表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
運命と使命編
74/136

油と蕃茄

 4月20日の闇曜日デェョルヤ、スグルの世界での月曜日、そして、俺がこの世界に来て29日、


 俺の日課は、まず、学校の掃除から始まる、勿論、庭の掃除も有る、後、花壇の手入れ、魔導機で花壇に水をあげたり、やることは、沢山有る。


 今日は、昼もそこそこにして、15時頃、1時間の休憩にする事にした、


 学校作業員ハウゼ・アルパ学校事務員ハウゼ・オルパと違って、時間で働いている分けでは無く、


 決められた仕事を、一日に必ずやれば良い、だから、生徒の授業が終わった後、掃除を始める 学校作業員ハウゼ・アルパもいる。


 勿論、俺もそうしている、ただ、この学校は、生徒が教室間を移動するので、空いてる教室も有るから、昼、廊下、トイレと一緒にある程度の教室は掃除出来る、


 だから、他の学校の学校作業員ハウゼ・アルパと違って、真夜中迄、掃除をする事は無い、


 其に、俺には、好奇心旺盛な、星達が助けてくれる、其で、たぶん、他の学校作業員ハウゼ・アルパより、仕事は早いと思う、



 つまり、スグルの世界で言う、自由裁量制ってやつだ、だから、給料も安い、その給料だが、俺がこの学校で働き始めたのが、3月24日、


 今日が、4月の20日、後、4日で、初給料の7万RG(リージェン)が貰える。



 その前に、俺は、この国の偉い人のお嬢さんである、ルナさんから500万RGリージェン、貰ったから、お金には困って無い、


 ただし、ルナさんが、返せと言ったら、俺は、悪い事以外のいろんな事をしてでも、その金を返さなくちゃならない、



 ・・・



 まぁ、言われた時は、言われた時だ、今は、有り難く、使わさせて貰おう、


 俺は、そう言う男だ。



 明日の放課後自主講座フォールドコーゼは、4時から6時迄だ、だから、弁当は要らない、けど、俺とハルは、『星の力』を補給する為に、『星に祝福されし食物(スタラブルイー)』を取らなくちゃならない、


 だから、何か、軽食は作るつもりだ。



 其処で、油の花(オルダァファ)の苗を購入して、『星に祝福されし穀物(スタラブルフー)』の油を作ろうと考え、


 その油と『星に祝福されし穀物(スタラブルフー)』のパンの木実(デゥタ)を使って、砂糖をたっぷりまぶした揚げパンを作ろうと思った。


 今までの経験から、想像できるのは、星の高貴な味と香りが、油に加われば、スグルの世界の最高級エキストラバージンオリーブオイルに匹敵する物が出来るんじゃねぇか、



 更に、蕃茄トマトに当たる、植物を『星に祝福されし穀物(スタラブルフー)』として育てれば、『星に祝福されし食物(スタラブルイー)』のケチャップが作れる、


 ケチャップが出来れば、後は、いろんなソースを作る事が出来るし、


 前回、不評だった、カツレツサンドも、絶対、旨くなる事、間違い無しだと思った。



 ソースは、揚げ物には必須だ、



 折角、農牧高等学校ラウダ・バ・ハウゼに行くんだ、油と蕃茄トマトが手に入れば、当分の食生活は、何とかなる、



 なんか、最近の俺は、食う事ばっか考えている、やっぱり、この世界に来て、味わった、あの飢餓感が、俺に影響しているんだと思う、


 現実、今も、俺は膨大な『星の力』を消費している、だから、


 俺自身、この世界に来た、当初より、膨大な、『星の力』を使えるようになっていると思う。


 今なら、片手で、あのルナちゃんが乗ってた軍艦、動かせんじゃねぇのかなぁ、


 

 試す気はねぇけど、



 ハルもそうだ、ハルも、俺の指示で、常時、『星隠し(ダークスター)』を発動している、


 だから、ハルも、『星の力』を使う事は、だいぶ、上手くはなった、



 だが、



 はっきり言って、彼の成長は、遅い、『星に愛されし子供(スタラブルチャー)』は、星に選ばれた民だ、



 特別な才能が絶対、有る、



 その才能が、かっての『星の六大国』を支えた、


 だが、彼には、その才能が、



 見えない、



 下手すると、他の五人の方が、早く、『星の力』を使いこなすような気がする、



星より渡される道具(スターディトゥール)』も小さいナイフしか作れ無かった、


 かって、『星に愛されし子供(スタラブルチャー)』が作る、『星より渡される道具(スターディトゥール)』は、巨大な斧や、堅牢な盾、星の杖、にしても、かなり価値が有る物だった、



 だが、ハルが作った物は、本当に、只のナイフだ、


 特別な価値は無い、



 俺には、分かる、



 此は、ハルに才能が無い、と片付く問題なのか?



 俺は、何か、間違っているのだろうか、



 ・・・



 ふぅ、


 俺が、焦ったら、ハルが動揺する、そうしたら、上手く行く事も、悪くなる、


 ダメだ、兎に角、今は、俺が出来る事、皆を星の力の訓練所(スタラブルトゥーサ)の先に連れて行く事と、


 ハルに、『星に祝福されし穀物(スタラブルフー)』で作られた『星に祝福されし食物(スタラブルイー)』をたっぷり食わせる、


 そして、少しでも、ハルの体の中の『星の力』を増やす、



 そう、俺は考えながら、農牧高等学校ラウダ・バ・ハウゼへの、『星の門(スターゲート)』を開いた。

 


挿絵(By みてみん)


 バルセリア農牧高等学校ラウダ・バ・ハウゼは巨大だ、魔導高等学校アウル・バ・ハウゼの比じゃない、


 正面に巨大な、コの字の、地中海風の建築物以外に、同じ規模の建物が5つは有るんだそうだ、


 そして、百を越える共同宿舎に、広大な農地、広大な牧場、


 まさに、バルセリアの学園都市だ。



 此は、エルさんから聞いたんだが、此の国の若者の中で、魔導術が使えるようになって、俺が働いている魔導高等学校アウル・バ・ハウゼに来るのは、約1割、


 此の子達は、魔導術が使えるだけで、特に優秀かどうかは関係無いらしい、


 そして、もう1つの、魔導工学アウルレーベの学生達は、若者の1割しか受からないテストと実技の試験を合格して来た若者だから、彼等は、超エリート、



 で、此の国の残りの8割の若者は、目の前の、農牧高等学校ラウダ・バ・ハウゼのような学校に行く、


 8割の若者が行く学校だから、農牧ラウダと言っても、農業と牧畜だけを教える訳けじゃなく、ありとあらゆる事を教える学科が沢山有るから、此の学校は巨大なんだとか、


 例えば、音楽や芸術、料理、数字、等を教える学科も有り、公都の大学ガウゼに行く才能の有る生徒も、中にはいると言ってた。


 こんな巨大な学校だから、学校作業員ハウゼ・アルパも10人以上はいるらしい、


 10人以上だから、人件費もバカにならない、更に、エルさんが言うには、此の学校の先生達も、学校事務員ハウゼ・オルパも凄い高給で、


 その為、エルさんの上司や同僚は皆、此の学校に転職したんだとか、


 そんな高給取りが沢山いても、経営的に安定している理由が、生徒達が、売れる農産物を作ったり、此の学校で飼育している野牛コルゥモウ上級野牛バ・コルゥモウを市場に出荷しているからだ、


 勿論、此の学校で直接販売もしている、


 前回は、俺と、記者のローシィとで、パンの木(デゥ)の苗木を買いに此の学校に来た、



 今日は、俺、一人だ。



 俺は、学校を見ながら、此の学校の農園の入り口から、中に入った、


 農園に入ると、中央に巨大な木造の建物が有り、中で、受付して、苗木や、野菜、果実等が買える仕組みになっている、


 前回は、4月2日の磁曜日ジィョルヤだった、あの時は、実習で、沢山の高校生パールバウゼが売り子をしていた。


 今日は、闇曜日デェョルヤだ、スグルの世界での月曜日、お客が少ないせいか、高校生パールバウゼも少なく、緑の制服を着た学校事務員ハウゼ・オルパらしい人達が売り子をしている、



 その一人の年輩の女性が、俺に声を掛けてきた、



「失礼ですが、貴方、魔導高等学校アウル・バ・ハウゼ学校作業員ハウゼ・アルパの方ですよね、」



 えっ、やっぱ、服装で分かるのか?


 なんせ、私服に着替えないで、制服のまんま、此処に来ちまったし、


 俺は、彼女に、


「やっぱ、分かります?」


 彼女は、微笑みながら、


「私、前は、魔導高等学校アウル・バ・ハウゼで、学校事務員ハウゼ・オルパをしていましたから、上下に分かれている、学校作業員ハウゼ・アルパの制服は、魔導高等学校アウル・バ・ハウゼの特徴です、此処は、上下が有りませんし、」



 つまり、此処はスグルの世界で言う、ツナギで、俺のは、ジャケットとズボンて訳だ。


「じゃ、もしかして、貴女は、エルさんが言った、此処に転職した先輩さんですか?」



 彼女は、笑いながら、


「先輩さんって、まぁ、エルデシィアは、私より、遥かに優秀だし、同僚って関係かしら、」



 確かに、エルさんは、優秀だ、だから、学長も彼女を職長パーダにしたし、



 彼女は、俺に手を差し出しながら、


「私は、マルガーレ・スターデェト、マルガとお呼び下さい、」



 俺は、彼女の手を握りながら、


「俺は、スグル・オオエです、皆は俺の事、スグルって呼びます、」


 彼女は、手を離して、


「スグルさんは、今日は、何しに、此の、農牧高等学校ラウダ・バ・ハウゼに、」


 俺は、頭を掻きながら、


「うーん、その、今、俺、魔導高等学校アウル・バ・ハウゼで、畑とかやってて、其で、油とトマトの苗が、此処にないかなぁと、思って、」


 彼女は、少し考えて、


「えーと、油とトマト?ですか、ちょっと専門的のようですね、待って下さい、先生、呼んで来ます、」



 えっ、先生?


 彼女は、走って、裏方に行ってしまった、



 彼女が連れて来た先生は、白髪の年輩の先生で、名前は、ガンラード・オーレンラーゲと言った。


 此の、農園の責任者らしい、


 先生の案内で、油の苗を見せて貰った、油の花(オルダァファ)の種類も、此の学校では、40種類も有り、その用途で大きさも、味、も違うんだそうだ、


 俺が、市場で買ったのは、もっとも普通の食用油で、沢山取れるから安く市場に出ているんだとか、


 勿論、貴重な高給油が取れる、油の花(オルダァファ)も有るんだそうだが、栽培が難しく、勧めてはくれなかった、


 うーん、まぁ、俺としては、こだわった料理に使うから、出来るなら、菜種油じゃなく、オリーブオイルのような油が欲しいって説明したら、


 なんか、半分、分かってくれたのか、緑色の、夏ミカンぐらいの実が付く、油の花(オルダァファ)を勧めてくれた、


 俺は、此の苗を購入し、


 そして、蕃茄トマトだが、



 先生が見せてくれたのは、


 一本の木に12種類の実が成っている木!



 ・・・



 まじに、漫画だ、


 実の色も赤、緑、白、青、形も丸、楕円、細長い形からいろいろ、



 此の木の名前は、



魔の恵みの果木(アウルブレルタゥミィ)



 此の木の凄いのは、更に、木の幹から12種類の樹液が取れる、


 12種類の実に12種類の樹液!!



 先生が言うには、此の学校では、実は18種類の『魔の恵みの果木(アウルブレルタゥミィ)』を育てていて、


 此の苗は、販売してないそうだ、



 先生が言うには、勿論、一本の木に1種類の果実が沢山なる種類の木も此の世界には有る、市場に出ている果実は、殆どがそう言う種類の木になっている果実で、


 家庭菜園等の個人が食する為の木は、此の一木いちぼく多種果実の木が好まれていると、俺に教えてくれた。


 味や色は別として、確かに、水分が多い、蕃茄トマトのような、果実も有ったし、リンゴ、ミカン、マンゴーの食感の果実も有った。



 結局、俺は、此の木が気に入ったので、此の苗を買う事にした。


 

 油の花(オルダァファ)の苗と魔の恵みの果木(アウルブレルタゥミィ)の苗木は、結構、高く、


 俺は、二つで5万RG(リージェン)払った。



 そして、俺は、二つの苗を手に持ち、農牧高等学校ラウダ・バ・ハウゼの外で、星隠し(ダークスター)を強くし、回りの人の俺に対する意識を消した後、


 俺は、宿舎に通じる、星の門(スターゲート)を開いた。




 その夜、俺の宿舎の庭には、星に祝福されし穀物(スタラブルフー)に育った、油の花(オルダァファ)魔の恵みの果木(アウルブレルタゥミィ)が、その美しい実を付けて、


 星の光を反射して、


 美しく、光、輝いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ