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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の試練編
81/136

ソース

 4月24日の錬曜日レィョルヤ、今日は、俺の初めての給料日だった、約束は7万RG(リージェン)、実際に貰ったのは、手当等が付いて、10万RG(リージェン)


 俺は、その日の夕方、ソースを作る為に市場で、ハーブと胡椒らしい物を買った、その他、ソースを入れるビンも勿論、買った。


 夜、『星に祝福されし果木(スタラブルタゥミィ)』の黄色と青の果実を収穫して、幾種類かのソースを作る事した、


 ソースを作る為に、実が殆ど無くなるくらい、今日は黄色と青色の実を収穫し、その為、今の『星に祝福されし果木(スタラブルタゥミィ)』には果実が付いていない、


 けど、俺は、心配してはいない、この世界の木々や野菜は一夜経つと、殆ど、前と同じくらい果実を付ける、


 だから、俺は、安心して、収穫に励んだ。



 ソースは、黄色の果実のみ、青色の果実のみ、両方を混ぜた物、更に、『星に祝福されし穀物(スタラブルフー)』の野菜を、細かく刻んで混ぜた物、


 そして、ベーコンを浸けた物、ハーブや胡椒等で、味に変化を付けた物等、数種類のソースを作り、其々をビンに摘めて、保存した。



 俺は、勿論、朝、昼、夜と、ボーゲンの食堂で、メシを食べている、


 俺の給料が増えた事と、同様に、ボーゲンの食堂の、ランチの量も、僅かだが、増えた気はする。


 しかし、常時、『星隠し(ダークスター)』を展開し、『星の門(スターゲート)』を開いている俺には、この世界の食事だけでは足りない、


星に祝福されし穀物(スタラブルフー)』で作られた、『星に祝福されし食物(スタラブルイー)』を、俺の体は、欲している。


 だから、休憩時に、俺は、軽く『星に祝福されし食物(スタラブルイー)』を取る事にしていて、


 休憩は、スグルの世界の、休憩時間、10時と、15時に15分間取るようにしているので、『星に祝福されし食物(スタラブルイー)』を口に入れる時間は有る、


 まぁ、端から見ると、結構、俺は良く食うよに見えるらしい、外観も小太りだから、余計、大食漢、って思われている。



 その為、ボーゲンが、食事の量が増える前日、


「・・・足りねぇのか?」


 っと、ぼそっと聞いてきた、


 俺は、何がって聞き返す寸前に、食事の量だと気が付いて、


「足りなくは無い、大丈夫、俺は、この量で充分、満足してる、気を使ってくれて、有難うな、料理長、」


 と、俺は素直に、答えを返した、


 何せ、幾らこの世界の食事を食っても、今の俺じゃ、ごみ箱に食事を投げ入れるようなもんだし、


 この飢餓感は、彼の所為せいじゃない、此は、俺の問題だ、



 彼は、少し考えて、一言、


「食い過ぎは、良くねぇ、」


 と、ぼそっと呟いて、厨房に戻って行った。



 ・・・


 えーと、


 其って、俺が、太っているから、


 彼は、其を気にして、ダイエットのつもりで、食事の量を減らしていたとか?



 ・・・



 まぁ、真偽は分からないし、聞く事でも無いんだが、俺の健康迄、気にしてくれていたとしたら、


 ボーゲン・ハーグナ料理長は、もしかして、ものすっーごぅく、良い奴なのかも知れない、


 そう思った翌日、


 食事の量が、



 少し増えた、



 そんな気がした。




 4月25日の雷曜日ラィョルヤ、俺がこの世界に来て34日が経った。


 今日は、第5回放課後自主講座(フォールドコーゼ)が開催される、


 順調に行けば、今日で、『星の遺跡・草原』は、攻略出来ると、俺は思っているし、


 『星の遺跡』が、星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)なら、あの最終試練は、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』が、相手に出来ない仕組みじゃ、無いと思っている、


 其でも、実際、最終試練で、何が起こるか分からない訳で、前はメルティスト先生が、死にそうになったし、


 何が起きても大丈夫なように、俺は、『星の力』が枯渇しないよう、『星に祝福されし食物(スタラブルイー)』の準備をする事にした。


 まず俺は昼の休憩時に、試しに、ベーコンの サンドイッチ(バンデゥタ)を1個作り、


 更に、そのサンドイッチ(バンデゥタ)には、『星に祝福されし果木(スタラブルタゥミィ)』の果実のソースをつけて、試食をしてみた、


挿絵(By みてみん)


 其は、サンドイッチ(バンデゥタ)のベーコンに掛けたソースの旨み成分が、只でさえ旨いベーコンや野菜を更なる高みへと引き上げている、なんか、スグルの世界の『味の○』の宣伝みたいだが、そんな感じになり、


 上手く、言葉じゃ言えないけど、



 ようは、更に旨くなったって事だ。



 そして、特筆する事は、『星の力』の効果も、2倍になった気がする、持続力と言うより、一気に消費出来る量、つまり、瞬発力が2倍になった、と言う感じで、



 まぁ、ソースを掛けるのと、掛けないとじゃ、掛けた方が旨いのと、『星の力』の瞬発力が増すなら、掛けた方が大徳ってな訳で、俺はその後、あらゆる物にソースを掛けて、食ってみた、


 その結果、ベーコンや肉類には、黄色ソース、野菜や卵には、青のソースが合う事が分かり、


 そして、黄色のソースは、『星の力』の瞬発力、青色のソースは、持続力が、其々体感で2倍、黄色と青色を合わせたると、其々、瞬発力と持続力が1・5倍位の感じでアップする、効果が有る事が分かった。



 で、今回は、取り敢えず、ベーコンのサンドイッチ(バンデゥタ)の黄色いソース掛けを作る、


 そう言う、事にして、


 俺は、ベーコンのサンドイッチ(バンデゥタ)を10個作った。



 3時、俺の宿舎に、ハルが一人で来て、俺は、


「一人か、珍しいな、エミちゃんは?」


 ハルは、照れながら、


「エミは、明日から、寮生活になるんで、エルさんと一緒に、部屋を案内して貰っているのと、色々と手続きしてるんです。」


 寮生活か、


「その部屋って、ハルと一緒なのか?」


 ハルは、焦って、


「ち、違いますよ、師匠、女子寮ですって、僕は、男子寮になります!」



 まっ、そうなるよな、まだ、高校生だし、流石に、此の世界でも、親公認の中でも、未成年の男女間の関係は厳しいって事かな、


「そうか、そうだよな、でも、ハルはさぁ、卒業したら、エミちゃんと一緒になるんだろ?」


 ハルは、真顔で、


「はい、僕も、エミもそのつもりです、二人で両親の後を継ぐつもりですから、」



 両親の後を継ぐか、



 人生を真剣に生きてる、



 そうか、



 此の世界の子供達は、いや、たぶん、此の国の子供達だな、此の国の子供達は教育制度に甘えが無いから、皆、自分の人生を真剣に考えている。


 その転換期が、彼等にとっては、魔導術が使えるようになるか、どうかだ、



 悩み、多き年頃に、多くの選択肢が有る訳じゃ無い、此の国は産業の種類が乏しいとルナちゃんは言っていたし、やりたい事が有っても、才能で、決められてしまう此の国じゃ、


 早い、段階で諦めるか、どうか、


 そう言う世界、嫌、国だと言う事か、


 で、諦め切れない、若者も、



 やっぱ、いるよな、例えば、ダンとか、



 だから、ダンは、何時も、苦しんでいる表情をしているし、



 俺には、そう見える。



 俺は、スグルの世界での事を、思い出していた、普通に高校を卒業し、普通に遊びとバイトで、名もない大学を卒業し、名もない小さな会社に入社して、


 其処が、ブラック企業だったから、気が付いたら、経営者と対立して、年は、既に、30を越えていた、



 俺の、生きてきた世界の中では、スグルの世界が、俺にとっては、一番の長生きだったんだが、選択肢の多い世界も、また、有る意味、苦悩の多い世界だった、


 自分の人生の道を見つける事の出来ない世界、


 暗闇しか無い世界、


 その暗闇から、光りを自分で探さなければいけない世界、


 だから、心が病んでしまう世界、


 

 誰しもが、皆、強くは無い、



 ・・・



「師匠?」



 いかん、感傷に浸ってた、


「あぁ、悪りい、悪りい、つい、昔の自分を思い出してた、」


「師匠の昔ですか?」



 ハルが、えっ、ってな顔してるよ、まぁ、俺の学生時代の姿は、想像、出来る分けねぇだろうし、


「ところで、ハル、ちょうど、今、サンドイッチ(バンデゥタ)を作ってた、一個、食ってみないか、」


 ハルは、嬉そうに、


「はい、師匠、」


 と、言い、


 彼の、その明るい、笑顔を見て、やっぱ、まだ、ハルは育ち盛りの高校生パールバウゼだな、と兄貴気分で思う、俺だった。



 ハルが、試食した、ベーコンのサンドイッチ(バンデゥタ)のソースは、黄色と青を混ぜた物にした、


 ハルの感想は、すっごーく旨いと、叫んだのと、力がみなぎる、と、俺に言った。


 此の感覚は、俺も感じたから、『星に愛されし子供(スタラブルチャー)』のハルには、『星に祝福されし果木(スタラブルタゥミィ)』の効果が有るって事か、


 後は、持続時間、


 そう思っていると、時間は3時半になり、『星に愛されし民(スタラブルラディ)』皆も、俺の庭に集まって来た。



 さてと、いよいよ、『星の遺跡・草原』の、最終攻略ポイント、サイクルストーンに、行きますか、


 その次の、星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)に行くために。



 庭には、エミちゃんがいて、


 俺は、エミちゃんに声を掛ける、


「明日から、寮生活なんだって、エミちゃん」


 エミちゃんが、笑顔で、


「そうだよ、スグル、明日は、両親とハルが、荷物、運んでくれるんだから、」


 俺は、ハルを見て、


「そうなの?」


「はい、師匠、!」


 エミちゃんは、更に嬉そうに、


「ハルも、来週には、寮に引っ越すんだよ、その時は私も、ハルの引越し、手伝うつもりなんだからね、スグル、」


 そうだな、そうなると、いよいよ、



 ダンが、俺に言った、


「スグルさん、ハルも、エミも、寮に来ます、だから、少しでも、訓練の内容を、上げてくれませんか、来月には、地区予選が、始まります!」



 ・・・



 魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセか、


 彼は、やっぱ、そっちが大事か、


 俺は、ダンに言った、



「あぁ、たぶん、訓練は、もっと、もっと・・・」



 過酷になる、



 ・・・



 と、俺は、そう思った。

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