思惑
『彼の両手の、翠に輝く光が一瞬、消えた瞬間、・・・』
えっ、魔導ペンが、・・・止まった!
なんだ!
どうした!
「見て、見て!」、「空から!!」、「何だ、何だ!!」
空?
高校生が騒いでいる、空がどうしたって?
私は、魔導本から顔を上げた、
その時、私が見た光景は、
空に幾千の流れ星!!!
スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!
「こ、此れは!」
「其が、私の奇跡の魔導術、そうだろ、ローシィ・レーランド、」
えっ、
私が振り向くと、其処には、美しいオンブレ・プラチナの金髪、気高く、上品な顔立ちと、優しく涼しげなコールドブルーの瞳の持ち主、
ルナリィア・ウェルド殿下!!
殿下の横には、ダークなアッシュ系ブロンドの髪をボサ質感にしていて、更に短めのレングスが大人っぽい印象に見えるが、そのキツイ瞳が、危険な人物の証し、
サーンディ・アーランド上級魔導士
私は、殿下を見た、その耳に着けている星形のピアス、そのピアスも牧場に降り注ぐ流れ星に合わせて、光輝いていた。
?
どう言う事だ?
牧場を見ると、流れ星が渦状に千頭近い野牛に降り注ぎ、
野牛は暴走からゆっくりと渦状に歩き始めた、
その、野牛の渦の中央に立は、一人の男、
スグル・オオエ!!!
再び、私の魔導ペンが動き出す、
『彼は、右手に翠光に輝く剣を持ち、再び、黒き魔獣の元へ向かう! 魔獣は、彼に向かいその魔導術で、体、全体を豪炎の炎で包み彼に襲いかかった!』
えっ!!!
魔導獣!!!
野牛の暴走は、そいつの仕業?
『彼は、その光輝く剣で魔獣を一撃で跳ね返し、更に魔獣の口より放たれた、魔光炎も、彼は一撃で跳ね返す、』
スグル、君は!
異世界の、
魔導士なのか?
『彼は、魔獣に一撃を加えようとした、しかしその彼は、あろうことか、その光輝く剣を閉じ、只、ひたすら、魔獣を見続ける!』
えっ、!
スグル!
お前は、一体、何をするきだ!!
『魔獣は、再び、炎を纏い、彼に襲いかかった、その瞬間、魔獣も、彼も、消えた!』
えっ!!!
消えた?
私の魔導ペンでさえ、捉える事の出来ない、魔導術?
私が呆然としている横を、殿下が通り過ぎる、その時、ルーナ殿下は、囁く、小さな声で、
「彼は、大丈夫だ、」
えっ!
彼?
彼って、スグル?
殿下は、スグルの事を!
知っているのか?
その後、私の横を通り過ぎるサーンディ上級魔導士が、
「書くな!ローシィ!」
えっ、書くなって、何をだ?
その時、殿下は、振り返って私とサーンディに向かって、
「大丈夫だ、サーディ、彼女は野牛に襲われ、牧場を逃げ惑う、太った見知らぬ男の記事よりも、暴走する野牛を止めた、私の事を記事にする、なぁ、そうだろ、ローシィ・レーランド記者」
・・・
ちっ、
彼の事は書くな!
そう言う事かよ!!
殿下はスグルの正体を知っている、
私は、殿下に笑顔を向けて、
「そうですね、ルナリィア殿下、殿下の奇跡の行いの方が読者も喜びますし、」
殿下も、笑顔を私に向けながら、
「では、後片付けだ、」
そのまま、怯えていた高校生に向かって両手を上げながら語る、
「もう、大丈夫だ、諸君!野牛は、大人しく眠った!!」
農園に居た、百人近い高校生が殿下を見た、
そして、
全員が、ルーナ殿下の回りに集まりその瞬間、
ウァアアアアアアアアア!!!
大喝采が沸き起った!!
ルナリィア殿下は、暫く喝采を聞いた後、高校生達に優しく微笑みながら、
「さて、興奮して疲れた野牛は、もう少し寝かせてあげよう、其処で、君達、私は此の素晴らしい農園を、先に見学する事にした、誰か、私を案内をしてくれないか、」
優雅に語り掛ける、ルーナ殿下、
ちっ、本当に絵になる!
高校生達が大騒ぎしてやがる、
そこへ、他の魔導新聞社の記者や、太った農魔省の
カーウス・ラーゲン、教魔省のキャリー・ベネディアが慌てて来た、
牧場周辺は、魔導省の役人達が固めている、
成る程、彼が居る牧場には行かせない、って分けか、
・・・まっ、良いか、仕事、仕事、
殿下も、太っちょは大丈夫だと言ってるし、
本当に、大丈夫だよな、
スグル、
『門』を潜った先は、サバンナだった。
巨大な草原に、巨大な草食動物、
すげぇ、此処なら、此の犬ちゃんも、充分に生きて行ける、
俺は、目線を犬ちゃんまで落とし、彼を説得する事にした、
聞いてくれ、たぶん、君は、あの世界では、また迫害される可能性が高い、でも、此処なら、君は誰にも邪魔される事無く、狩りが出来るし、食べ物も困らない、
此処は、君の楽園だ、
君は、此処で暮らすんだ、
良かったな、
じゃ、俺は、
返るね、
元気でな。
ガシッ!
えっ?
俺が背を向けた瞬間、
彼の左の首が、俺の右手の袖口に噛み付いて、行くな、行くなを繰り返した。
・・・ヤベェ、何か、可愛い、
俺は、彼の方を向き、
どうしたって、聞いてみた、
彼は、
『寂シ、一人、イヤイヤ』
いやいやって、困った。
さて、どうする、
俺の家、寮だけど、飼っちゃう?
勿論、俺は、前の世界や、その前の世界で動物を飼った事はある、しかし、其は、犬や猫の話しで、虎やライオン、熊は動物園でしか見たことが無い。
其よりも知性は有るんだが、何せ、2メータは有る魔導獣、食い物の心配は有るし、
・・・
まぁ、此の場所と、俺の家、両方、往き来出来れば、良いって事か。
農牧高等学校の『門』を閉じて、俺の家と通じる『門』を開け直す。
よし、
俺は開いている『門』の前に立ち、また右手を前に水平に上げて、『門』に触る、そして、
『閉じろ!星の門!!』
シュウウウウウ
『門』は閉じ、俺は、再び、
唱える!!!
『星の門よ!開け!!』
グウゥアアアアアアンンン!!!
ゲホッ!!!
やっぱ、俺の残りの星力、全部持ってかれた、
・・・
俺の右手の指先から、ゆっくりと長方形の翠光の壁面が広がる。
グゥウウウウウウウウウンンン!!!
再び、光翠壁を、横3メータ、縦3メータの大きさで止め、
俺は、彼を手招きし、『門』を指して、一緒に行こうと誘う。
俺が先に『門』を潜り抜け、その後を彼が続く、
俺は、バルセリア魔導高等学校の俺の宿舎の前に立っていた、
俺の後から来た彼は『此処、何処』ってな顔で俺を見る、
俺は、彼に向かって、此処は、俺が住んでる場所、君は此処に何時でも来る事が出来る。
彼は、キョロキョロと回りを見る、
俺は、俺の宿舎を指しながら、あれが、俺が寝泊まりする家、
彼は、俺の家を見ながら、来ても良いのと、俺にきく、
ああ、寂しくなったら、何時でも来てくれ、『門』を何時でも開けておく、
そう言って、俺は『門』の前に立ち、『門』を右手に触りながら、
『認証』
そして、左手の親指で俺を指し、
『門』が一瞬、点滅する、
更に、左手の人指し指で、彼を
指す、
再び、『門』が一瞬、点滅する、此で、此の『門』を通れるのは、俺と彼だけだ。
さてと、後は、此の『門』の固定だ、
開いた『門』を固定する事は、『星隠し』と同じで、俺の星力を耐えず発動する事と同じだ、
つまり、俺は、今までの『星隠し』のうえに、更に『門』を開いく為に星の力を十八割り使い続ける事を意味していて、
えっ?
十八割!!!
俺の限界、越えてないか?
ちょっと凄くない!
俺にとっては、日常的に四十キロの荷物を持ちながら、生活をしなくちゃいけないって事で、
・・・
まぁ、やってみっか、駄目なら、他の方法を考えれば良いし、
俺は『門』を触りながら、
『固定』!!!
と、唱えた瞬間、
グウァアアアアアアアアア!!!
俺の体に、数百キロの重しが!!!
ガクッ、
俺は方膝を着いた、
彼が、心配そうに俺の側に来て、
どうしたのって顔してる、
俺は、彼に左手を向け、
ああ、大丈夫だ、暫く休めば落ち着く、
確かに、少しずつ楽になってきてる、
俺は、ゆっくりと立ち上がった、
ふぅ、汗だくだ、其に、すっげぇ腹へった、
彼は、此方見て、お腹空いたの、ってな顔をした後、『門』に飛び込んだ、
バッ!
えっ?
ダッ!
瞬間、彼は口にカモシカのような、動物を咥えて戻って来た!
早ぇ!!
彼は、そのカモシカを俺の前に置いた、カモシカは既に死んでるし、
良く焼けていた
バチン!!!
ギャアアアアアアアアア!!!
目が! 目が!!
ちっ、ちくしょ!
奴等が、緑の壁の中に入った瞬間、俺とあの犬っころの繋がりが切れて、俺の目に激痛が走った、
俺は、痛む目を押さえながら、怒鳴った、
クソがぁ!
一体、何がどうしたってんだ!!
コーネル、
・・・俺の百の具魔、魔玩獣・ドルディンゾーナが、俺の下玩魔で無くなった、
俺は下玩魔を一人、失った。
頭の良い俺が、悲しそうに俺に言う。
ドルサラ! 何悲しんでやがるんだよ!!たかが犬っころ一匹に!!!
犬じゃない、下玩魔だ!
・・・まぁ良い、聞け、ドルサラ、
お前が心配していた、奴は、俺達の敵じゃねぇ!
?
何を言ってるんだ、バカな俺、見たろうが、あのコーリン・オーウェルの力を!!
彼の力は、一瞬にして我々を塵にする事が出来るんだぞ!!
・・・頭の良い俺、分かってねぇのは、お前だ、奴の力は確かにすげぇ、
だがな、俺、
奴は駄目だ、
奴は、犬っころ一匹、殺せねぇ、
鳥野郎だ!!!
?
バカな俺、彼は、鳥じゃないぞ、
その鳥じゃねぇ!
俺達の世界で、小心者を言う、隠語だ!!
たから、
奴の、対応なら簡単だ、
脅しゃ、奴は、幾らでも、俺達の言う事を聞く、
・・・あの、コーリン・オーウェルがか?
ああ!
・・・確かに、変だ、昔は、もっと冷酷さを感じた、
そうよ、俺、
俺は、沢山のぁあ言う奴を見てきた、家族を助けてくれって泣きながら、俺の言う事を聞いてくれた奴もいた、
奴は、その手の奴だ、
・・・そうなのか?
ああ、そうだ、やはり、俺達の敵は魔導省だ!
そして、ルース!
ルース・ガイアード!!
奴こそが、最大の敵だ!!!
・・・そうか、分かった、
処で、バカな俺、その俺の言う事を聞いた奴は、どうしたんだ?
ん? あぁ、奴か、奴は、言う事を聞かせた後、消した。
・・・下衆だな、俺!
俺は、笑いながら、俺に言った、
誉め言葉、ありがとなぁ!!
俺、