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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
魔導高校編
34/136

天の才能

「ハル、此の味、僅かだけど・・・」


 僕の作ったアイスクリームを味見したエミは、感想を言おうとして、言葉を止めた、


 エミはスグルさんの味に近いと言おうとした、



 此で、僕は確信した、



 スグルさんは、僕にヒントを言った、



 僕達を助けてくれた、力、



 スグルさんの力、



 其れは、魔導術じゃない、



 星、星の力である事を、



 星に力が有る事を、教えてくれた。



「そろそろ、先生にも味見させて欲しいかなぁ。」


 シャーリン先生がスプーンをぶらぶら揺らして、食べさせてと言っている、


「あっ、済みません、先生。」


 エミが慌てて、カップを先生に差し出す、そこへ、


「私にも、食べさせてもらえないだろうか。」



 えっ、ルーナ殿下!



 「殿下!!」



 お付きの人が怖い顔で睨んでる。


 ルーナ殿下は、笑顔を怖い人に向けて、


「サーンディ、彼、ハル君は、私の知り合いなんだ、良いだろ。」



 殿下!!!



 クラス中が騒然とし、



 リアは、


「へぇ、ハルさんは、ルナリィア殿下のお知り合いなんですね。」


 と変に感心している。



 殿下! そんな事、皆の前で、軽々しく喋って良いんですか!



 ・・・別に良いのか、



 殿下の船が落下した事は、皆、知ってるし、


 其れに、巻き込まれた僕達も怪我した分けじゃないし、


 其れに、ルーナ殿下は気さくな性格だし、



 僕は、クラスが大騒ぎしている状況を、静める事は諦めて、ルーナ殿下に、まだ使って無い、僕のスプーンを渡した。



 殿下は少女のような、笑顔で、


「有難う、ハル君、君が作った氷菓子が、とっても美味しそうだから、是非、試食させてくれ。」


 リアさんも、エミからスプーンを受け取って、其れとなく、先生と殿下の間に入って、僕達のアイスクリームを試食している。


 先生は満全の笑みを浮かべながら、


「凄いじゃなぁい!これ、スッゴーク美味しいよ!!」


 と僕達をべた褒めし、



 殿下は、一口、口にした瞬間、


「此の味は、!」


 驚いて、僕の顔を暫く見た後、微笑んで、


「そうか、ハル君、君は、・・・彼からまなんでいるのか、」



 えっ?・・・彼って、



 スグルさんの事?



 まなぶって、どう言う意味?



 僕は、その事をルーナ殿下に聞こうとしたら、先生は、


「じゃ、後は、コーネリアさんだけ、貴女は留学生だから、準備して無いでしょ、どうしますか、やってみる?」


 シャーリン先生が、リアに向かって課題をするかどうか聞いてる、



 リアは直ぐに、


「やります!材料も、エミさんとハルさんに分けて貰いましたし、」


 先生は、ちょっと驚いて、


「そう、じゃ始めて、コーネリアさん」


 アンリが心配そうに、


「御嬢様、」


「大丈夫、私、一人で、出来るわ、貴女も見てて、」


 彼女は、そう言うと、自分のカップを目の前に掲げた瞬間、



 えっ!


 魔導回路!


 其れも、自動処理が最初から組み込まれている回路!


 先生も、皆も、僕も、目を見開いた!



 更に、その上から新しい魔導回路!


 並列処理!!!


 こんな高度な回路生成技術は、まだ僕達は習って無い!



 其れを、簡単に!


 最初の回路が、材料をかき混ぜて、


 同時に新しい、魔導回路が、『熱量変換』を始めている。


 更に、彼女は熱量を一人で制御している!!



 クラス全員が騒然とし、



 先生も、ルーナ殿下も呆然として彼女を見ている、


 材料は、徐々にアイスクリームになりながら、



 えっ、


 もう一枚、



 魔導回路!!!



 あの回路は、『れん』!!


 リアは、『れん』で、味と形を調整している!!



 三次元並列処理!!!


 これって、大人だって出来る人は少ない!



 彼女は、



 彼女は、天才!!!



 スウーッ!


 魔導回路が瞬時に消え、

 

 カップに渦巻き状に綺麗に盛り上がった、アイスクリーム!


 嫌、アイスクリームじゃない、僕達が作ったアイスクリームよりもっと柔らかく、冷たく見える。



 リアは微笑みながら、


「ポワジューレに有るコールジオレの氷ソフトケーキ(ケール・ソーコーデ)を真似してみました、御賞味あれ。」


  挿絵(By みてみん)


 先生は、氷ソフトケーキ(ケール・ソーコーデ)を味見しながら、


「驚いたわね、コーネリアさん、貴女の実力だったらツェ組じゃなく、アー組じゃないかしら、うーん、何か手違いがあったのかしら?」



 その時、黙っていたアンリが、



「御嬢様は、本当はアー組だったのですが、私がツェ組に決まったら、御嬢様も、私に合わせて、クラスを変更なされたんです。」



 えっ!



 クラス中が全員驚いた!


 友達の為に、


 彼女がツェ組になったの、学校の都合じゃなく、自分から希望したの!


 アーからツェに変えるって!


 そんな事、出来るの?


 



 魔導高等学校アウル・バ・ハウゼは、何処も、その入学した時の実力により、クラスが別れている、


 一番才能の有る生徒はアー、次がベーツェDダー・・・と続く、


 そして、此の学校は三クラスしか無いから、他の学校と違ってツェ組は普通か其れ以下の学生のクラスって事になる。



 何故、序列を付けるのか、其れは、教える先生達の都合と事故の防止、



 魔導術を誤って使えば危険であり、実力が有れば有るほど危険性が増す、


 先生が、生徒の実力を見誤ると、生徒が発動した魔導術が暴走した時、先生ですら手に終えない状態になり、


 過去にその暴走が大惨事になった事例が幾つも有る。



 其処で、魔導士協会が、魔導術の指導に対するガイドラインとして、提唱したのが、

 


 アーベーツェのクラス分けだ。



 優秀だが、若くて暴走しやすいアー組の、実技指導する先生には補佐にもう一人の教師が付き、二人がかかりで対応する事になっている。



 そして、万が一、生徒が暴走したら二人がかりで、その魔導回路を、更に上位の魔導回路で、何時でも打ち消す事が出来るように補佐の先生は生徒達を監視する。


 

 僕達のような才能の無い、ツェ組は魔導術が暴走しても、簡単に抑える事が出来るので、先生は一人だ。



 さっき、僕が習っていない自動処理を始めた時、先生が緊張したのも、


 僕達の魔導回路が失敗して暴走した時、直ぐに対処する為、先生はその準備をしていた。



 結果は旨くいったけど、



 たぶん、失敗したら、



 相当、怒られていたと思う。



 シャーリン先生は、首を傾げながら、


「でも、おかしいわね、其れって、協会のガイドラインに違反するし、教魔省の許可が下りない筈よ?」


「御嬢様は、ガイドラインの特例、第二項に該当なされています。」


 

 特例の第二項?



 何、それ?



 リアが慌てて、


「アンリ!」



 先生も、気付いて、


「二項って、コーネリアさん・・・貴女・・・まさか・・・上級魔導士なの!!」



 上級魔導士!!!



 僕達と年の変わらない、


 

 が、



 上級魔導士!!



 クラス中が、



 大騒ぎしている、



 横にいたルーナ殿下も、驚いている。




 先生も、飽きれながら、


「・・・確かに、我が国にも、高校生パールバウゼで上級魔導士に認定されている人はいるけど、交換留学生で、上級魔導士は珍しいわよ、良かったの、うちの学校で、」



 えっ、


 先生が、それ言っちゃうの、


 まぁ、皆、そう思ってるんだけど、



 確か、交換留学生って、


 文化交流って、お金は無いけど、他の国の学校に行きたい人向けで、


 費用は国が負担してくれるんだけど、


 お互い、国の予算でのやりくりだから、受け入れ先の環境は、うちのように余り良くない学校が選ばれていると聞いてる、


 受け入れ先の学校も、受け入れた生徒に対して国から支給される補助金目当だから、待遇が良いわけがない、


 だから、優等生には人気が無いし、本当に勉強したい金持ちは、自費で外国の良い学校に留学している。


 此の交換留学生制度は、最初は二か国から始まり、今年から四か国になった。



 普通の生徒には、人気がある制度だ。



 確かに、上級魔導士ほどの彼女には、うちの学校に来る事は時間の無駄だ。



 先生は、それを心配している。


 

 リアは先生に笑顔を向けながら、


「私は、普通の学生生活を送る為に、留学生になりました、だから、普通のクラスの方が良いのです。」



 また、クラス中が大騒ぎ、



 普通の生活って!


 一体、何なんだ?


 彼女は、今まで、どんな生活をして来たんだ?



 ?



 天才の考える事って、


 ハッキリ言って、良くわからない!



「アッハハハハハハハハ、」



 えっ?


 殿下が、笑ってる。


「成る程、普通の生活か、羨ましいなぁ、私も、高校生パールバウゼの時は、確かに、普通の生活に憧れた。」


 殿下は、リアに近付きながら、


「えぇと、コーネリア嬢、」


 殿下は、彼女が持つ氷ソフトケーキ(ケール・ソーコーデ)をスプーンで一口すくって、口に入れながら、


「殿下!」


 お付きの人が怒ってる、毒とか気にしてんのか?


「うん、美味しい、流石、上級魔導士、私は、貴女が我が国で、普通の学生生活が送れる事を応援しよう。」


 そう言った後、ルーナ殿下は、僕達に向かって、


「君達との時間は楽しかった、だが私は、そろそろ、三年生のクラスに行かねばならない、皆、今日は、楽しい授業を観させてくれて有難う。」


 そして、ルーナ殿下は教室を後にし、僕は直ぐにルーナ殿下の後を追った。


 ルーナ殿下に駆け寄った僕に、お付きの人が怖い顔で睨み、殿下が手で制止た、


「大丈夫、知り合いだ、どうしたんだハル君?」



「殿下!頂けません!!」


 僕は、やはりスグルさんの事が気掛かりで、あの高価な魔導二輪車(モーグサルク)を殿下に返す事に決めた。



 殿下は、忘れているようで、


「受け取れ無いって?」


「あの、赤い魔導二輪車(モーグサルク)です!僕のは中古のボロいヤツで、あんな高価な物じゃ無いんです!!」


 殿下は、思い出したように、


「あぁ、あれか、気に入らなかったのか?済まない、私は、その手の事は執事に任したから、どんな物を彼が君に贈ったかは、知らないんだ。」



 えっ、知らないんですか!



 僕に、何を贈ったかを!



「気に入らなかったなら、交換しよう、だが、中古を探すのは無理だから、また新品になるんだが、」



 違う!


「気に入ってます、でも、あんな高価な物を貰う理由が無いし、僕は、殿下に迷惑をかけてしまった!」



 ルーナ殿下は、困ったなぁ、ってな顔で、


「ハル君、迷惑をかけたのは、私だ、私のせいで、君達を危険な目に合わせ、君の大切な魔導二輪車(モーグサルク)を壊してしまった、だから、私には、君に其れだけの事をする、義務が有ると思うんだが、違うかな、ハル君。」



 ・・・義務って、



「じゃ、スグルさんの事は!」



 殿下はちょっと驚いて、


「彼の事か、あぁ、君は彼の事を気にしていたのか。」



 殿下は、耳に付いているピアスを触りながら、


「ハル君、彼の事はもう良いんだ、私は、彼を信じる事にした。」



 ?


 

 信じる?



「兎に角、ハル君、君に贈った魔導二輪車(モーグサルク)は、私の貯金から出しているんだから、気にする事無く受け取ってくれないか、良いよね。」



 そう言って、殿下とお付きの人は先に行こうとして、


 殿下は、一度、僕に振り返り、ウインクしながら、



「彼、居るんだろ、此の学校に、宜しく伝えといてくれ。」



 そう、僕に言った。




 殿下は、



 スグルさんの事を知っていた!



「ほらね、言ったでしょ、ハルの思い込み過ぎだって。」


「エミ、」



 僕と殿下の話しを盗み聞きしていた、エミが唖然としている僕に、声を掛けてきた。


「此れは、どう言う事なんだろぅ・・・」



 エミは呆れながら、僕に向かって、


「ハル、まだ、分からないの?」


「分かるって?」



 エミは得意そうに、僕に言った。


「殿下は、スグルさんの事、好きだったのよ、だから、好きな人の事、知りたかったから、私達にいろいろと聞いたの!!」




 ・・・



 えええええええええええ!!!




「いい、ハル、たぶん、あのピアス、スグルさんが殿下にあげた物よ!だから、殿下はあんなに、上機嫌なの!!」




 



 ・・・・・そうなの?





「間違いないわよ!」


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