表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
運命と使命編
54/136

ダンバード・グラスタ

「えっ、練習が出来ないんですか!」


「出来ないとか、するなと言ってるんじゃない、魔導教練棟は、3年生の団体戦と個人戦の練習で使う、君達、2年生と1年生の団体戦は、別の場所を探して欲しい。」



「アルバート先生!」



「分かってくれ、ダン、アル、3年生は、今年で最後なんだ、何とか、地区大会を突破して、公都の全国大会に出場させたいんだ!」


「分かりました。」


「・・・分かりました。」




 4月9日 磁曜日ジィョルヤ


 魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセが終わって、次の日、アルバート先生は、地区大会の説明の為に、放課後、個人戦の出場選手、九名、と団体戦の出場クラスのクラスリーダとサブリーダを、集会室に呼んだ。


 団体戦の出場クラスは、3年は組、2年はツェ組、1年も組で、2年の代表のツェ組のクラスリーダである、私こと、


 ダンバード・グラスタ


 挿絵(By みてみん)


 それと、サブリーダで親友の、


 オルダス・ホールスは、


 放課後、説明を聞く為に集会室に向かった。


 其処に、集まった面々は、フェルシェール・レェーベン先輩を筆頭に、此の学校では有名人ばかり、あのガルホールもいる。


 確かに、2年でツェ組が代表と言うのは、ちょっと浮いている感じがするが


「珍しいな、君が、気後きおくれか?」


 オルが心配して、私に声を掛けてきた、


「違うな、オル、自分が彼等と同等になったんだ、今の私は、最高の気分なんだよ。」


 オルは安心して、


「其でこそ、ダンだ。」



 勿論、空元気からげんきだ、



 魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセ団体戦の、地区予選に出場する、バルセリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼ、2年生の、代表になった時から、その責任と皆の期待の重圧が、私に重くのし掛かっている。


 ふぅ、


 期待、


 其は、何時いつもの事だ、



 私は、ウェールド公国、東方領の小さな地方名主ちほうめいしゅグラスタ家の後継ぎとして生まれた、


 勿論、グラスタ家はガルのスターゲス家に比べれば、遥かに小さいし、知っている人も少ない。


 しかし、小いさくても、名主めいしゅである両親は誇り高く、立派な人で、私にも、自分の土地を守る領主の後を継ぐ事を期待して、


 両親は幼少の頃から、私に英才教育を施してきた。

 


 私は、そんな両親の期待を裏切りたく無く、また、努力する姿を人に見られるのが恥ずかしく、


 私は人が見ていない処で、人の倍、から三倍は努力をするようになり、


 その為、回りの人は、私が何もしなくても、言われた事、しなくてはいけない事が出来る、天才と勘違いして、


 両親も兄弟、姉妹も、私が優れていると思い、余計に私に期待するようになってしまった。

 

 そして、私が、中学校ハウゼの時、魔導の才能に目覚め、私は、魔導高等学校アウル・バ・ハウゼに進学する事になった。


 父も、母も、姉も、魔導の才能に恵まれ、バルセリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼに進学し、首席で卒業した、


 私も、期待され、


 そして、



 ツェ組になった。



 私には、魔導の才能が無かった。

 


 私は、初めて、両親の兄弟の、姉妹の期待を裏切った。



 私は、魔導に目覚めた時から、その力を磨くべく、努力した、人の五倍、いや、十倍は努力した、


 しかし、魔導術だけは、努力で、どうにか、なるものでは無かった、


 才能の無い、私は、入学の考査判定で、無慈悲にもツェ組に決まり、



 私の両親は、私に絶望し、



 そんな環境が、空気が嫌で、


 私は、逃げるように、家から学校の寮に引越した。

 


 バルセリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼの一年間は、私の今までの人生と比べると、最も、穏やかな年だった。


 そして、たぶん、此のクラスの中では、一番、家の格が高い事から、担任のノーラス・グゥーエデン先生が、わたしをクラスリーダに任命した。


 組は、スターゲス家の三男、ガルホール、


 ベェ組は、軍人家系のサンドール家のトーネルがクラスリーダに選ばれた。


 クラスリーダと言われても、する事はあまり無かった、まず、最初にした事は、サブリーダを任命する事だが、下手に女子を選ぶと、いろいろと面倒なので、


 私は、オルダンス・ホールスを任命した。


 彼は、私と違って、本当に秀才だった、彼は、一回、聞くと、忘れる事は無く、その些細ささいな事から全てを理解する事が出来る、明晰な頭脳の持ち主であり、


 一つの事を記憶する為に、人の三倍努力してきた、私にとって彼は憧れだった。


 その秀才である、オルにも欠点は有った、兎に角、彼は、魔導術の術技がダメだった。


 彼は、たぶん、魔導工学科に行くべき人材だと思う、


 だが、此の国では、魔導術が使えるようになった子供は、必ず、魔導高等学校アウル・バ・ハウゼの魔導科に進まなければならない、


 国の未来と将来の為に、子供達の魔導術の才能を伸ばす事が重要だからだ。


 私達は、高校生パールバウゼの三年間で、魔導術の正しい使い方と、基礎と初歩を学び、


 才能の有る人は、更に、大学ガウゼに進み、専門的な技術と知識を学ぶ。

 


 進学、希望、夢、


 いろいろな、夢が有るべき、高校生パールバウゼの一年生、



 しかし、その頃の私は、自分に魔導術の才能が無く、努力してもどうにもならない、世界が有る事を知り、


 更に、オルを知って、自分には、他の事にも、才能が無かった事を自覚し、


 父の後を継ぐのは、姉か弟だろうと思うと、何か肩の力が抜けて、私は、物事がどうでも良くなってしまっていた。



 私は、軍事国家の此の国では珍しい、ポワジューレで流行っている長い髪に緩いウェーブを付けた、髪型にして、


 今までの、自分を、どこか変えようと、心がけた。



 学校は、荒れていて、無気力な先生達や、学長は、そんな学校を変えようとする事は無かった。


 中学校ハウゼの頃の私だったら、学校を変えよう、そう皆に呼び掛け、先頭に立って、いろんな事に取り組んだかも知れない、


 しかし、自分の将来、自分の人生を考えている私には、そんな余裕も時間も無かった。


 私は、オルを誘って、小さな仕事をし、僅な金が貯まると、旅に出た、


 領地しか知らない私は、他の世界が知りたかった、世界の人々が何をしているのか、どんな暮らしをしているのか知りたかった。



 私は、ポワジューレ共和国で、その進んだ社会、その豊かな未来に驚愕し、


 南の、自由都市同盟の美しい海と自然に感動し、


 北の北方共和国連合の雄大な山脈と、限りなく白い雪原に、自分がどれ程、小さな存在であるかを知った。



 そんな、私に、好奇心の塊である、オルは、何時も、一緒に同行してくれた、


 だから、口、煩い女子達は、私達の関係をいろいろと言ったが、


 彼とは、本当に友人であり、



 私にとっての、大切な一番の友人だった。



 学校の問題も、私には、分かっていた、自分がどう言う行動に、でなければいけないのかも、分かっていた。



 旅が終わり、世界を見てきた、私は、一年が終わり、明日から2年になる前日、自分を変えよう、学校を変えようと、決意した翌日、



 学校は変わっていた。



 新しく、学校作業員ハウゼ・アルパに成った人が6日で、学校を綺麗にしたとう噂が立ち、たぶん、其は嘘かも知れないが、



 学校は、確かに綺麗に、美しくなった。



 更に、ツェ組に、留学生が二人きた、そのうちの一人は、本物の魔導術の天才だった。


私が、どんなに努力しても、魔導術で温度のコントロールが出来ず、ガチガチの氷を作ってしまうのに、


 彼女は、簡単に三つの魔導術を同時に操作してしまう。



 天は、神は、あまりにも、無慈悲な現実を見せつける。



 一年前の私だったら、心が折れていたかも知れない、しかし、今の私は、自分の立場が分かっている、


 だから、人の、他人の才能は、成長は素直に、喜ぶ事が出来る、



「ダン、無理はするな、」


 オルが心配してくれた、



 もう、大丈夫だ、オル、



 その他、2年になって、成長している者も、何人かいた、


 その中で、際立っていたのが、



 ハルチカ・コーデル



 彼は、一年の時は、目立たず、本当に普通の高校生パールバウゼだった。



 その彼が、春期休暇を経て、大きく変わった。


 彼は、まだ、私達が修得していない同時に、2つの魔導術を操作出来るようになっていた、



 彼は、努力したのか?



 努力が、報われたのか?



 私には、分からない。



 だが、彼の変化が、彼の努力が、私に、クラスの皆に、良い影響を与えてくれる、



 私は、そう確信した。



 そして、その成果が、魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセにきっと現れる、


 私は、そう信じた。


 だから、私は、ハルチカに声を掛けた、頑張って欲しいと、クラスの為に、私達の為に、



 そして、其は、現実となった。



 ガルホールは、ハルチカを潰そうと裏で手を回したに違いない、彼には、学校で、名の知れた、強者つわもの達が対戦相手になり、


 

 そんな強者きょうしゃを、ツェ組の彼は、


 ツェ組でしかない彼が、


 組の、ベェ組の、


 魔導術の才に秀でた者達に、



 彼は、勝った。



 たぶん、彼の奮起が、私達にも、影響を及ぼしたのかも知れない、


 我ら、ツェ組は、皆が、絶好調だった、



 皆が口を揃えて、言った、体が軽いと、相手の攻撃が分かると、魔導術が上手くなったと、


 私でさえ、あんなに魔導術のコントロールに苦しんでいたのに、大会では、針の穴にりきの剣を通せる程の実力を発揮する事が出来た。


 そして、奇跡が起きた、



 ツェ組の全員が、一回戦に勝ち残り、



 団体戦の、地区予選の出場権をツェ組が、勝ち取った。



 更にハルチカは、凄かった、私はハルチカがガルホールを殺す、そう思って、思わず、止めろ!そう叫んでいた。


 後で、彼と、学校作業員ハウゼ・アルパのスグルさんから聞いて知ったのだが、ハルチカが使った技は、『星導術』と言う、スグルさんの武術らしい、


 試合中に倒れた、ハルチカを、スグルさんが介抱し、私達が試合後、スグルさんの宿舎に駆け付けると、


 元気になった、ハルチカが、私達に、そう教えてくれた。



 『星導術』



 ・・・



 確かに、心に響く、名前だ、


 出来る事なら、私も、その技を教えて貰いたいのだが、私達は団体戦の準備が有る、


 出場選手を選ぶのは、クラスリーダの仕事だ、そして、私は、もう、誰を出場選手にするか、決めていた。



 準備は、出来ている、



 後は、地区大会に向けて、練習するだけだ、



 私の心は踊った。



 努力、私の好きな言葉、



 このメンバなら、努力すれば、絶対、地区大会を勝ち抜け、本大会に出場出来る。


 私の、人生に目標と希望が見えてきた。



 アルバート先生の、話しを聞くまでは、


 先生は、私達に言った、


 魔導修練棟は、三年生と個人戦の出場選手が優先的に使う、


 2年、1年生の団体戦出場選手の練習場は、自分達で探してくれと、




 ・・・



 そんな場所が、



 有るのか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ