放課後自主講座
4月14日の火曜日、俺がこの世界に来て23日、
俺は、午前中は、普通に学校の掃除をして、そして、午後、エルさんから学長室に来てくれと言われ、
俺は、ジェルダ・ルーバッハ学長がいる、学長室に、掃除道具を持って、向かった、
学長室は、相変わらず雑然としていたが、何か、少し、綺麗になったような気がする、
「君に、掃除して貰えば、直ぐに綺麗になる事は、分かっているんだが、研究書類は動かされたく無いから、自分で少しずつ掃除をしている。」
俺は、笑いながら、
「大丈夫、学長、だいぶ綺麗になってますよ、で、学長、御自身で掃除しているなら、何で、俺を呼んだんです?」
学長は、魔導本を見ながら、
「今、メルティスト先生の夏季自主講座で、スグル君、君が、安全責任者として、推薦されている。」
えっ?
安全責任者?
「その顔じゃ、知らなかったようだな、メルティスト先生は君に話しも無く、君を推薦したのか、」
学長は、ちょっと困った顔をしていた、
俺は、首を振りながら、
「いや、学長、話しは聞いてます、夏季自主講座に参加して欲しいと、只、立場が、責任者ってのが、驚いて、俺、ほら、まだ、この学校に来て、一月も経って無いし、」
学長は、俺を真っ直ぐ見詰めながら、
「人を、理解するのに、時は関係ない、長く付き合っても理解出来ない人も居れば、一瞬で理解出来る人も居る、信頼も同じだ。」
・・・
学長、それって、俺を理解し、信頼しているって事?
学長が、話しを続ける、
「一つ、聞きたい、君から見て『星の遺跡』は、どうだった、安全性から見てだ。」
安全性ねぇ、
まぁ、下品な村長は居るけど、
只、彼奴は金儲けが大事だから、危ない噂は嫌うと思うし、
夏季自主講座にちょっかい出すとは、思えないし、
「安全だとは、思います、危ない輩は、村長は居なくなったと、言ってますし、結構、観光地としては、繁盛してましたよ。」
学長は、驚いて、
「観光地!『星の遺跡』がか!!」
俺は、学長に答えた、
「そうですよ、俺達以外にも、沢山の人が来ていましたよ、学者とか、役人には見えないし、ありゃ本当に観光客ですね、」
学長は、呆れて、
「『遺跡』だぞ、素人が一体何を見るんだ?」
「まぁ、美しい山間の景色と、其処に有る、かって栄、滅んでしまった過去の文明の、神秘的な建造物とか、」
その建造物が、実は、偽物だと言う事実は、俺しか知らない、
「どうですか、学長も、夏季自主講座に参加してみては、良い休暇になると、思いますよ。」
学長は、首を振りながら、
「残念だが、私には、研究があるから参加は出来ない、」
噂の、『嵐』の研究ですか、
学長は、暫く、考えた後、
「兎に角、この書類は、教魔省に送る予定だ、だから、スグル君・・・生徒達の事は、頼む、」
俺は、学長に頼まれた、
俺を、信頼して、
俺は、その信頼に、答えるように、
「分かりました、学長、」
と、答え、俺は学長室を出た。
安全責任者、
生徒を守って欲しい、そう、学長は俺に言っている、
俺は、学長の事は、噂、程度しか知らない、その噂から推測した学長は、学校の事も、生徒の事も無関心だと、聞いていた。
でも、所詮、噂は、噂だ、
学長は、生徒の事を、ちゃんと心配しているし、大切に思っている、
その気持ちは、ちゃんと、俺に伝わって来る。
その気持ちは、本物だ、
だからこそ、俺は、その気持ちに答えなくちゃならない、
俺は、エルさんの処へ、向かった。
エルさん、考えながら、
「サークル活動ですか?」
「はい、有志が集まって、放課後に何か研究したり、訓練したりする活動です、俺の国じゃ、その事を、クラブ活動、サークル活動とか言いました。」
エルさんは、頷きながら、
「放課後自主講座の事ですね、でも、放課後自主講座は、先生達に無償での活動強要ですから、講座を開く先生が、当校にはいないし、」
やっぱり、放課後のクラブ活動のようなもん、この国にも、有るんだ。
エルさんが言うには、隣の農牧高等学校のように、儲かっている高校は、学校が手当を先生達に出せるから、放課後自主講座も盛んなんだとか、
当校は、出せないから、殆どの先生は、講座を開設しないそうだ、
「その、放課後自主講座って、俺にも開設出来ますか?」
「えっ!」
エルさんが驚いた後、
「無理!スグルさん、教師認定書、持って無いんでしょ!!」
はい、持ってません、
やっぱ、無理か、
となると、俺達に協力してくれる、先生が、一人は必要な訳けで、
俺が、この学校で知ってる先生は、ただ一人、
俺は、その先生の処へ、向かった。
先生は、研究室に居た、昨夜の徹夜で、疲れたのか、机に突っ伏して寝てる、
俺は、先生の横に立ち、
「メルティスト先生、メルティスト先生、起きて下さい!」
と、強制的に、揺り起こした、
「わっ!」
先生、突如、起こされたので、ビックリして、飛び起きた!
お口に、涎付けて、
「ご、ごめんにゃはい!!」
先生は・・・寝惚けていた、
「先生、俺です、スグルです、話しが有ります!!」
先生は、目をこすりながら、
「スグル?」
そして、放課後、
ダンを筆頭に、ハルを含めて、C組の7人が、俺の宿舎に来た。
俺の横には、メルティスト先生が居る、
ダンは、口を大きく開けて、驚いていた、
「放課後自主講座ですか?」
あの後、俺は、半分、寝惚けている、メルティスト先生を、エルさんの処へ、連れてって、放課後自主講座の開設の手続きをした、
その頃には、先生も、意識がハッキリして、俺に説明を求めてきたので、『何処でも扉』の話しは、エルさんが居たので、伏せながら、
『遺跡』を自主的に勉強したい、生徒が7人居るから、放課後自主講座を開いてくれないかと、お願いし、
先生は、暫く考えた後、手続きを始めてくれた、
エルさんが言うには、3年生は、A組を中心に、アルバート先生が、魔導格闘技の放課後自主講座を開くし、
1年生も、A組が、フォーダン先生に頼んで、放課後自主講座を開くから、
今月は、3組の放課後自主講座が開設されると、教えてくれた。
やっぱり、学校である以上、勝手な事は出来ないと考えた、俺の判断は、正しかった、
放課後自主講座の規則は、
一つ、必ず、教師立ち会いの活動である事、
二つ、週、三日は越えない事、
三つ、活動時間が6時を越えない事、
四つ、生徒は四人以上、等、
その他、諸々と有る、
「最初に、言っておくが、皆は、メルティスト先生が開く、放課後自主講座に参加して貰う、」
俺は、俺の宿舎に来た、C組の7人の生徒に、そう切り出し、
全員、ビックリして、
リーダの、ダン君が、
「放課後自主講座ですか?」
と、俺に言った。
俺は、皆に、『星の遺跡』に通じる、『何処でも扉』を開ける約束をした、
君達の、安全が保証されないから、扉を開けるのは駄目だって言っても、君達は納得しないだろう、
だから、君達にお願いが有る、そう言って、話しを始めた。
俺はまず、『星の遺跡』の話しをし、遺跡には、魔虫か居る事、魔虫は、攻撃されると魔石を落として消える事を教えた。
オル君が興味深く、
「魔石ですか?」
と言ったので、俺は、
「此だ、」
と、言いながら、ポケットの魔石を彼に渡した、
そして、渡す瞬間に、魔石を包んでいる、『星隠し』を切った。
魔石は、オル君の手に落ち、消えなかった。
此で、決まりだ、
オルダス・ホールスは、
『星に愛されし子供』じゃ無い、
エミちゃんが、オル君の持つ、魔石を見ながら、
「わぁ、綺麗、」
と、言ったので、俺は直ぐに、
「エミちゃん、お土産に、皆の分も有る、」
と、言いながら、エミちゃんにも、魔石を渡し、
やっぱり、魔石は消えなかった。
結局、魔石が消えたのは、ハルチカ・コーデル、ただ一人だけで、ハルが手にした瞬間、魔石は消えた、
「師匠、此は!」
俺は、目で、ハルに、何も言うな、と伝え、
ハルも、直ぐに、俺の言いたい事が分かったのか、口を継ぐんだ。
俺が、予想していた通り、『星に愛されし子供』は、ハルだけで、俺の方針も決まった。
『星の遺跡』の攻略は、夏季休暇、後半から始める。
「でだ、『星の遺跡』には、その魔虫が居るから、全員、ロートス社から貰った、魔導防護服を着用して貰う、」
ダン君は、頷きながら、
「勿論、魔導格闘技の練習でもある訳だから、皆、そのつもりです、スグルさん、」
俺は、メルティスト先生の方に向いて、
「先生、先生も遺跡に行くなら、魔導防護服を着て貰います。」
先生、嫌な顔して、
「ええ、でもスグル、私、魔導防護服、持ってないわよ。」
先生、あんた、死にそうに、なったんだよ、
俺は、キッパリと、
「大丈夫です、俺が、用意します、たぶん安物だけど、」
今の俺、500万RG持ってるから、たぶん、買えるよね。
その時、リアが、手を上げて、
「あのぉ、私、ロートス社に知り合いがいます、その人に頼んで、先生の魔導防護服を借りてきます。」
えっ、リアちゃんが、嬉しい提案をしてくれた、万が一、借りれたら、無駄な出費をしなくて、助かるし、
「お嬢様、」
アンリちゃんが心配している、まぁ、借りれなければ、買えば良いし、
俺は、話しを続けた、
「ええと、活動日は、火曜日、磁曜日、雷曜日の三日間だ。」
此は、スグルの世界の曜日で、火、木、土曜日だ。
此処で、ダン君が不満を言うかなと思ったんだが、彼は、何も言わず、俺を見ている、
俺は、続ける事にした、
「活動時間は、授業の終わった4時から、6時迄、此は、準備時間も含まれているから、君達は学校を6時迄出なければならない、但し、雷曜日は、2時迄が授業だから、昼を取った後、3時から活動を始める。」
俺が伝えたい事で、大切な事は、以上なので、此処で、話しを止めて、皆の質問を待った、
その時、メルティスト先生が話し出した、
「スグルさんの話しが終わったので、次は、私から、」
えっ!
先生、しゃべんの!!
俺は、先生の横で驚いていた、
「まず、この、放課後自主講座の名前だけど、」
名前?
「『星に愛されし民』」
えっ!!!
「此は、古語で、星に愛されている人達って言う意味、なんか、貴方達にピッタリなんで、其で、登録したわ。」
登録!
俺は、
知らなかった、
先生が、
この、放課後自主講座に、
『星に愛されし民』を、
付けた事を、
その意味は、先生が言う、意味も有る、
だが、もう1つの意味を、
先生は知らない、
星に、
運命を託された人々の、
意味で有る、事を、