ベルゴンゾーナ
百の魔眼 ドルサラージに覚醒した俺は、魔導省の旗艦、『プリンシブァ』を襲い、その魔導機関から船全体を『操りの魔眼』で支配して、『プリンシブァ』をバルセリアの街に落下させようとした。
しかし、星達の邪魔が入り、船は、バルセリア近郊の広大な牧場に不時着してしまった。
そして、此の船に乗ってる、魔導省の奴等と俺の戦いが始まった。
今の俺は『召喚の魔眼』で召喚した、魔玩兵・ベルゴンゾーナだ。
奴等が、此の魔人に敵う分けが無い、俺は張り切って、奴等を皆殺しにしようとしたんだが、俺に挑み掛かっていた奴等が突如、撤退を始めた!
追うぞ!俺!!
あれは、罠だ、注意しろ、俺!
罠?奴等が、そんなの気にしねぇ、気にしねぇ!行くぞ!!!
・・・
頭の良い俺は、慎重だが、俺はイケイケだ、こう言う時は、ノリが大事、罠は飛び込んで、叩き壊す!!
で、失敗して、殺されそうになったのが、頭の悪い俺。
うるせぇ、兎に角、行くぞ!!
俺は、魔導省の奴等を追って、此の船の外に出た。
外では、あのリナって言うスタイル抜群の姉ちゃんが、散々、俺を殴り付けた、あのでっかい斧を構えて、待ち構えていた。
あの姉ちゃん、一体、何する気だ。
分からん、だが、また、貴重な、我が神からの命が、あの下らない棒に膨大な量が、集まって消えて入る!
ヤイ、キサマら!お前達はまだ、懲りないのか!
我が魔神様が我々に授けられた命の『吐息』が、今我が眠られている魔神様の奇跡の『寝息』となり、その貴重にして高貴、更に、我等の根源の源、それを、その、下らない棒に捧げると言う意味不明の行い!!!
頭の良い俺は、簡単な事をやたら、難しく言うクセが有る、ベルちゃんは、
『オ前ダチ!『魔神様の寝息』!!消ジダ!!!』
うん、実に分かりやすい。
俺は、回りを見渡すと、いるいる、俺の妄想の嫁さん、ルーナちゃんが、こっ汚ない男と一緒に、
えっ、何で? 誰だ、ありゃ!!!
何者だぁ!そっから離れやがれ!!!
誰でも良い!重要な事は、我が魔神様の『寝息』をだな、・・・ちょっと待て、あの男?・・・どっかで?
そうか、所で、リナちゃんの斧が此方向いて光ってんぞ?
その時、リナちゃんが、
「充電完了!行っけえええええええええええええ!!!」、って叫んだ瞬間、
ドッカアアアアアアアアンンンン!
大音響と共に、ベルちゃんの上半身が吹き飛んだ!!!
俺の視点は、三人称に切り替わり、破壊された我が下部、魔玩兵・ベルゴンゾーナを見ている。
おいおい、俺よ、ベルちゃん大丈夫か?
大丈夫だ、彼等は、あれだけ集めた、我が魔神様の『寝息』を、集めた量の半分も使っていない、今、彼等の使って無い、残った『寝息』をベルゴンゾーナは取り込んで、その力で自己の修復を開始した。
修復?
自分で、自分を治す事だ。
へぇ、自分で治せるんだ、流石、ベルちゃん。
しかし、あのこっ汚ない男、何か、ルーナちゃんと言い争ってないか?
男、そうだ! 奴だ、奴、俺は奴を一体何処で見たんだ?
俺は、あんな汚ない奴とは知りあった事ないぞ。
違う、もっと、昔だ!
何でぇ、昔の話しかよ。
それより、何か、ルーナちゃん此方に魔導銃を向けて撃ち始めたぞ、其に、リナも斧をベルちゃんに振り始めた。
ガガガガガガガガガガガ!
ドガン!ガガガガガガ!ドガン!ドガン!
無駄だ、彼等の武器は、我が魔神様の『寝息』を集める事に対しては優れているが、その『吐息』を全て使いきっていない、
此では、我が下部に命を与えてるのに等しい。
良くわかんねぇけど、ようは、奴等が攻撃する程、ベルちゃんが元気に成るって事?
・・・まぁ、そう言う事だ。
ズルリンチョ!!!
おっ!ベルちゃん、完全復活!!!
その時、ルーナちゃんが、
「どうしたら、奴を!奴を倒せるんだ!!」、と叫んだ。
お前達程度での虫けらが、我が下部魔玩兵・ベルゴンゾーナを倒す等、有り得ん!!
その傲慢さを、身を持って後悔、えっ?
あの、汚ない、浮浪者のような男が、ベルゴンゾーナの前に、俺は、視点を切り替えて、はっきりと奴を見た、
伸びてる髭を無くし、長い髪を短くし、丸い体型をスマートにして、
引き締まった筋肉を想像して、奴を見た瞬間、
・・・
・・・
コココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココココーリン・オーウェル!!!!!!!!!!!!
? 何、震えてんだよ、頭の良い俺、コーリン・オーウェルって言やぁ、俺だって知ってんぞ、道化だろ、小さい頃、良く図書館で読んだ。
ちっ、駄目だ、震えて口も利けねぇ、
奴は、調子こいて、ベルちゃんに向かって、
「いい加減にしろよ!」
更に、
「此のザコの曲に!」
と言いやがった!
俺は、調子に乗る奴が、だいっ嫌いだ、
調子、こくんじゃねぇ!てめぇは、邪魔なんだよ!!さっさっと、退きやがれ!!!
って怒鳴ったら、ベルちゃんが、
『オ前ジャマ』
ボッカアアアアアアアンンン!!!
奴をアッパーカットで、殴り付け、奴は天高く飛んでった。
流石、ベルちゃん、見事に奴を吹っ飛ばしたもんだ、おぃ、どうしたベルちゃん。
ベルちゃんは、自分の潰れた右手を不思議そうに見て、『フンガァ?』、と言っている。
でも、俺と同じで、考える事が苦手なベルちゃんは、直ぐに腕を振って、
ズルリ!ポン!!
右手が元に戻った、うん、実に便利なベルちゃんだ。
その間に、高く舞い上がった奴は、一気に落下して、
ドォオオオオオオオンンンン!
牧場の小屋の屋根をぶち抜いて、
ズボォオオオオオオンンンン!
・・・まぁ、即死だな。
馬鹿、俺、あんなんでコーリン・オーウェルが死ぬか!!!
そうか?
あれ、何だ、
あの緑玉、小屋に入っていったぞ。
あれは、『星の欠片』、星がコーリンに何かを運んで来た!
なぁ、頭の良い俺、ちょっと、怖がり過ぎじゃねぇのか?だいたい、絵本の道化だろ、そいつがいたとしても、此のベルちゃんなら、
ヒューウウウウウウウ!!
ズダン!!
あれ?何だ、何だ、視点が二つ、左右バラバラになっちまった?
ベルちゃんも、
『フガァ?』、『フガァ?』
俺も、だいぶベルちゃんの言葉が分かるようになってきた。
ヒューウウウウウウウ!!
ズダン!!
アレッ?
ベルちゃんも大混乱、
『フガァ?』『フガァ?』 『フガァ?』『フガガガアアアアア!!!』
ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!ズダン!
バチン!!!!!!!!!!
いてぇえぇええええ!!!!
俺は、突如、目潰しを食らったような、激痛が目に走り、俺は目を押さえながら、大地に転げ回った!
何が!何が起きた!!!
我が下部の、ベルゴンゾーナが死んだ!
? 嘘こけ! 半分体が無くなっても生きてるベルちゃんが、何で死ぬんだよ!!!
星剣だ、コーリンの数百の星剣が、ベルゴンゾーナを消滅させる迄、切り裂いた。
俺は、目の痛みが引いて来たので、ゆっくりと目を開いた。
俺は、山小屋の前に立っている自分に気が付いた、それは、まるで、今まで、自分がベルちゃんに成ったような夢を見ていた気分で、
そして、息苦しさも戻って来た。
ゴホッ、ゴホッ、ゲホッ!!!
やっぱ、此の息苦しさ、何とかなんねぇかなぁ。
無理だ、此の場所は『魔神様の吐息』が薄いから、
ならよぉ、早く、その『吐息』って奴が、濃い場所に行こうぜ、どっかあんだろ。
濃い場所?・・・濃い場所って、そう言えば、確かに、あの牧場は、あの街は、此の場所よりも、『魔神様の吐息』が濃かった、
だから、ベルゴンゾーナも充分動けたし、俺も息苦しく無かった!
何故だ?
何だ、やっぱバルセリアの街のほうが、濃いのかよ、だったら、さっさと街に行こうぜ、そして魔導省の奴等にカチコミ掛けて、アソコを俺のシマにすっから!
早くベルちゃん出してよ、ベルちゃん!
百体ね!百体ありゃ、勝てっから!
・・・はぁ、・・・本当に馬鹿だなぁ、俺は、良く其で、今まで、生きてこられたもんだ、感心するよ。
?何だ、何だ、誉めてんのか、貶してんのか?
誉めてる、誉めてる、兎に角、あの街にはコーリンがいる、コーリンは、何故か、俺が言う、魔導省の奴等と一緒だった。
だから、今、魔導省にカチコミを掛けたら、絶対、コーリン・オーウェルが出で来る。
そして、ベルゴンゾーナではコーリンには歯が立たないから、俺が負けるのは確定事項だ。
そ、そうなのか?
本当かなぁ?
本当に、あのベルちゃんを殺ったのって、そのコーリン何とかって奴なのか?
間違い無い、星剣を使えるのは、コーリンだけだ、其に、あのガラクタを持ち上げたのが、コーリンの星力なら、納得出来る。
・・・だったら、俺はどうしたら良い!
此のまま、黙ってるのは、俺の性格には、合わねぇんだけどよっ!
黙ってる気は無い、奴等が『魔神様』の貴重な『吐息』を汚している以上、我ら魔人は、奴等に対して、その汚らわしき行いを止めさせねばならない!
・・・そりゃ、其で頑張ってくれ、俺は、俺をコケにしたクソ魔導省を潰して、この国乗っとる程度で良いから、まぁ、ついでに世界を俺の物にしても良いし。
・・・
・・・どっちにしても、其には、膨大は『魔神様の吐息』が必要だ、この世界にある『吐息』を集めるのと、邪魔なコーリンを、何とかしなくちゃならない。
じゃ、どうするか、考えてくれ、考えるのは、頭の良い俺の仕事だ、其を実行するのが、俺の仕事だ。
結局、どっちも、俺がするんじゃないのか?まぁ、良い。
まずは、もう少し、『吐息』の濃い場所を俺の活動拠点にしよう、そうすれば、此の息苦しさが少しは楽になる。
そして、何故、其の場所に多くの『吐息』が有るのかを探る、其が分かったら、我が魔眼の完全なる力を引き出す事も、魔神の三大玩具様を目覚めさす事も出来る。
つまり、まずは、その村を俺のシマにしてから、魔導省にカチコミ掛けて、ルースの野郎をぶっ殺すって事ね。
ちょっと違うが、まぁ良い、それと、今の俺だけでは、コーリンには勝て無い、まずは俺の『下玩魔』の百の具魔を目覚めさせる、
?何だ、そりゃ、そいつら起こすって、どうすんだ?
俺に、分かりやすく説明するなら、俺の舎弟だ、その舎弟が眠ってる場所は、我が魔眼、『繋がりの魔眼』が教えてくれている、お越し方は、魔導省の死んだ二人が教えてくれた、『光』って奴で、魔導回路を作る脳を焼き切る。
舎弟にあれ、やるんだ、気の毒に。
仕方無い、こう『吐息』が薄いと、魔力の低い、舎弟のほうが、まだ自由に動ける、コーリンの監視は彼等にやらせる。
成る程、確かに、顔の売れてねぇ舎弟のほうが動きやすい。
そうだ、やっと理解したようだな、俺、では、俺も、此処から移動するとしよう、あの死んだ二人の仲間が、此方に向かって来ている。
へぇ、そんな事も、分かるんだ、便利だなぁ、魔眼て、使うのにすっげぇ痛てぇけど、
そうだ、我が魔眼は無敵、
そして、その魔眼を持つ、我こそは、
百の魔眼 ドルサラージなり!!
長すぎ、覚えられん、ドルサラな。
・・・
ドルサラ、
まぁ、仕方ない、良しとしよう。