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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
魔導高校編
45/136

初めての闘い

 その日、バルセリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼでは、開校以来、初めての魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセが開催された。


 そして、僕こと、ハルチカ・コーデルは実戦に、初めて『星の力』を使った。



 相手は、組の、


 ドナプ・レスタード


 本当に普通の魔導科の生徒だ。


 勿論、組だから、僕よりは魔導術は上手い。


 前の組の試合が終わり、5分間を挟んで、審判の魔導工学科の生徒が僕とドナプの名前を呼んだ。


 僕は自分の試合の番が来る迄、『星の力』を直ぐに使えるように準備をしていた、


 天より、降り注ぐ、『星の力』は僕の体の中央に集まり、その力を、僕は5当分にして、一つは瞳に、二つは両手に配置し、残りの二つは両足に配置した。


 その状態で、僕は格闘範囲エアオゥロセに入った。


 彼は、既に格闘範囲エアオゥロセに入っていて、その瞳は、僕がツェ組だから、魔導術が不得意で、この魔導格闘技アウルトゥオゥロセも弱い、そうう奴だろうと決めている、瞳だった。


 そうだ、君は正しい、たぶん、魔導術では僕は君に敵わない筈だ、


 僕が、防御の『りき』を発動しても、君はその防御を打ち砕く『りき』で攻撃して来る、


 防御は役に立たない、そして、僕の攻撃も彼の防御に阻まれて、僕は君を攻撃する事も出来ない、


 ドナプは、そう考えている筈だ。


 彼は、僕の考えを呼んだかのように、笑っていた。


 僕は、目を閉じて、呼吸を落ち着かせた、大丈夫、僕は、大丈夫、と



 その時、審判が、言った。



「始め!!!」



 その瞬間、僕は、目を開き、



 瞳に、『星の力』を、発動させた!



 世界は変わる、音は消え、見えない世界が見える、


 ドナプの、りきがハッキリと見える、


挿絵(By みてみん)


 彼は、右手に真っ赤な巨大な50センチの棍棒を持ち、左手に真っ赤な体を覆う程の盾を持っていた!!


 凄い!


 此が、組の実力!


 僕は、オレンジの木の枝のような棒と薄い50センチ位の盾を持っているだけ、


 魔導術が視覚化された世界、


 そして、初めて知る、実力の差!


 僕は、何もする事が出来ないまま、


 彼が、巨大な棍棒を振り回しながら、迫って来るのを見ていた。


『闘ェ!!』


 誰かが、僕を応援してくれている、そんな気がした。


 そうだ、戦わなくちゃ、


 僕は、ドナプの攻撃を防ぐ為に、


 左手の盾で、彼が降り下ろしてきた、りきの棍棒を受け止めた!!


 

 バリイィイイイイインン!!!


 音が聞こえた、


 僕の、りきの盾が割れる音!!


 更に、棍棒は、僕の左腕を打ち砕くように、降り下ろされ、


 グゥワアアアアアアア!!!


 激痛が左腕に走り、僕は悲鳴を上げながら、吹き飛ばされた!


 吹き飛ばされた僕を、格闘範囲エアオゥロセ魔導線アウルラーが受け止め、その頃には、僕の腕の痛みは消えていた。


 

 防護服プロセルの魔導術が稼働して無いのか?


 違う、痛みは直ぐに消えた、


 じゃ、何故、激痛が起きた?


 ・・・『星の力』?


 僕の感覚が、倍になってるから、普通じゃ意識しない、痛みも感じるとか?


 防護服プロセルの魔導術が、激痛が起きる前に発動出来ないとか?


 

 審判の工学科の学生が、心配して僕の処へ来た。


「大丈夫? 棄権する?」


 僕は、立ち上がりながら、答えた、


「あぁ、大丈夫、ちょっと、ビックリしただけ、」


 審判は、安心して、


「そうなのか、驚かさ無いでくれよ。」


 そう言って、僕の処から離れ、彼は、ドナプを指して、


「1ポイント!」、と宣言した。


 ドナプの目は、笑っていた。


 所詮、ツェ組、次で終わりだ、そう語っている瞳だった。



 ふぅ、僕は息をととのえた、


『星の力』には、欠点も有った、感覚が上がる事は、利点と欠点も存在する、


 例えば、喧嘩をしてお互いが、殴り合う場合は、多少、鈍感な方が、恐怖心無く、相手を殴る事が出来る、


 しかし、痛覚が敏感な場合は、恐怖心が先に立ち、相手を攻撃する事が出来ない、


 今の僕は、そんな気持ちだ。


 あの、一撃が怖い、またあの一撃を受けたら、



 審判が、手を上に上げて、素早く下ろした。



「始め!」



 再び、僕は瞳の『星の力』を発動し、迫り来る、ドナプを見た。



 その瞬間、ドナプの動きは、ゆっくりとなり、彼の右手のりきの棍棒がハッキリと見える、


 彼は、僕の事を完全に見くびっていた。


 その動作を隠す事無く、彼は僕に近付き、その巨大な棍棒を再び、僕に降り下ろそうとした、


 僕は、更に瞳の『星の力』を強めた、


 ドナプの動きが止まり、僕も同じく、手も足も動かす事は出来ない、


 彼の攻撃を防ぐ事は出来ない、でも避ける事は出来る、


 僕は、右足の『星の力』を使い、30センチ右に移動して、



『星の力』を、切った瞬間、



 右手を思い切り振った!


 スパーーーーンンンンン!!


 僕は、右方向に吹き飛びながら、


 ドナプの、がら空きの胴に一撃を入れていた。


 バーン!!


 吹き飛んだ、僕を魔導線アウルラーが受け止める、



 「えっ?」


 審判が驚き、ドナプはりきが空を切った事に唖然として、僕を見ていた。


 魔導線アウルラーに持たれている僕に、審判が近寄り、


「自分に、りきを使ったの?」


 僕は、立ち上がりながら、


「まぁ、そんな処、・・・反則じゃ無いだろ、」


 審判は、頷きながら、


「まぁ、反則じゃ無いけど、」


 彼は、中央に戻って、僕を指しながら、


「1ポイント!」、と宣言した。


 ドナプは、悔しそうに、僕を睨む。

 


 此で、僕は三回、『星の力』を使い、


 疲れが、徐々に体に蓄積して、僕は肩で息をしながら、額の汗を右手で拭った。


 

 ドナプと僕は、一勝一敗で並んだ、


 次が三回目の闘い、一回戦の最後の闘い、此の闘いで決着が着く、


 勝った者が二回戦に進む。



 審判が手を下ろし、「始め!」、と言った。



 ドナプは、また右手を振りながら、僕に近付いて来た、


 僕は再び、瞳の『星の力』を発動した。



 えっ!



 ドナプの右手は、巨大な盾、彼は盾を降り下ろすように見せ掛け、


 左手に巨大な棍棒、更に、左腕には大きなシールド


 ドナプは、三つのりきを同時に発動していた!


 此が、組!!


 彼は、持ち手を逆に変えて、更に、フェーク迄、混ぜて来た、


 もし、僕に『星の力』が無かったら、僕は絶対に、彼には勝て無い、


 ドナプは、其れ程の実力者だった。



 さて、どうする、僕、


『星の力』は、後、一回が限度、さっきのように、避けながら攻撃しても、右手の巨大な盾と左腕のシールドに塞がれて、通じない、


 隙があるのは、彼の正面だけ、


 ドナプは、右手を振りかざしながら、左手を素早く動かす、


 もう、迷ってる場合じゃ無い!


 僕は決意した!!



 左手に、『星の力』を発動し、彼の巨大なりきの棍棒を受け止める!


 僕の左腕が、薄く翠色に輝き、僕は高速に腕を前に出し、


 バッガアアアアアアンンン!!!


 僕の左腕とドナプのりきの棍棒が激突し、格闘範囲エアオゥロセりきが砕け散る音が響き渡る!


「えっ?」


「わっ?」


「うん?」


 ドナプが、審判が、副審が、ビックリして、声を出し、


 その時、僕は、僕の右手のりきの枝で、思い切り、ドナプの頭をひっぱたいた!!


 スパーーーーーンンンンンン!!!


 本当に軽い音が、鳴り、


「えっ!」


 審判がビックリして、僕を見た、


 ドナプは、呆気に取られて、僕を見ている、


 僕は、限界に近く、片膝を付きながら、審判に、


「えーと、1ポイントだよね、審判」


 審判は、我に返って、


「あっ、そうだと思うけど、何があったの?」


 僕は、ゆっくり立ち上がり、汗を拭きながら、


「僕も、分かんないけど、彼の魔導術のりきが、上手く可動して無かったんじゃないのか?」


 審判は、ドナプを見ながら、


「そうなの? ドナプさん。」


 審判は、ドナプの事をさん付けで呼んだ、やっぱり、彼は有名人なのか?


 彼は、暫く考えた後、諦め顔で、


「まぁ、そのようだ、ちょっと、調子が悪かったのかもしれない、」


 審判は納得した表情で、


「じゃ、ドナプさん、貴方の負けで良いかな?」


 ドナプは、頷きながら、


「あぁ、俺の負けだ、運も実力のうち、仕方無い。」


 審判も、頷き返して、


「分かった、」


 そして、僕の方を向いて、僕を指しながら、



「1ポイント、君の勝ち!」



 君、審判は、僕の名前を知らない、


 まぁ、当然だ、僕は此の学校じゃ、無名の存在だし、


 「じゃ、お互い握手して、別れて、」


 審判が、負けたドナプと握手するように、僕に促す、


 此の、スタイルも、アルバート先生の提案で、北方共和国連合では、普通にする事なんだそうだ、


 負けた人も、勝った人も仲良くって事なんだろか?


 ドナプは、僕の手を握りながら、


「運が良かったな、ハルチカ、でも、二回戦、三回戦は運は通じないぜ、」


 と、笑いながら、話し掛けてきた、


 ・・・やっぱり、僕は、組には恨まれているようだ、



「まぁ、そうだね、」



 僕は、軽く答えて、彼の手を離し、格闘範囲エアオゥロセの外に出た。




「凄いな、ハル、あのドナプに勝ったのか!」


「ジェミオ、」


 格闘範囲エアオゥロセの外に出ると、ジェミオが僕の側に寄って来た。


「そんなに凄い奴なの?」


 ジェミオは、呆れながら、


「ハル、君は、学校の事に興味無さすぎ、彼は、組のナンバー2、『魔王ドナプ』って呼ばれてんだぞ!」


 『魔王ドナプ』!


 ・・・恥ずかしく無いのか?


 まぁ、僕には関係無いし、


「ハル、君はどうやって、『魔王』に勝ったんだ?」


 僕は魔導修練棟の隅の壁の近くに座りながら、


「運が良かった、彼が、何か、魔導術に失敗してくれて、その隙に、彼から追加の1ポイントを取った。」


 ジェミオも、僕の横に座りながら、


「へぇ、『魔王』が魔導術の失敗って、珍しく無いか?」


 僕は、ジェミに首を振りながら、


「彼も人の子、僕が彼の攻撃を避けて1ポイント取った時、結構、興奮してたから、その後、魔導術が失敗して、其れで僕は、連続2ポイントを取る事が出来た。」


 ジェミオは、納得して、


「成る程、格下のハルに1ポイントを取られて、気が焦った、確かに有るっちゃ、有る!」


 ジェミオは、不思議そうに、


「でも、ハル、君って、魔導格闘技アウルトゥオゥロセ、得意だったっけ?」


 僕は、ジェミオに向かって、笑いながら、


「まさか、此の一週間、避ける練習を沢山した成果さ、真っ直ぐに近い攻撃なら、だいたい避けられる。」


 ジェミオは感心して、


「へぇ、凄いね、ハル。」


「まぁね、其より、ジェミ、君はどうだった、一回戦敗退?」


 ジェミは、得意そうに、


「聞いて、驚け、ハル、僕も、一回戦は勝った!」


「・・・えっ!」


「その驚き、失礼じゃないか、ハル!」


 だって、運動があまり得意じゃない、ジェミオだよ、何で、君が一回戦を勝ち抜ける事が出来るの?


「僕も、運が良かった、相手はのコラス・トコナーって弱い奴、そして僕は何故か、そのコラスの攻撃が分かったんだ!」



 ・・・



 えっ!



 攻撃が分かるって!



 『星の力』って事!!



「其れって、何か、特別な力が有るって事、ジェミ!」


 彼は、笑いながら、


「まさかぁ、ハル、そんな都合の良い力なんて無いよ、何となく分かるそんな感じかなぁ、其れに、僕だけじゃ無いぜ、クラスの皆が一回戦、勝ってるんだ。」



「えっ!・・・クラスの皆が、・・・一回戦、勝ったの?」


 ジェミオは嬉しそうに、


「凄いだろ、ハル、もしかして、団体戦の代表は、を差し置いて、我等が、ツェになっちゃうんじゃないかなぁ。」




 僕は唖然とし、




 その時、僕の心には、




 嫌な気持ちがよぎった。




 皆が、強くなってる!



 其れが、僕と関係が有るのか?



 一体、どう言う事!



 どんなに考えても、



 その時の僕には、答えを導く事は、


 出来なかった。


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