんですか?」



 ・・・



 二人で、デートでもしてろ、とは言えないし、


「ジェミと、リアも、一応、何かあったら、直ぐに、交代して貰うから、一応、体は作っといてくれ、」



 リアちゃんが、笑顔で、


「分かりました、スグル様、」


 おっ、やっぱ、リアちゃんは、素直で、良い子だし、その点、


 ジェミは、やれやれって顔しやがるし、彼奴あいつ、俺が適当に言ってる事、絶対、気付いてやがる、



 今度は、絶対、持ちきれない位の荷物を持たせるからな、ジェミ、覚悟しとけよ!



 と、大人気ない、俺だった。



 メルティスト先生は、子供達の心配をして、俺に大丈夫かを何回も聞き、俺は、此の先に彼等を連れて行きたいので、大丈夫ですよ、何か有れば、俺が直ぐに介入しますと、繰り返し説明し、説得した。





 そして、30分、動きが軽くなった、彼等は、ダン、アンリの順に、ストーンサークルに入った、


 やはり、彼等二人では石像は動かなかった。



 俺は、ハルに、


「ハル、彼等に分かるように、声を出して入れ、」


 ハルは、頷きながら、


「はい、師匠!、では、ハルチカ!入りまーす!」


 と、言いながら、一歩、ストーンサークルに足を入れた瞬間、



 バシューンンンンンン!!!



 早い!


 

 『星の遺物・廃墟』の石像より、この石像の動きは、早いし、力強い!



 石像は、両手の大剣を、ダンとアンリに降り下ろし、



 ガシッンンンンンン!!!



 アンリは、双刀で、大剣を受け流し、



 バッコーォオオオオオンンン!!!



 ダンは、『月下の秘剣(ムーンスタートゥソー)』で大剣を受けたが、


 弾き飛ばされ、転がりながら体制を立て直して、直ぐに、石像に向かった、


 石像も、また直ぐに、アンリに向けて、大剣を回転させながら、降り下ろし、アンリも、無理に攻撃する事はせず、受け流す事に徹底していた、



 ガシッンン!!


 ガシッンン!!


 ガシッンン!!



 全員が、アンリの動きに見とれていた、


 凄い、・・・アンリ、あの娘は、やっぱり、素人じゃねぇ、かなりの・・・達人!!



「くそっ!!!」


 ダンは、二人の中に加わる事が出来ず、『月下の秘剣(ムーンスタートゥソー)』を握り締めながら、吐き捨てた、



 俺は、ダンにアドバイスをした、


「ダン!焦るな!動きを良く見ろ、奴が大剣を上に上げた時、その横を狙え!!」



 ガシッンン!!


 ガシッンン!!


 ガシッンン!!



 石像の連激、受け流すアンリ、


 二人の闘いは硬直したと思えた、


 その時、



 ガキィーンン!



 アンリが、一瞬、大剣を受け流す事を止め、大剣を弾こうとして、バランスを崩したように見せ掛け、


 誘い!!!



 グワッ!!!



 掛かった!!!



 石像は、両手の大剣を、降り下ろす為に、思いっきり両手を上げた瞬間、



「今だ!ダン!!」


 

 俺は、ダンに叫び、

 


『殺レ!!!』



 えっ?



 小さな、其でいて、世界を変えるような声が、聞こえた時、



 ダンは、まるで別人のような、高速の動きと、うっすらと細く、糸のように細く、三日月に輝く、『月下の秘剣(ムーンスタートゥソー)』を、


 横に、水平に振り!!!



 ズッバアアアアアアアンンン!!!



 ダンが石像の胴を、水平に、『月下の秘剣(ムーンスタートゥソー)』で切り裂いた瞬間、豪音が、ストーンサークルに響き渡り、


 石像は、一瞬、白く光輝いて、


 ドサ!!


 10センチ位の、五面体の黄金の遺物が出現した。



「触るな!」


 俺は、全員に注意しながら、サークルストーンの中に落ちている、遺物を『星隠し(ダークスター)』で包んで、手で持ち上げながら、ハルを見た、


 風も無いのに、髪はなびき、右手には、白く輝く、『星のナイフ』、瞳は、透明なコールドブルー、



 えっ、



 俺は、一瞬、目を疑った、



 誰だ?



「師匠?」



 えっ?


「あっ、ハル?すまん、ハルが今、別人に見えた、・・・大丈夫か体調?」


 ハルは笑顔で、


「師匠、今日は大丈夫です、其に、校医のドリアルス先生も、問題無いと言ってましたし、」



 ・・・



 何時ものハルだ、



 本当に何時ものハルだった、



 わぁあああああ!!!



 全員が歓声を上げ、女子はアンリを囲んではしゃぎ回り、


 オルは、ダンに駆け寄り、


「やったな!ダン!!凄かった!!!」


 と、お互い、握手し、肩を叩き合い、


 ジェミは、ハルの側に寄って、


「攻略したね、ハル、」


 ハルは、ちょっと寂しげに、


「ああ、ジェミ、でも、僕は何もしなかったし、やったのは、アンリとダンだよ、彼等の力さ。」


 ジェミは、不思議そうに、


「・・・其処何だよなぁ、ハル、ハルは本当に、何もしてないの?」


「してないよ、何故だい、ジェミ?」


 ジェミは、考えながら、


「何か、僕には、ハルが、本当の『キィオ』に見えた、」


 ハルは、キョトンとし、


「ジェミ、其、どう言う事?」


 ジェミは、ハルを見詰めながら、


魔導格闘技アウルトゥオゥロセの『キィオ』って、その団体の象徴的存在が成るべきだよね、そうなると、本来は、リアかダンだと、僕は思っていた、」


 ハルは、ビックリして、


「えっ、そうなの?」


 ジェミは、更に、深くハルを凝視しながら、


「ねぇ、ハル、何故、ダンは君を『キィオ』に推薦したのか、何故、ハル、君は『キィオ』を引き受けたのか、僕の知ってる、君なら、断ったと思うよ。」


 ハルは、暫く考えて、


「ジェミ、たぶん、あの時は、団体戦の代表に決まって、皆、興奮してたから、その勢いで、『キィオ』を決めたからじゃないかなぁ、僕としては、師匠が、他のポジションをやれって言ったら、やるつもりだし、」


 ジェミは、納得したのか、


「そうだね、ポジションはスグルさんが決める事だし、僕の考え過ぎかな、」



 と、二人の会話が、俺に聞こえて来た。



 『キィオ』?



 そうだ、



 何故、ハルが『キィオ』に選ばれたんだ?



 俺は、そんな事、考えても無かった、





 ハルは、何故、『キィオ』に選ばれたんだ?

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