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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の子供達編
133/136

英雄の星

 私は、初めて、魔導省が、学校を経営している事を知りました。


 名前は、魔導省特務校アウルデラ・ドウゼと言うそうです、私に、その事を説明してくれた、此の、バルセリア魔導高等学校アウル・バ・ハウゼの、魔導科、1年A組の生徒、アルベストさんは、


「リディア殿下、一応、僕が、彼処あそこに在席していたのは、中学生パールハウゼ迄、ですから、今は、ちゃんと、此の学校の生徒なんですよ、」


「はぁ、」


 私は、意味が分からないので、曖昧に、答えました、


 彼の事は、リナ様から、彼が、実は魔道士協会が認定する、上級魔道士である事も教えて頂き、


 その話を聞いた、私は、


 私より1歳、年下の彼が上級魔道士、


 ため息が出ます、その才能に、


 そのうちに、リナ様とアルさんが、武器がどうのこうのと口論を始めたので、私は、慌てて、二人に言いました、


「あのー、そろそろ、行きませんか、」


 二人とも、少し落ち着いて、アルさんが、私達に、


「リナ副将、リディア殿下、此方こちらです、」


 と、言った後、東の方に歩き始めました。



 歩きながら、アルさんは、私に、


「殿下は、消えた先輩達に会いに行くんですよね、其れって、先輩達が、此処に、戻って来るって事を知ってるって事ですか、」


 私は、頷きながら、


「はい、『約束された子(プロスターチャー)』の皆様は、今日、此の場所に戻って来ます、」


 アルさんは、ちょっと不思議な顔で、


「約束された? でも、何でその、先輩達が戻って来るって、殿下は、分かるんですか? 誰から、先輩達が戻るって聞いたんですか?」


 ・・・


 不思議に思うのも、当然ですよね、でも、私には、真実しか、答える事が、出来ません、


「『星』が、私に、そう教えてくれました、」


 アルさんは、呆れた顔で、


「『星』・・・ですか、」


 その後は、アルさんは、私に、口を聞かず、黙って学校作業員ハウゼ・アルパの宿舎の有る森に案内してくれました。



 その森には、白い汚れたフードを深く被った、人?


 その人が、アルさんに、


『オ前ハ、ジェミオ・バレットス、カ?』


 と、奇妙な声で呟いた時、


 アルさんは、驚いた顔をし、リナ様は、けわしい顔をして、怒鳴り、



「アル!!!  殿下を守れ!!!」



 リナ様の怒鳴り声と共に、



 ドッバババババババババンンン!!!



 巨大な轟音と噴煙が目の前で起こって、

 

 私は、思わず、驚いて、両手で耳を塞ぎ、目は、硬くとじ、しゃがみ込んで、悲鳴をあげていました、



 怖い!!!



 私は、恐怖で震えながら、薄目を開けると、目の前に、アルさんが、そして、その先の、もの凄く巨大な噴煙の中から、現れたのは、


 先にいた、フードを被った人、


 その人の右手には、巨大なおぞましい剣、そして、そのフードの奥の顔は、



 髑髏ドクロ!!!


 その瞬間、


 バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!バガンドガン!


 もの凄い、音と光が、あたり一面に轟き、私は、耳を両手で硬く塞ぎ、ありったけの大声で悲鳴を、再び上げていました。


 音と、光が三度続いて、静かになった時、


 私は、ゆっくりと薄めを開け、



 目に映ったのは、



 アルさんが、倒れる姿、



 私は、びっくりして、アルさんを見ると、


 彼の右足が無く、血が、噴水のように、吹き出して、


 きゃああああああ!!


 私は、その血に驚いて、悲鳴を上げながら、直ぐに、立ち上がり、アルさんを助けようと駆け出し、


 その時、アルさんは、痛み?のため、転げ回っていたような状態から、突如、立ち上がって、血は止まって、


 えっ、


 アルさんの側に駆け寄った、私は此の状態で立ち上がった彼に、びっくりし、


「だっ、大丈夫なのですか!アルさん!!」


 と、かすれた声で、アルさんに、言いました、


 でも、彼は、聞いてません、



 彼の状態が、変です、



 あの、髑髏ドクロの仮面を被った人は、笑いながら、


『魔導省ハ、我々ノ、『澪心レイシン』マデ、真似ヲスルノカ、』



 レイシン?



 あの人は、何の事を言ってるんでしょうか、


 その時、最初に、大きな音と、大きな土煙が起きた、場所から、



「伏せろ、アル!!!」



 リナ様の声が!


 ドン!


 私は、アルさんに突き飛ばされ、視界に地面が近付いた時、


 リナ様の大声と、



 ドッカアアアアアアアアンンンン!!!



 更に、大きな爆発音と突風が、私を襲い、私は、地面に数度、叩き付けられ、其の後、転げ回りながら、何とか、其れ以上、飛ばされないように、必死でこらえ、



 風と煙が、ゆっくりとはれた後、



 ドッバババババババババンンン!!!



 再び、リナ様がいらした辺りから、大きな音と、巨大な土埃つちぼこりが発生し、


 リナ様!!!


 何が起きてるのか、全然、分からない私は、恐怖に震えながら、何とか、立ち上がろと、努力しました、


 でも、恐怖で、足腰に力が入る事が出来ません、


 焦れば、焦るほど、足はもつれ、ほこりがゆっくりと晴れると、


 うつ伏せになった、アルさんが私を、必死の形相ぎょうそうで見ています、



 え?



 私の視界に、あの白い汚れたフードの人が、立ち止まり、私を見ています、そして、其の髑髏ドクロの仮面越しに、喋る言葉は、冷たく、

 

『確カ、女モ、殺セ、ソウ、言ワレタ、』


 殺せ!


 其の人は、そう言うと、私の方を見て、私は、はっきりと分かりました、


 此の人は、仮面を被ってはいない、


 髑髏ドクロその物が、此の人の顔、その物である事を、


 私は、震えが止まりません、


 逃げなくちゃ!!!


 逃げるのよ!私!!



 声が、声が出ません!!!



『オ前ニハ、『星』ノ、ニオイガスル、』



 星の、ニオイ?



 其の人は、私に向かって、あの巨大な禍々しい大きな剣を、振り上げ、



 

『危険ダ、』




 そう言って、私に振り下ろし、




 ました、




 ガッキイイイイイイインンン!!!



「貴方は、自分が、何をしようとしたか、分かっているのか!!!」



 その時、


 私の、


 私の、目の前に、肩までの長い金髪ブロンドなびかせ、手には、月の光のように、白く輝く剣を持つ、其の人は、その剣で、あの禍々しい剣を受け止めていました、



 私は、



 私は、目を疑いました、


 その人の前に、見えるのは、月、その上に輝く七つの星、光輝くのは、七つの星の二番目の星、



 かって、星母せいぼ様が、私におっしゃられた星、

 


 ミザールを背負いし君、



 私の、運命の君が、



 私を、



 私を、助けようと、



 私の前に、前に、



 現れて、います、


 

 私の、瞳から、涙が、涙が止まりません。





 彼は、死する以前、『暗殺者』と呼ばれ、其の一撃の速さは、誰にも、止める事は出来なかった、


 だからこそ、彼は、『暗殺者バルド』と、呼ばれ、恐れられていた、


 だが、今、彼は、驚愕していた、


 此の、突如、現れた若者に、自分の剣が止められた事に、



 バッ!!!



 バルドは、此の若者と、一旦、距離を取った、


 若者は、此処ここで、何が起きていたのか、理解していない為、無理に追撃をせず、視線は、バルドに向けて、外す事はしなかった、


 此の、若者は油断していない、慢心もしていない、バルドには、若者が、実力が有り、だからこそ、冷静に自分を警戒しているのが分かった、


 彼処あそこに転がってるガキとは、絶対に違う、あのガキは、才能が有る為に努力をして無い、だから、応用が出来ず、咄嗟とっさの対応も出来ず、何よりも、自分より優れた存在がいる事を理解出来ていない、


 魔導省の上級魔道士の欠点が見事に出た、ガキ、其の者だった。



 だが、コイツは、違う、俺には分かる、コイツは、凄く努力して実力を付けて来た奴だ、


 そうか、分かった、コイツが、


 ジェミオ・バレットス!


 確かに、危険な奴だ、


 だから、コイツを消せと、私に、()()()は言ったのか、


 バルド・レェーゲンダは、ゆっくりと其の髑髏ドクロの口を開いた、


『オ前コソガ、ジェミオ・バレットス、ダナ、』


 男は、眉をしかめた、


 バルドは、其の表情に、此の男が、ジェミオ・バレットスでは無い事に気付いた、


 では、此の男は何者なんだ、コイツは、誰かに、似ている、



 バルドは、其の時、思い出す、


 かって、自分の憧れだった男、そして、其の男を、自らの手で殺した事を、


 

 魔導省の英雄と呼ばれた男、



 オーランド・グラスタ



 バルドは、押し殺した声で、言った、



『ソウカ、オ前ハ、グラスタ、グラスタ家ノ者カ、ナラバ殺ス、』



挿絵(By みてみん)



 その瞬間、彼は、自らの特技、『シン』、『ライ』、『』の合成魔導術、『雷速心ライソクシン』を発動させた、


 死して尚、その速さ、衰えず、死せる筋肉を『シン』で騙し、壮絶なる高速で稼働させる、魔導術!


 此の、魔導術により、自分は、多くの魔道士の命を狩って来た、其れは、彼に取っては絶対なる自信、彼は信じた、此の魔導術を発動させた時、目の前の若者は、



 死んでいる事を!



 二人の、高速の、目では決して捉える事の出来ない、神の領域の戦いが、開始された、



 此の瞬間、アルベスト・デューレエードは、今、正に、奇跡を見ていた、


 その、想像を絶する、戦いに、正に、自分の目を疑い、自分自身を疑った、


 自分は、一体、何を、見ているのだと!


 アルベストは、自分の才能に絶対の自信を持っていた、此の田舎の、魔導高等学校アウル・バ・ハウゼには、自分より才能が有る人物はいなかった、だから彼は、此の学校の先輩達を、馬鹿にしていた、


 あの、ガルホール・スターゲスでさえ、彼にとって小物であり、ツェ組のダンバード・グラスタは、相手にするのも馬鹿らしい存在だった、


 彼にとっては、仕事だから、近付いただけで有り、それなのに、ツェ組と言うだけで、魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセのレベルの低い予選程度の大会で、ちょっと活躍しただけで、騒がれる事にも、



 彼は、納得していなかった、



 しかし、今、彼は、見ていた、自分より、遥かに格下の男が、其の男が、自分のかなわなかった、化物と、



 互角、嫌、其れ以上の力で戦っている事に、


 彼は、『奇跡のC(ツェルラ・バウル)』を馬鹿にしていた、


 彼は、先輩だから、丁寧な口調で接していたが、内心は、馬鹿にし、見下していた先輩、



 ダンバード・グラスタが、



 その彼が消え、そして、再び現れた事の意味を、


 アルベスト・デューレエードは、理解した、


 ダンバードの力が、魔導術のような、才能に左右される力では無い事を、


 彼が、あの化物の、目に見えない高速の一撃を受け止める事が、出来るのも、彼が、その動きに対応出来る程、努力して来た事を、


 今、努力と才能が、一つに繋がり、ダンバード、彼は、あの化物を凌駕する、一撃を繰り出す事が出来るようになっている事を、



 其れは、彼に取って、納得の、出来ない、奇跡だった、



 彼は、自分の惨めさに、泣いていた。



 

 バルド・レェーゲンダは、『暗殺者』であり、武芸者では無い、彼は、どんな手を使っても、相手を殺す、其れが、彼の信念、


 だから、生き残り、暗殺者と呼ばれた、



 彼は、自分が、殺そうとした、若者が自分より、強く、優れている事を、


 彼は、思い出す、此の力、似ている、


 かって、自分が殺そうとして、殺せなかった、奇妙な力を使う、あの、



 フレデリック・サィファに、



 彼は、本能で知った、自分だけでは、此の男を殺せないことを、



 彼は、『魔剣グゥスソー』を振った、



 その瞬間、



 ダンバード・グラスタの周りに、



 彼の部下として、あの男より貰った、



 10体の亡霊、魔導死、死瘴騎士団が、地の奥底より、出現し、


 ダンバードを取り囲んだ!


 囲まれた、ダンバードは、動きを止めた、



 動きを止めた、ダンバードを見た、バルドは、確信する、



 此れで、此の男を殺せると、



 バルドは、笑った。



 

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