百の魔眼ドルサラージ
俺、ことコーネル・オリゴンは、魔導省との戦いに敗れ、俺は中央山脈を越えて、その麓の村ゴーダトーレスまで逃げた、しかし、その村で俺は魔導省の追っ手に捕まり、殺されかけ、
その時、俺は遥か昔の魔人の英雄、百の魔眼 ドルサラージに覚醒した。
・・・おぃ、頭の良い俺、一体、何してんだ?
『記録の魔眼』で、記録している、そうしていれば、過去に何があったか、直ぐに分かる、便利だ。
・・・頭の良い奴が、やる事は良く分からん、まぁ、良いや、兎に角、追っ手が来るから、早くズラカルとしょぅぜ、俺。
覚醒の激痛に糞と小便を漏らした俺は、シャワーで体を洗い、着替えてさっぱりした。
そんな事、記録しなくていいから!!!
ちくしょう・・・まぁ良いか、
俺を殺そうとした、魔導省の殺し屋の二人は、俺の『石錬の魔眼』で石に錬成して死んだ。
腹が立っていた俺は、その石像を頭だけ残して、叩き壊した、此は、俺を殺そうとした、魔導省と ルースの野郎に対する、俺からの宣戦布告だ。
そして、俺は逃げる為に、拘束されていた山小屋から外に出た、
外に出ても、此の息ぐるしさは、変わらねぇ、
ゼェゼェ、ハァハァ、ゼェゼェ、
超人百の魔眼ドルサラージに覚醒した俺の、唯一の弱点が此の息ぐるしさだ、
此の原因は、此の世界は『魔素』が少ねぇからだと、頭の良い俺が教えてくれた。
奴が言うには、此の『魔素』の濃度で、俺が大技を使ったら、俺は一月は動け無くなるそうだ、
残念、俺は憎い魔導省を、此の力で建物事、吹っ飛ばそうと思っていたのに、
頭の良い俺は、呆れていた。
時刻は真夜中、外は夜、夜空には沢山の星が瞬いていた、
頭の悪い俺でも、此の星の美しさは分かる、俺はガキの頃、親父の暴力で何度も死にかけた、その度に、俺は此の星に願った、助けてくれと、
星は、俺を助けてくれた。
そして、星はまた、俺を助けてくれた。
嫌、違うぞ、俺、助けたのは、此の魔人の英雄、百の魔眼ドルサラージだ。
良いんだよ、気分、気分。
グワアアアアアアアアアアア
その時、中央山脈から、一隻の魔導船が俺の頭上を越えようとしていた、
ありゃ、確か、魔導省の旗艦、『プリンシブァ』、確か公主の娘が乗ってた筈、
俺は、その魔導船を見て、思わず唖然としてしまった、何たる『魔神様の吐息』の無駄遣い、神聖なる魔神様の吐息を!
我等の命の源を無駄に使いおって!!!
だいたい、あの不恰好で、不自然な、『魔神様の吐息』を半分使って、半分汚して捨てる代物は一体何だ!!!
頭の良い俺、ありゃ、魔導機関って奴だ、あの力であの船はお空に浮かんでるんだ、其くらい小学校行ってねぇ俺だって知ってる。
何故、あんなガラクタを浮かす必要が有るんだ!!!
うーん、そりゃ、ドンパチしたいからだろ、俺りゃ、頭悪いから、分からん、なぁ、俺、そんなに気に食わないなら、あの魔導機関、壊しゃ良いだろうがぁ。
壊す!・・・良いのか?あれは確実に落ちるぞ!
かまぁねぇよ! どうせ、クソ魔導省の船だ、逸そう、あの先のバルセリアの街に落としちゃえよ!
街に!・・・何万人が死ぬぞ、
良いんだよ!
悪りぃのは、奴等だ、先に奴等が俺を殺そうとした、だから、俺があの船を落とした、そして、その場所に街があった、街を避けない奴等が悪い。
・・・
・・・そうだな、あんな馬鹿な物を作る、者達は、その愚かしさを知らなければいけない!!
そうだ、そうだ、俺が正しい!
そして、ルースの奴は、責任取らされて、死刑確定な、なんせ、公主の娘も死ぬんだ、ルースも殺されて当然よ!
・・・良く分からん、
まぁ、兎に角、あれは破壊する!
おっけ、おっけ、で、どうやんだ?
こうだ、
グルンチョ!
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!
俺は、目を押さえて転げ回った!
いっ、いっ、いてぇーだろうがぁ!!!
? 痛い? 魔人なのに、痛覚が有るのか?
おかしい、
・・・『魔神様の吐息』が少ない事が、魔眼を使う事も影響しているのか?
ゴチャゴチャ、何、言ってんだよ、いてぇもんは、いてぇの!いいか、次は、使うなら使うって言えよ!!覚悟すっから、
で、何したんだ?
『召喚の魔眼』を使った。
えっ、ちょっと待て、今、目、開けっから、
俺は痛む目から、両手を放し、ゆっくりと目を開いた、
わぁああああああああああああ!!!
なぁ、なぁ、何なんだコイツ!!!
その時、俺が見たのは、
身長四メータ以上、巨大な猿人の巨体にコウモリの顔、頭には巨大な闘牛の角、背には大きなコウモリの翼、尻には蜥蜴の尻尾のような巨大な尻尾。
俺の使い魔、魔玩兵ベルゴンゾーナだ、俺は千の魔玩将だから、此のクラスの使い魔を千体、召喚出来る。
せ、千体って、本当かよ、俺!
ああ、ただ、今は『魔神様の吐息』が少ないから、十体が限界だ。
十体!逸れでも、すっげぇ数字だ、俺よぉ。
では、行くぞ!
えっ、行くって?わぁ!
俺が、俺がバカ面して立ってる!!
今、俺の意識とベルゴンゾーナは同期している、
此が、魔玩兵を使うと言う事だ、
良く分かんねぇけど、すっげぇ、俺が夜明けの空を飛んでんよ!!
逸れに、あんな小っちゃかった魔導船が、どんどん大きくなって、えっ、突っ込むのかよ!!
えっ!
わっ!
ズガガガアアアアアアンンン!!
えっ?
ほ、本当に無茶しやがる、しかし、何だ、船がまるで、紙で出来てるようじゃねぇかよ!
此が、ベルゴンゾーナの力だ。
おっ、そ、そうかい、まぁ、突っ込むなら、突っ込むって最初から、言ってくれよ、驚くじゃねーぇか。
・・・済まない、で、あれが、魔導機関か、
此の、ベルゴンゾーナちゃんが巨大な黒い機械の塊を指しながら、頭の良い俺が、頭の悪い俺に聞いてきた。
うーん、たぶんそうだと、思うんだけど、俺、魔導機関って見た事無いし、
頭の良い俺は、魔眼で、その塊を睨み、
成る程、『魔神様の高貴排泄品』に、この稚拙な、紋を使って、下らん!
ドガン、バカン、ドスン、ガシャン!
頭の良い俺が、怒って、其処ら中の機関に繋がってる色んな代物を壊し始めた。
おいおい、落ち着け、俺、奴等が来たぞ!
俺は、此の機械の塊が有る部屋にぞくぞく来る、白い制服の魔導省の奴等を見ながら警告する。
そして、頭の良い俺は、奴等を指しながら、
お前達は、我々の大切な『魔神様の吐息』を勝手に使い、剰え、その半分を汚して捨てている!その罪は万死に値する!
・・・此のベルゴンゾーナちゃんから出た言葉は、
『オ前ダチ!『魔神の吐息』!!消ジダ!!!』
・・・コイツ、頭、悪いから、
俺は、此の化け物ちゃんが気に入った。
で、俺は目の前に入る魔導省の奴等を見た、いるよいる、今、人気急上昇の御姫様、そして、俺の将来の妄想の嫁さん、ルーナちゃん、
えっ、何だ、あの巨大な斧持っている、ルーナちゃんの横にいる、女!!
なんちゅーう、すっげぇええ、良い体してんだよ!!たまんねぇなぁ!決めた!ありゃ、俺の愛人にする!!
・・・そうか?あれは、星の加護でそう見えるだけだぞ、魔操神人のパルデリア様の方が良いぞ、
魔人は好みじゃ無いの、それより、奴等、騒ぎ出したぞ、どうする気だよ、俺、
勿論、決まってる!
お前達、お前達の罪は、その命を持って、償え!!!!!
ベルちゃんは、『オ前ダチ!死ネ!!』
本当に、ベルちゃんは可愛い。
俺は、ベルゴンゾーナの巨大な腕を此の醜い塊に突っ込んで、『操りの魔眼』を発動した。
此の魔眼は、パルデリア様の劣化版で、膨大な『魔神様の吐息』を使う、普通なら、こんなに簡単に使う事は出来ない魔眼だが、此処には、此の塊が集めている『吐息』が沢山有る!
だから、俺は、此の魔眼で、此の下らない船を操る事にした。
愚か者共よ!我が怒りを知るが良い!!
船が、我が手で勝手に動きだした瞬間、
此の船の奴らは大騒ぎとなり、ルーナと呼んでる娘は、ベルゴンゾーナに二挺の魔導銃を向け、撃ちながら叫んだ、
「リナ!奴を殺せ!!」
ほう、あのスタイルの良い姉ちゃん、リナって言うのか、良いねぇ。まぁ、あの姉ちゃんだけでも、生かすか、俺よぉ。
ダメだ、全員、粛清する!!!
うーん、もったいないが、俺が言うんじゃ仕方無いか。
あの姉ちゃん、随分、でっけえ斧を振り回すなぁ。
バコン!バコン!バコン!バコン!
無駄だ、無駄だ!
此の下らない物から漏れる、『魔神様の吐息』を体全体に覆う事で、我が下部は無敵となる!
お前達は、此の下部に、傷一つ付ける事すら出来ない!!!
我が魔眼は、此の船が向かう先に、一つの街を見つけた、
あれが、俺の言う、バルセリアの街か?
たぶん、そうだ、行った事は無いけど、駅の広場の鐘突搭は、魔導新聞で見た事が有る。
そうか、分かった!
ググググググググググ、
今、此のガラクタを、あの街に向けた、
へぇ、すっげぇーなぁ、流石、俺だ、うん、ルーナちゃんが真っ青な顔して、此の部屋から出て行ったぞ、何でだ?
あの娘は、俺の意図に気付いた、今、何とかしようと、色々している。
おい、おい、大丈夫なのか?
大丈夫だ、此だけ『魔神様の吐息』が溢れていたら、俺、本来の力が出せる、事実、息苦しく無い筈だ、
あっ、本当だ、息苦しく無い、すっげぇ!成る程、此の魔導機関が有れば、俺は無敵って分けか、
こりゃ、俺も、魔導機関が欲しくなってきた、
しかし、コイツを持ち歩く分けにもいかないし、さて、どうしたもんか。
馬鹿な俺、馬鹿な事を考えるな、こんな、我が魔神様を汚す代物等、俺は認めん、うん!
どうした、俺?
今、あのルーナって呼ばれている娘が此の船を壊そうとした、
壊す? あぁ、自爆って奴ね、そう言えば、さっき、全員退去って騒いでたな、そう言う事か。
何故、自爆しようとしているのに、まだ、コイツらは、我が下部に向かって来るんだ。
・・・まぁ、魔導省の奴等って頭が悪いから、逃げるって言葉、知らねえんじゃない。
・・・そうなんだ、変わってるな。
まぁ、街もだいぶ近付いたし、じゃ、盛大に打ち噛まそうぜ、どうせ、俺達は大丈夫なんだろ。
あぁ、まだ、俺の体は、あの山小屋の前で立っている。
おいおい、大丈夫か?魔導省の追っ手とか、
大丈夫だ、俺の魔眼がしっかり監視している、異常が有れば直ぐに分かる。
・・・流石、俺だぜ。
・・・
・・・
・・まだ?
・・・変だ、此のガラクタが持ち上がってる。
えっ?魔導船が、持ち上がってるの?何で?
分からない、外だ!
えっ、外?
俺は、魔眼の視点を船の外に切り換えた瞬間、
天は翠に輝いていた、
スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!
暗黒の雲海を割りながら、天から百を超える流れ星が、
更に星は降り注ぎ、
落下する此のガラクタを中心に渦巻き状に集まっていた!!
スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!スコォーンン!
降り注ぐ流れ星は千を超え、
巨大な光の渦は、ゆっくりとガラクタを持ち上げている!
なぁ!なぁんなんだ!こりゃ!
星だ!星だ!
こんな事が出来るのは、七人の星の使途!!!!
いるのか!奴等が!!!
降り注ぐ星の渦で持ち上がった、ガラクタは、爆煙を上げながら、突っ込む予定の街の上空で、
バガガガガガガ!!!
一番高い、街の中心にある、鐘突搭を破壊しながら、
その船体を、内側に傾けて、円弧を描くように、大きく回転して、
豪炎による豪爆を繰り返しているガラクタは、着実に高度を下げ、広大な牧場の方向へと向かって行った。
ちくしょう!何なんだ!何故、俺の友達の星が、俺の邪魔するんだよ!!
馬鹿な俺、星は我等、魔人の友達には決してならない!何故なら、我等は『魔神様』の玩具だからだ!!!
良くわかんねぇけど、、よぉは、星様じゃなく、『魔神様』が、俺には付いてるって事?
そうだ、
ふーん、そうなんだぁ・・・あれ、
おい、星が変な動きを始めたぞ、
その時、落下するガラクタの廻りで渦を巻いていた、翠の星の光は、
スパーァアアアアアンン!!
一瞬、船から離れ、
星の光は翠から蒼色に変わり、
ヒューン!ヒューン!ヒューン!
離れた星が一斉に艦内に飛び込んだ!
ヤバイ!
俺は、直ぐに此のガラクタの内部に視点を切り換えた、
あれは、『魔吸の彗星』だ!!!
?何んだ、その『魔吸の彗星』って、
我が命、『魔神様の吐息』を消し去る、我等にとって、尤も邪悪な星だ!!!
ええええええ!!!そりゃヤベエ!!!
俺は必死に星を叩き落とそうとしたが、星は素早く、圧倒的に多かった!!!
星達は、暴発する炎を、雷を、氷解を、そして魔素をどんどん吸収し、
俺は、だんだん息苦しくなってきて、
ちくしょう!!!と怒鳴って暴れた!その時、
ガガガガガガガガガガガガ!!!
ガラクタが大地を削ってる!!!
着地したのか?
バキバキバキバキバキバキ!
牧場の柵を破壊してるのか?
ズガガガガガガガガガガガッンンン!
音と、振動が止んだ、
止まったのか?
あぁたぶん、此のガラクタが地面に着地して、止まった。
そうか、
『魔神様の吐息』も失われた、結局、俺は失敗したみたいだ。
いや、まだだ、頭の良い俺、此のベルちゃんが人暴れすりゃ、街も魔導省もコテンコテンに出来る!!
ちょうど、此の船に乗ってる、魔導省の奴等も俺に向かって来て、ヤル気満々だ!!
殺ろぜ、俺!!!
・・・そうか。そうだな、少なくとも、七人の星の使途の存在は、確認しなくちゃダメだ、やろう、頭の悪い俺、
・・・頭の悪いは要らないから。
そう、遠慮するな。
誰が、遠慮するか!!!