集結
ダンバード・グラスタは、死者の巨人に苦戦していた、其れは、アンリー・スウィートも同じだった、
彼等は、巨人の攻撃に、慣れてはいなかった、勿論、飛んで、頭を攻撃しようとしたが、巨人は、素早く腕で頭を庇い、ダンバードの一撃を致命傷にはしなかった、
火力の弱い、アンリーでは、素早く頭を攻撃しても、直ぐに復元する為、巨人の動きを止める事は出来なかった。
バルド・レェーゲンダは、確信した、奴等に、死者の巨人を制圧出来ない、
ならば、チャンス、此処で、奴等、『星の子』共を、始末する!!!
バルドは、『魔剣』を振った、
その瞬間、
再び、500体の死瘴騎士団が復活する、
アンリー、ダンバードは、死者の巨人の脚に、攻撃を移し、此の巨大な死者の動きを止めようとしたが、再び現れた、500体の死瘴騎士団が、彼等に襲いかかり、
アンリーは死瘴騎士団を、ダンバードは死者の巨人の攻撃を防ぐのに、手一杯となった、
オルダスも、死者の巨人を狙撃しようとするも、彼もまた、死瘴騎士団に邪魔され、その隙きに死者の巨人の豪腕が襲い掛かり、其れを避けるのに、精一杯で、
三体目の巨人は、ハルチカ、エミリアに向かって動き出した、
500の死瘴騎士団は、アンリー、ダンバードに300体、オルダスに100体、そして、ハルチカ、エミリアに100体が向かった。
バルドは、自身の勝利を確信した、あの男、ジェミオ・バレットスは動かない、その横の赤毛の女も、必死に杖を動かしているが、死瘴騎士団は止められても、巨人は止められない、
もう直ぐだ、もう直ぐ、お前に戦艦なみの『力』の一撃が、お前に落ちる!!!
かって、お前が、『星』を落としたように!!!
私は、破滅をお前に、落とす!!!
バルドは、興奮して叫んでいた!!!
?
おかしい!!!
奴は、何故、動かない!!
何故、天を見上げているんだ?
バルドは、急いで、天を見上げた、
バ、バカナ!!!
天界、星界に写るは、巨大な星、
かって、太陽になる事を願い、太陽になれなかった、『力』の巨星!
その名は、
木星!!!
その瞬間、
ズダダダダダダダダダアアアン!!!
大気は、抉れ、大地は陥没し、巨大な閃光と雷光が、世界に激走した、その時、
オルダスに襲いかかっていた、死者の巨人は、塵となった!!!
バルドは、叫んでいた!
馬鹿な、そんな事があるか!ボルド・ドーベンダの巨人は、戦艦なみの『力』を纏っている!其れを、一撃だと!!
巨人を、滅ぼした光は、回転しながら、光の投げ手に戻り、
彼女は、其れを、高く翳した右手で受け止めた!
ガシッ!!
其れは、光輝く、柄の短いハルバート!
その持ち主は、背が高く、スタイルは、美しきプロポーションに、巨大な頑強な意思を映し、その、ポニーテールに纏めた、光り輝く、エメラルドグリーンの髪は、風無き風に靡き、
その、深淵を写す、グラスグリーンの瞳は、不屈の意思を表していた、
彼女の名は、
『星に愛されし子供』
ジュピーリーナ・グラシウス
バルドは、愕然とした、あの女は、雑魚だ、雑魚だった筈だ!
何故だ、何故、今、覚醒したんだ!!
バルドは、ハルチカを、再び、凝視した、
あの男、似ている、確かに、あのフレデリック・サィファに、
バルドは、気付く、
ハルチカ・コーデルの、異様さに、
そうだ、奴は違う!
あれ程の、気迫、フレデリックには、無かった、
奴から、奴からは、もっと、もっと、底知れない、力を、力を感じる!!!
奴は、危険だ、其れも、あの方が、世界に再び、降臨したら、
奴は、奴は絶対、あの方の敵になる、
バルドは死して尚、かって自分を、愛してくれた、亡霊の呪縛に囚われていた、
其れは、彼が、此の地に戻れたなら、自分より偉大な存在の、あの方なら、絶対、此の地に戻って来ている、
そう信じようとする、狂気!
死者が、死者を、切望する狂気!!
其れこそが、亡者の常軌を異した思い!
亡者が持つ、捨てられぬ愛への執着!!
世界を変える程の執念!!!
その時、ジュピーリーナは、右手を振った!
ズガァガガガガガガガガガンンン!
ハルチカに襲いかかろうとした、死者の巨人は、その瞬間、砕け散った!!
その閃光が、再び、ジュピリーナの右手に、
ガシッ!!
バルドは、またも、自分が、『星の子』共に、
あの、ジェミオ・バレットスに、
勝てない事を、知った。
再び、ジュピリーナは、右手を振り、
シュン!!
彼女の手から放たれた、雷光は、アンリー、ダンバードが相手をしている死者の巨人に、真っ直ぐに、
ズガァガガガガガガガガガンンン!
最後の死者の巨人が砕け散った時、
アンリーは、ダンバードは、此の巨人を破壊した、相手、ジュピリーナを見た、そのボロボロになった、白い、飛翔騎士団の制服をアレンジした、星翔部隊の制服を確認した時、
二人は、彼女が、自分達の仲間である事を知り、彼等は、残る死翔騎士団の討伐に切替えた。
バルド・レェーゲンダは、本能から、自分が敗北する事を悟った、
彼は、死者の眼球無き眼孔で、ハルチカ・コーデルを見た、ハルチカは、黒く光り輝きながら靡く髪、透明なコールドブルーの瞳は、ただ、バルドを見ていた、
バルドは、意を決する、自分は、刺し違えても、あの男、ジェミオ・バレットスを殺すと、
彼は、『魔剣』を握り締め、彼の特技、最大級の『雷速心』を使った!!
其れは、正しく、高速!
其れは、正に、神速!!
あの男、ジェミオ・バレットスも、我の動きに反応出来ない!!!
己の力に、歓喜したバルドは、『魔剣』を振り上げた時、
目の前に、存在する、男が、別人に気付く、
その男、平凡にして、凡庸、何の取り柄も無い、普通の男が、自分の目の前に、
えっ、
何時、変わった!!!
バルドは、絶叫し、怒り狂いながら、『魔剣』を振り下ろした!
スカッ!!!
しかし、
彼の手は、空を切った。
バルドは、振り下ろす、自分の手を見た、手には、確かに、有るべき、『魔剣』が、自分の手を離れ、目の前の、凡庸にして、中庸の男の手に、
そして、『魔剣』は、消えた!
その男は、簡単に言った、
「あの〜、僕が、ジェミオ・バレットスですけど、」
バルドは、愕然とした、
こ、此の男が、ジェミオ・バレットス!!
我が、『魔剣』を盗む男!!
バルドは、絶叫していた。
その瞬間、遥か、西の歓楽大都市、バンラシアの中心地に有る、庁舎、大都市長室にいた、コーネル・オリゴンも、絶叫していた、
コーネルの横にいた、デリカ・グランチカはびっくりして、
「どうしたの!コーネ!!」
コーネルは、胸を抑えながら、
「くそがぁああ!!!バルドの野郎!!ジェミオ・バレットスに、『魔剣』を奪われやがって!!!」
その言葉に、コーネルの前にいる、シュタイン・バーグは、驚いて、
「えっ、何じゃと!『魔剣』を奪われたじゃと、一体、何が起きた、コーネル!」
コーネルは、額に汗をかきながら、頭を上げ、シュタインを見て、
「あのガキ共だ、あのコーリンのガキ共が、此方の世界に戻って来やがった、そいつ等が、バルドから『魔剣』を奪いやがった、」
シュタインは、眉間に皺を寄せて、
「コーリンのガキ共? コーネル、お前さんが、敢えて助けた、世界の果にいた、あの子供達か? 確か彼等は、あの時お前さんは弱くて殺す価値が無い、そう言ってた筈だが、そんな彼等が、一体、どうやったら、あの化物のようなバルドから『魔剣』を奪えるんだ?」
コーネルは、歯軋りしながら、
「奴等は、・・・奴等は、・・・強くなっている、」
シュタインは、不安そうに、
「強くなってるって・・・コーネル、・・・大丈夫なのか、彼等は、我々を恨んでるんじゃないのか、」
コーネルは、少し怒りを抑えながら、
「まぁーな、恨んでんじゃねぇの、でも、奴等は、俺達が、此処に、此の、西の端のバンラシアにいる事を、知らねぇし、俺は、バルドを通して、奴等を見ている、」
デリカは、嬉しそうに、
「凄いねぇ、コーネは、彼奴等の事が、分かるんだ、で、今は、どうなってんの?」
コーネルは、首を振りながら、
「バルドの野郎、デリカ、オメェが、殺せって言った、金髪の、あのジェミオって奴の女が、現れて、拘束されやがった、」
シュタインは、また、驚いて、
「拘束!!!あのバルドをか、」
コーネルは、頷いて、
「ああ、あの女、『星の鉱石』って奴で出来た、鎖を地面から出して、バルドを拘束しやがった、」
デリカも、頷いて、
「うん、うん、だから、あたい、あの女が、嫌いだったんだよねぇぇ、」
コーネルは、可笑しそうに、唇を歪めて、
「ホントかよ、嘘っぽい気がすんなぁ、」
デリカは、頬を膨らませて、
「ほんとだもん!!!」
堪らず、シュタインが、口を挟む、
「で、どうする気だ、コーネル、バルドが口を割れば、我らの事も魔導省にバレる、バレたら、我等は終わりだそ、」
コーネルは、笑いながら、
「バレねぇよ、シュゥじい、彼奴は、奴等も巻き込んて、彼処で、死ぬんだ、」
そう言って、コーネル・オリゴンは黒眼鏡を外した、
その瞬間、
外した後の、コーネルの瞳は、
白から赤へ!!!
ジュピリーナは、金髪の少女が、現れて、同時に地より出現した、白金の鎖が、骸骨の男を拘束した時、全てが終わった事を、本能が理解し、片膝を大地に着き、大量に吐血した、
チッ、力を無理に使い過ぎた、
彼女は、自分がまだ、完全にあの力を、使いこなしていない事を自覚していて、
気を許すと、意識が飛ばされそうになり、その彼女の霞む瞳に映るは、駆け足で、此方に向かって来る人影、
その人は、長いオンブレ・プラチナの金髪を靡かせ、気高く、上品な顔立ちと、優しく涼しげなコールドブルーの瞳を、此方に向けて、
「リナ!!!」
俺の、守護星が大好きな人、
そして、俺も、大好きな人、
「大将、やっと戻って来たな、」
「リナ、口を利かなくて良い、怪我してるんだぞ、」
大将が、俺の事を、心配してくれている、俺は、笑いながら、
「・・・こんなの・・・カスリ傷ですよ、大将、」
「いえ、凄い、大怪我だと、思いますよ、」
大将の後ろに、あの、普通のガキが、
確か名前、ジェミオ・バレットス、
「待って下さい、」
そう言って、あの平凡なガキが、手を振った途端、
「えっ、」
空中に、数千の宝石が現れ、その宝石が、光り輝きながら、俺の身体に、
「此れは!」
力が、力が戻って来る!!
「其れは、魔石で、彼等が言うには、『星の力』に変わるんだそうだ、しかし、酷い格好だな、リナ、」
「サーディ・・・あんたも、その右手、酷いなぁ、」
サーディが、あのすっげぇ、ガキ達を連れて、俺の処に来て、相変わらずの口調だ、
「まぁ、そっちと同じく、此方も、いろいろとあった、で、何なんだ、コイツは、」
俺は、首を振って、
「分からねぇ、彼奴は、其処のジェミオの名前を呼んで、殺気を出し、妹殿下を殺そうとしやがった、」
ジュピリーナ・グラシウスの報告も、アルベスト・デューレエードと、同じ、意味不明、ルナリィア・ウェルドは、バルドを冷静な瞳で観察しながら、決心する、
「・・・サーディ、彼から、聞き出せるか、奴が何者で、何の為に、ジェミをリィディを襲ったのかを、その真実を、」
サーンディ・アーランドは、ルナリィア・ウェルドの命令に頷き、此の怪しい魔人の正体を探る為、死者の暗殺者、バルド・レェーゲンダに近付き、その頭蓋骨に、自分の左手を乗せようとした、
その時、死者は、笑った、
『魔導省ハ、我等ノ『索心』マデ真似ヲスルノカ、』
その言葉を聞いた、サーンディ・アーランドは手の動きを止め、
「お前、何故、魔導省の機密魔導術、『索心』を知っている!!!」
バルド・レェーゲンダは、冷たく言い放つ、
『オマエ達ハ、何モ見ツケテハ、イナイ、全テハ、アノ方ガ、見ツケタ、』
「あの方とは、誰だ!!!」
サーンディが、その真実を知ろうと、バルドの頭蓋骨を触ろうとした瞬間、
ガタガタガタガタガタガタガタガタ、
バルドは、赤く発光しながら、
『アノ方トハ、偉大ナル、我ガ神、』
「離れなさい!!!」
バシッ!!!
サーディが、『力』で飛ばされた瞬間、
ガラガラガラガラドカーァアアンンン!!!
赤く膨れ上がる、バルド・レェーゲンダを包むように、白い稲妻の嵐が、バルドを包み、
ドガァガガガガガガガンンン!!!
一瞬、暴発と爆音、豪炎を、白い稲妻が喰い千切った後、
スパン!!!
稲妻事、全てが虚空に消えた。
その、白い稲妻の発生した源の場所に立つは、
バルセリア魔導高等学校の学長にして、
魔導皇、名は、
ジェルダ・ルーバッハ
人は、彼女を、こう呼ぶ、
『嵐のジェルダ』と、