集いし仲間
「星導術?」
「そうなんだよ、エミ、僕はスグルさんから、『星導術』を学ぶ事にしたんだ!」
エミちゃんは、胡散臭そうに俺を見て、
「スグルさん!人が良いハルを、変な事に巻き込んでない?」
エミちゃん、
俺を、メチャクチャ疑ってるよ、
「大丈夫だって、エミちゃん、只、ちょっと高価な壺を、ハル君に買って貰うだけだって、ウヒヒヒヒ、」
ハルの友達の、ジェミオが、
「スグルさん、その冗談ヤバイって!!」
「えっ?」
エミちゃんは、真っ赤に怒った顔で、
「スグルさん!!!!」
その後、俺は、エミちゃんにさんざん怒られ、横で、ジェミオが、エミは、ハルの事になると、冗談が通じないと、俺に言っていた、
・・・早く言ってよ!
俺は、結局、彼等を俺の宿舎に招き入れた。
彼等は、試合が終わり、戻って来ないハルを心配して、俺の所に、探しに来たんだそうだ、
ハルも、俺も、『星導術』に夢中になっていて、すっかり、彼等の事を忘れていた。
エミちゃんが、心配して、一体、何してたのって、ハルに詰め寄るから、ハルも、俺の正体以外の事を此れ此れ、然々とエミちゃんに説明したら、
最初の展開になって、
冗談、冗談と説明するのに、30分が経過してしまった。
俺は、真面目に、
「大丈夫だよ、エミちゃん、俺は、ハルに、正しい『星導術』の使い方を、毎日、放課後、一、二時間、教えるだけだって。」
エミちゃんを、何とか説得したんだが、
「じゃ、スグルさん!私にも、その『星導術』って奴、教えて!」
えっ!
コーネリア嬢も、興味深く、
「あのー、私にも、その『星導術』を教えて頂けませんか。」
ええええ!
無理だって!
君達、
『星に愛されし子供』じゃねぇし、
「スグルさん、僕には、その『星導術』の理論を教えて欲しい。」
と、秀才のオルダンス・ホールス、
理論なんてねぇよ!
「皆、聞いてくれ、団体戦の出場が決まっている僕らには、そんな『星導術』とかで、遊んでいる余裕は無い!」
と、クラスリーダのダンバード・グラスタが助け船、
まぁ、遊びじゃねぇけど、
「そう言えば、試合どうなったの?」
ハルが、ハルの友達、ジェミオ事、ジェミに聞いている。
「そうか、ハルは知らないんだっけ、一位は『皇帝』、ガルホール・スターゲス、二位は同じくA組の『冷姫』、フェルデシア・フレーガン、三位も、A組の『光王』、カーストル・グランドール
」
・・・何、その中二的な、二つ名!
ちょっと格好いいけど、言ってて、恥ずかしくないのか?
ハルは、ちょっと寂しそうに、
「そうか、ガルが優勝したのか・・・」
ジェミが、気を使って、ハルの肩を叩きながら、
「ハル、君は頑張ってたって、奴に一発食らわしたんだし、気さえ失わなければ、ガルに勝ってたって!」
コーネリア嬢も、優しく、
「そうですよ、ハルさん、あの試合は、ハルさんの勝ちです。」
「でも、負けは、負けよ、ハル、良いんじゃない、ハルは其で、満足してんでしょ。」
厳しい、エミちゃんは、ハルを励まさない、しかし、エミちゃんが、一番、ハル君の気持ちを理解しているようだ、ハルも、笑顔を、エミちゃんに向けて、
「まぁね、あまり、勝ち負けは気にしてないし、あれが、今の僕の限界だし、」
「じゃ、その限界を、クラスの為に上げてくれ、ハル君、」
「えっ?」
ダンバード、ことダン君が、ハルに説明を始めた、
「私はね、団体戦のチームメンバは、此のチームが良いと思っているんだよ。」
皆がビックリしている、
「例えば、チームのメンバの男女比は、4対3、もしくは、3対4のどちらかだから、ピッタリだし、」
ダン君は、コーネリア嬢とエミちゃんを見ながら、
「女子は、友達だし、気心が知れている、其に、今回は、実力を態と出さなかったようだけど、リア、アンリ、君達は、たぶん、ガルより強いんだろう。」
えっ、そうなの、俺は、ビックリしたが、直ぐに、コーネリア嬢こと、リアちゃんが否定した、
「済みません、たぶん、アンリは、格闘術は、得意だと思いますけど、私は、闘うのは苦手で、」
ダン君は、頷きながら、
「でも、団体戦なら、魔導術が上級のリアなら、守り手だけでも、充分な戦力になる、其に、」
ダン君は、ハルの方を向いて、
「今回の大会で、『皇帝』、ガルに一撃を入れる事が出来たのは、ハル君だけだ、実際、私達は、君が『皇帝』を殺すんじゃないかと思ったぐらい、凄かった、だから、」
ダン君が、言葉を止め、ハルが、
「でも、僕はガルに負けた、」
ダン君は、笑いながら、
「分かってる、だから、地区予選が始まる、二ヶ月間、頑張ろうと言っている、そして、君が、王として、チームを比っ張るんだ!ハル!!」
俺は驚いた、此のイケメン、随分、人間が出来ている、
彼は、ハルの重要性を理解して、重要な役を敢えて、自分では引き受けないように宣言している。
「勿論、君をサポートする為に、私も、ジェミオ、オルダンスも出る!」
「えっ、僕も!」とジェミ、
「断る!」とオル、
ダンは、オルに向かって、
「ダメだ、オル、君の冷静な判断力と、分析力は、狙撃手として必要だ、絶対に出てくれ!!」
オル君が、不満そうに、
「其は、友達としての言葉か、其とも、クラスリーダとしての意見、どっちなんだ。」
また、ダン君は笑いながら、
「両方だ、頼む、オル、私には、君が必要だ。」
なんだ、此の、格好いい会話は、イケメン二人が、絵になる会話してやがる、
結局、オル君も、説得されて、団体戦のメンバに成った。
「師匠、どうしたら、良いんでしょうか?」
ハルが、俺に聞いてきた。
「ん、良いんじゃねぇの、その王で、出りゃ。」
ハルが、不安そうに、
「でも、また、あんな事があったら、」
「その為に俺がいるし、その為の『星導術』だろ、大丈夫だ、二ヶ月ありゃ、ハルなら、力をもっと使いこなせると、俺は、思ってる。」
ハルは嬉そうに、
「師匠!分かりました、僕、やってみます!!」
もし、此れが、『星の導き』なら、ハルが、その大会に出る事は、意味のある事だし、
エミちゃんが、剥れて、
「何か、その関係ずるい!ハルばっかりズルイ!!やっばり、私にも教えて!スグルさん!!」
エミちゃんが、だだっ子になり、俺は、キッバリと、
「エミちゃんには、無理!!!」
と、断言して、また大騒ぎ、
やれやれ、
ゴトン!
あっ、三つの口に焼けたカモシカちゃんを咥えたケティちゃんが、狩りから戻って来た!
「えええっ!」
「きゃあああ!!」
「わあああっ!」
「!!!」
「・・・!!!」
「うぉおぃ!」
「えっあっ!」
まぁ、彼女を見れば、皆、驚くよなぁ、
『失礼デス』
うん、可愛いからね、
俺は、ケティを撫でながら、
「皆、聞いてくれ、彼女は、俺の同居人で、名前はケティちゃんだ、一応、女性だから、まぁ、宜しくな。」
ハルが、驚いて、
「そっ、そうなんですか、凄い!師匠は、『魔導獣』の知り合いもいるんですね!」
「まぁね、ひょんな事から知り合った。」
俺は、然り気無く、皆にケティを紹介したんだが、皆の様子が、今一、穏やかじゃない、
その内、リア嬢が、
「スグルさん、あの、失礼ですが、ポワジューレでは、『魔導獣』を、私的に飼う事は禁止されています、この国では、違うのですか?」
えっ!
そうなの?
ダンが、直ぐに答えた、
「いや、我が国でも、禁止されている、理由は、危険過ぎる事と、貴重種だから、スグルさんは異国の人だから、知らなかったんだ、リア」
オルが、更に説明する、
「一応、研究目的なら、飼育可能ですけど、『魔導省』の許可が必要ですし、許可は、相当な飼育実績が無いと降りないと思いますよ。」
エミちゃんが、済まなさそうに、
「スグルさん、その、私達、もし、国が管理していない、『魔導獣』を見付けたら、『魔導省』に報告する義務が有るの、だから、」
エミちゃんは、最後迄、言わなかった、
けど、俺は、エミちゃんの言ってる言葉の意味を理解していた、
つまり、『魔導獣』を、ケティを、当局に引き渡す、義務が有る事を、
なる程、
そう言う事か、
ケティ、君は、どっかの研究機関から逃げて来たの?
『・・・』
まぁ、良いよ、言いたくなかったら、
さてと、どうするかだ、
まぁ、結論は出てる、
「皆、聞いてくれ、実は、ケティは、この国の『魔導獣』じゃない、」
皆は、えってな顔をした、
「見てくれ、あれが、彼女の故郷の出入口の門、『何処でも扉』だ!」
俺は、庭に有る『星の門』を指差しながら、
皆に『星の門』を見えるようにした、瞬間、
「ほぇ!」
「えっ!」
「わっ!」
「まぁ!」
「・・・」
「おぃ!」
「あっ!」
まぁ、ハル意外は、驚き方が同じだし、さぁてと、説明、説明、
「あれは、『星導術』により作られた、何処にでも行く事が出来る、扉!」
「つまり、『何処でも扉』だ!」
説明にスグルの世界の有名な、漫画のアイテムを借りた、
ハルは嬉そうに、
「凄いです、師匠、其って、僕にもその『何処でも扉』って言う、『星導術』出来ますか!!」
「出来るとも、千年修行したらな、」
「ええ、それは出来ないって事じゃないですか!」
まぁ、そうとも、言うな、
俺は、話しを戻した、
「兎に角、彼女には知性が有るから、俺があの扉で、彼女の国に行った時、知り合って、遊びに来てくれている、それだけだ、だから心配する事は何もない。」
さぁ、ケティ、『星の門』を、行って戻ってきてくれ、
このデモンストレーションが、皆の気持ちを和らげ、
更に、ジェミが、ケティが持ってきた、カモシカ擬きを見て、
「スグルさん、此れって、『アルスパイナ』だよね!」
エミちゃんが、不思議そうに、
「歩くスパナー?」
エミちゃん、其、俺がするボケだから、
オル君も、
「ジェミ、君も気付いたか、確かに、此れは、『暗黒大陸』に生息していると言われている『アルスパイナ』だ。」
ジェミを除いた全員が同時に、
「暗黒大陸!!!」
暗黒大陸?
何、それ?
俺は、ハルに聞いた、
ハルが言うには、この大陸の遥か西に有り、大陸全体が切り立つ断崖絶壁に覆われ、更に、空は、魔導雲の嵐で、魔導船も近付く事が出来ない、未開の大陸なんだとか、
えっ、
じゃ、俺の、『星の門』って、そんな危ない場所と繋がってたの!
大丈夫なの、ケティ、
『大丈夫』
そうなんだ、でも、そうなると、彼等、自分達も、其処に行きたいって言うよなぁ、
ジェミが、
「ねぇ、スグルさん、此の、『何処でも扉』って、僕達も通れるんですか?」
ほら、聞いてきたよ、好奇心旺盛だな、
「ダメだ、此の扉は、ケティ専門の扉だから、君達には、使えない。」
次にオル君が、考えながら、
「じゃ、例えば、僕達用の扉を作って頂くとかは?」
俺は、首を振りながら、
「無理だ、此の扉は、偶然、ケティの故郷と繋がった扉だ、二度と作れない。」
全員が、ガッカリした顔をしている。
勿論、此の話しは、嘘だ、一度繋がった場所なら、何時でも、『星の門』は開けるし、彼等を通す事も可能だ、でも、そう言ったら、彼等は、絶対に『星の門』で、『暗黒大陸』に行きたがる。
今の俺は、一応、此の学校の職員だし、生徒である彼等を危険な事に巻き込む訳にはいかない。
だから、俺は、嘘を付き、
彼等は、全員、ガッカリした顔をした。
いや、一人を除いてか、
ジェミは、直ぐに、
「じゃ、スグルさん、その、焼けた『アルスパイナ』の肉をちょっと、食べさせてくれるのは、どう。」
ん?
「何でも、『暗黒大陸』に行った冒険家が言うには、『アルスパイナ』の肉は、珍味で、美味しいらしいんだけど。」
えっ、そうなの?
まぁ、確かに、美味しかったけど、旨さなら、上級牛肉の方が上だと思うんだが、
オル君が、
「ジェミ、其は、何処の情報なんだい?」
ジェミ君は、笑いながら、
「『オスマン・コーゼスの暗黒大陸見聞録』、2百年前の古書さ。」
「なる程、其じゃ、僕は分からない訳だ。」
てなやり取りを、二人が始めて、他の生徒達は、期待している瞳で俺を見ている。
しゃねぇなぁ、
「分かった、分かった、その肉は、ケティが食べる肉だし、血抜きしない肉は、生臭くて旨くない、ちゃんと血抜きして、熟成している肉が倉庫に有るから、その肉を君達に御馳走しよう!」
その瞬間、
ワアアアアアアアアアア!!!
・・・
君達、お腹空いてたのね。
まあ、仕方ないか、今日は、沢山、魔導術を使ったし、育ち盛りだから、
こうして、その日の、俺の宿舎は、2年C組、ハルの友達達と、焼肉パーティで、大いに盛り上がった。
勿論、俺が作っている、野菜やパンの木実も御馳走した。