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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の子供達編
129/136

存在する意味

「ジェミ!分かってんのか!!リアが、危険なんだよ!!怪我するかも知んないだよ!!」


 ハルが、僕に言った、


 ハルの怒りも、僕には、分かってる、ハルが怒る理由も充分、分かってる、


 ハルが、怒るだけの理由がある、



 その理由を、僕は知っている、



 其れは、皆に、スグルさんが教えてくれた、僕達が背負っている星の秘密を、僕が皆に話していないからだ、


 たぶん、僕が、その事を話せば、皆は納得するかも知れない、


 嫌、余計、僕の意見に反対するかも知れない、


 たぶん、皆は、混乱し、疑心暗鬼になるかも知れない、そんな危険な賭けを、僕はするわけにはいかない、


 不確定な、情報は、時に猛毒になる、


 だから、僕は、皆に話せない。






 あの時、スグルさんは、僕達にとって、重要な事を僕に教えてくれた。


 僕達は、ハルと共に、運命に導かれた、星を背負っている、


 ハルチカは、破軍の星、アルカイド、


 ダンは、英雄の星、ミザール、


 オルは、知識の星、メラク、


 アンリは、孤狼の星、ドゥーベ、


 エミは、厳粛の星、アリオト、


 そして、僕は、財の星、フェクダ、



 スグルさんは、言った、星が、僕達を選んだ、だから、その星が持つ意味の有る、『星具スタートゥ』が、僕達に託されたと、


 此の後、スグルさんが、言った言葉に僕は愕然がくぜんとした、



 もう、一つの星を背負う者が現れていないんだ、とスグルさんは僕に告げた、



 もう、一つの星?



 スグルさんは、僕達の星は、七つの星が一つになった、『群星の星』、だから、必ず、僕達の目の前に、最後の星、創生の星、メグレズを背負う者が現れると、



 創生の星、メグレズ、



 メグレズを背負う者!



 一体、其れは、誰なんだ?


 スグルさんも、誰だか知らないと、僕に言い、だいたいスグルさんは、根が気楽な人だから、その時、びっくりしている僕に、まぁ、焦らずとも、『星』が動いているんだし、いずれ皆の前に現れんじゃねぇの、って軽く言ってた、


 本当に気楽な人だ、僕達の年齢は、結構、新しい仲間が出来るって、すっごーく重大な事なのに、


 更に、スグルさんは、七つの星は、世界の中心の星の為に存在する、と教えてくれた、


 

 世界の中心の星?



 僕達は、その、『星の中心の下』に行く予定になっている、ハルは、その場所に行く事にこだわっていた、だからその事と関係があるのか、僕は、スグルさんに聞いてみたけど、スグルさんも知らないみたいで、


 答えは、結局、行ってみなくちゃ分からないって言われた、



 スグルさんらしい、答えだった。


 

 スグルさんは、『星』を信じてるから、細かい事は、気にしない、なるように成れって言う考え方を、結構する、


 僕のように、沢山の情報を集めて、その情報を深く検討して、行動するタイプじゃ無い、逆に言えば、だから、僕達は、此処まで来れたし、多くの物を、僕達は得た、


 其れは、たまたま、上手くいったからであり、ある意味、博打だ、



 だから、スグルさんは、商人には向いて無い、


 と、僕は思う。



 でも、僕は、そんなスグルさんが好きだ、尊敬していた、



 スグルさんは、『星の中心の下』で、一人の女の子を助けて、此の世界から消えた、


 その時、僕達は、スグルさんを消した、コーネル・オリゴンって言う人から逃げる為に、『星の遺跡』の遺物を使って、『星の遺跡・竹林(パール・ウォ)』に移転した。



 スグルさんが助けた、女の子の名前は、


 レイティシア・バリデュワ


 愛称は、レイさん、


 年齢は、僕達と同じ、


 紫が入った長い黒い髪に赤い瞳を持つ彼女は、古い血筋で、『星の民の末裔(スターピーディ)』だと、彼女は僕達に教えてくれた、


 メルティスト先生が言うには、『星の民の末裔(スターピーディ)』は、『星の遺跡』を守護する一族で、本来は凄く、排他的な人達だったらしい、


 確かに、レイさんは無口であまり、自分の事を話そうとはしなかった、ルーナ殿下が、彼女にコーネルとの関係を聞いた時、


 彼女は、最初は言うのを躊躇ためらっていたけど、ルーナ殿下の根気強い説得に、


 彼女は、少しずつ、コーネルの事を話始めたらしい、


 詳しい事は、僕達は知らない、知ってるのは、ルーナ殿下とサーンディさんだけだ、レイさんは、コーネルが何故、彼女のムーダ村長ムーダ・パーダに成ったのか、彼が、何にこだわって12の『星の遺跡』を攻略したのかを、


 魔導省の役人でもある、ルーナ殿下とサーンディ上級魔導士の二人にだけ、話したと、僕は、メルティスト先生に聞き、


 先生は、僕達に、たぶん、その話題は、魔導省の機密事項だから、その事についてレイさんと、勝手にするなと、僕達に釘を刺し、


 其れに、僕達は、彼女に気を使って、その話題には触れないようにしていた。


 確かに、僕は、その話題については興味は有った、


 だけど、僕は、彼女が、メグレズの星を背負う人なのかどうか、その事の方が、気になってしかたがなかった、


 彼女は、その運命を背負ってるから、スグルさんは、彼女を助けた、そうも考えた、けど、そう考えるには、不自然な事も多すぎる、


 何故、彼女は、自分がメグレズの星を背負う者だと言わないんだ?


 星が、彼女に伝えてないのか?


 仮に、そうだとしても、星に使命を託されたハルは、何故、彼女の事を、メグレズの星を背負っている者として、認識しないんだ、


 ハルは、彼女を僕達の仲間にする気は無い、



 だいたい、何故、メグレズの星を背負う者だけが、僕達の目の前に現れ無いんだ?



 スグルさんは、物事を深く考えないし、疑う事をしない人だから、たぶん、全ての真実を知らなかったんじゃないのか、



 もしかして、僕達の行動の中に、



 隠された、真実があるんじゃないのか、



 隠された真実、



 ・・・



 僕は、もう一度、僕達の行動を、1から検証する事にした、



 まず、僕達は、最初から、7人だった、


 その7人を指名したのは、誰だ?


 クラスリーダーの、ダンバード・グラスタだった、その時は、ダンはクラスリーダーだから、彼が指名するのは、当然だと、僕も思っていた、


 問題は、何故、僕達、7人なのか?


 まず、ダンは、リーダーだし勝ち負けの責任が有るから、自分が選手になる、其れは分かる、オルはダンの親友だし、責任を分担する意味でも、当然だと思う、


 ハルは、学校の魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセで、あのガルホール・スターゲスと互角の実力を発揮したから、ダンも選手になってくれと頼んだ、


 同様に、リアもアンリも、魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセでは、特にアンリは、武道を習得していたから、結構活躍したし、リアは、上級魔導士だから、軽く相手にしていた、


 だから、彼女等、二人も選手に選ばれるのは当然だと思う、


 エミは、クラスの中では、特に女の子の中では、リーダータイプだし、リアの代わりにドリスを指名したのもエミ、だからダンとしては、エミに選手になって貰う事は、彼は最初から、考えていたんだと思う、


 魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセの男女比は、3対4か4対3がルールだし、



 では、何故、僕は選ばれたんだ?


 僕は、魔導格闘技大会パールドゥアウルトゥオゥロセでもそんなに活躍しなかった、体力だけ考えるなら、同じクラスのヨツハ・バーネンの方が、適任だし、素早さなら、足の早い、バーネル・ホリガーの方が向いてる、


 其れに、僕は、自分が、ダンから、選手に指名された時、全然、自分が選手に向いて無いと思わなかった、


 僕は、だいたい、目立つ事をする事は、好きじゃない、いろいろと、皆に隠れて、商売をしているし、その事は先生や友達にも話して無い、金儲けに興味が有るって話は、世の中を知らない人達には、嫌われるし、人と揉める原因の一つだと、僕は思っている、


 普通なら、ダンからの話は、断っていた筈だ、でも、あの時の僕は、自然と、ダンの誘いを、けた。



 何故?



 僕は、天に輝く、七つの星を見た、七つの星の一つ、フェクダが、明るく、光、輝いている、一際、大きく輝いている、



 ・・・



 そうか、そう言う事か、星は、その時から僕達の運命に干渉していた、そう言う事か、なら、僕は、何の為に、皆と一緒にいるんだろう、皆の荷物持ちをする為?


 其れだけの為だけに、僕は皆と一緒に、此の『星の遺跡』を攻略する事に付き合っているのか?


 もし、僕が、皆と一緒にいる事に意味が有るなら、僕も、此の『星の遺跡』、攻略に対して、荷物持ち以外、出来る事が有るんじゃないのか?


星の秘蔵庫(スタートレェチェ)』って言葉とスグルさんの収納するって言葉で、すっかり荷物持ちだと思ってしまったけど、もしかして、此の、『星具スタートゥ』って武器として、使う事、出来るんじゃないのか?


 僕は、種火から火が燃え上がるように、小さな疑問を切っ掛けに、どんどん疑問が湧き上がり、そして、貪欲に答えを求め始めた。


 一番、手っ取り早いのは、あの、魔牛人アウル・モウメを全て収納したら、僕達は、彼奴等あいつらと戦う必要も無いし、簡単に、『星の遺跡』を攻略出来る、


 試す価値は、有るけど、たぶん無理だな、スグルさんは、此の『星の遺跡』は、僕達が戦士に成る為の訓練所だと言った、其れが、事実なら、そんな、狡い事、此の施設が許すと思えないし、訓練所の意味、無くなるよね、


 じゃ、もう少し、狭めて、彼等が持ってる武器を収納するのは、どうだろ、此れなら、出来るかも知れない、



 そんな事を、僕が、あれやこれやと考えていると、5月30日の雷曜日ラィョルヤ、その日の夜、僕とオルは、ハルに話があると誘われて、一人、自主訓練をしているダンの処へ向かった。


 その時、ハルは、僕達にリアをチームから外したい、そう、チームのリーダー、ダンに言った、


 リアを、チームから外す、


 ハルは、破星の星、アルカイドを背負っている、其れは、戦い、かつことが宿命とされる星、ハルは、此の、『星の遺跡』の試練で、僕達が、ハル自身が強くなったら、あのコーネルと、再び戦う決意をしている、



 其れは、たぶん、命のやり取りをする、危険な行為、だから、星の宿命の無い、リアを、これ以上、もう、巻き込むべきじゃない、そう遠回しに言っている、



 リアは、運命の7つの星と関係無い、


 

 果してそうなのだろか?



 『星』は、僕達が集まる、その時点から、僕達に関与していた、だから、僕は、代表に選ばれた、


 選ばれたのは、7人、


 其処に、リア、



 コーネリア・ロンディーヌもいた、



 そして、天には、創生の星、メグレズは、光、輝いている、



 ・・・



 考えられる事は、一つ、


 その時、オルが、僕に話を向けた、


「其れに、ジェミ、君は、何故、リアの事を何も言わないんだ、君なら、リアの事、一番、良く分かってると、思ってたんだけど、」


 嫌、リアの事は、僕にも分からない、彼女が隠している秘密も、僕には、分からない、


 ただ、分かる事は、僕が、此のチームに存在する事に意味があるように、リアもチームにいる事に意味が有る筈だ、


 僕は、彼等に、言った、


「済まない、ハル、ダン、オル、リアの事は、もう少し、此のままで、やらせてくれないか、」


 オルから、その理由を聞かれても、僕が言える事は、


「ごめん、皆、僕も、確たる証拠は無いけど、リアが僕達の仲間だと言う事に、意味が有るような気がするんだ、」


 の一言で、怒ったハルが、僕に食って掛かる、その時、僕が彼に言った言葉は、


「分かってる、でも、リアが、僕達の仲間でいる事は、凄く重要だと思う、だから、リアの安全は、僕が、僕が命を賭けて、守る!」



 大丈夫だ、僕が、皆の仲間でいる事に意味が有るなら、僕は、リアを守る事が出来る、


 そして、リアが、僕達の仲間でいる事に、意味が有るなら、必ず、リアは、僕達の仲間になる事を選ぶ、


 

 僕達の仲間を辞めるなら、今迄、幾らでもチャンスはあった、でもリアは、辞めなかった、ならば、



 待つべきだ、



 リアが、結論を出すまで。




 次の日、『星の遺跡・神殿』の攻略が開始され、僕は、自分の考えが正しいかどうか、検証する為に、積極的に前に出る事にした、


 まず最初に、思い切って、魔牛人アウル・モウメを収納しようとしてみた、



 ガチン!



 そんな、音が聞こえるような勢いで、頭を弾かれたような感じがし、僕は目眩めまいがして、


 その時僕達は、今、魔牛人アウル・モウメと乱戦中なので、僕は、此れは危険って思い、魔牛人アウル・モウメを収納する実験は、取り敢えず、中止した。



 じゃ、手にしてる、ハンマーは、どうだ、と想い、意識をハンマーに集中させた、


 ズルッ!


 行けるか!


 そう思った時、魔牛人アウル・モウメが、ハンマーを力強く握り、



 パシッ!



 僕は、軽く弾かれような感じで、此れなら、いけるんじゃないかなぁ、と、考えて、よし、練習、って気持ちで、片っ端から、魔牛人アウル・モウメの手に持つ武器を収納する事を、試してみた、


 結局、数百回試してみたけど、一回も成功しないまま、僕達は、『星の遺跡・神殿』のフェーズ2、『試練の間』の前に立ち、僕達は、フェーズ2を攻略する為に、『試練の間』の中に入った、


 その時、オルが僕の事を心配して声を掛けてきたけど、僕は、彼に、大丈夫、とだけ言った。


 そうだ、


 大丈夫、


 たぶん、



 もう、少しなんだ、


 もう少しで、成功する、



 そんな気がする、



 その時、オルの大声が聞こえた、


「あれは、魔弓アウル・デコラだ、皆、下がれ!!!」



 えっ、魔弓アウル・デコラ


 

 確か、北方共和国連合の、飛び道具、


 魔矢アウル・シィータを放つ武器、



 数百の黄金の輝線が目の前に、


挿絵(By みてみん)


 僕は、無意識に、右手をかざし、



 収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!収納!



 スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、



 行ける!やれる!!



 バチン!!!



 えっ!!!!



 限界?



 ゆっくりと、一本の黄金の輝線が、


 僕の、目の前に、


 僕は、身体が硬直して、動かせない、


 皆が、僕の方を見てる、



 ゆっくりと、



 リアの魔導壁が、破壊され、



 僕の、『星の保護(スターガード)』が、打ち砕かれ、



 僕は、覚悟して、



 目を閉じた、




 ドシュツ!!!

 

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