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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の子供達編
128/136

メグレズの星

 魔導暦2035年6月1日の闇曜日デェョルヤ、『約束された子(プロスターチャー)』、彼等は『星の遺跡・神殿』の攻略を開始した。



 先陣を切ったのは、高速に双刀の『星具スタートゥ』、『星狼の双剣スターツゥウルティァン』を己の武器とする、連撃の使い手、


 アンリー・スウィート


 続くは、英雄の星を背負いし、豪と剛の若き英傑、月の秘剣、『月下の秘細剣ムーンスタートゥレイソー』を手に、数十の剣戟けんげきに、数百の、切断された魔牛人アウル・モウメが、舞う、


 その英雄の名は、



 ダンバード・グラスタ



 二人の活躍により、


約束された子(プロスターチャー)』は、『星の遺跡・神殿』の前庭エントランスを抜け、神殿の前室ホールへと向かう、


 その戦いは、激烈げきれつにして熾烈しれつ!!



 彼等、戦う事、3時間、時刻は、夜の7時、


 既に、千を超える、魔牛人アウル・モウメが、魔石アウル・オーダとなり、その全てが、一人に、ささげられていた、



 ささげられし、彼は、



 絶対に負けることを許さない星を背負いし、星に使命を託されし者、


 彼の名は、



 ハルチカ・コーデル



 その、守護星の名は、


 破軍星アルカイド



 星に導かれし彼等、まさしく、


 破軍はぐん!!



 ハルチカの全身をおおうは、数百度の熱気、その熱気が、『星の遺跡』の冷気とぶつかり、吹き荒れるは、瀑蒸気ばくじょうき!!!


 ハルチカはその瀑蒸気ばくじょうきまとい、アンリが、ダンが、オルが打ち洩らした数十の魔牛人アウル・モウメを迎撃しながら、彼は叫ぶ、



『行ケェエエエ!!!』と、



 膨大な、『星の力』が消費され、その量は、ハルチカの盟友、ジェミオ・バレットスが持つ、『星具スタートゥ』、『星の秘蔵庫(スタートレェチェ)』が集める、魔牛人アウル・モウメ魔石アウル・オーダだけでは足りず、


 ハルチカ、『右星の扉(ライトスターホール)』を完全開放させ、その、『破軍星の力(アルカナフォウス)』を、アンリにオルに、ダンに渡し続け、


 その『フォウス』を受けし、アンリー・スウィート、その瞳、真光しんこうに輝かせ、その紫の髪、神光しんこうなびかせ、最早、『星狼の双剣スターツゥウルティァン』は、目で追う事の出来ぬ速さで、無限に湧き出る魔牛人アウル・モウメの首を跳ね飛ばしていた。


 その『フォウス』を受けし、


そして、其れでもまだ足りず、ダンバード・グラスタは、閃光せんこうのエメラルドグリーンに輝き、豪閃ごうせんまといし、『星具スタートゥ』、『星具スタートゥ』を振るも、その刀身は輝く閃光、その閃光に切断されし魔牛人アウル・モウメは、轟音を発して、魔石アウル・オーダになること、



 その数、数百!!!



約束された子(プロスターチャー)』は、進撃する、数百、数千の魔牛人アウル・モウメ魔石アウル・オーダにしながら、



 そして、



 彼等は神殿の回廊コリドールを抜け、遂に、神殿中央、『試練の間(トライアルフィールド)』の門の前に到着した。


 此処に来て、魔牛人アウル・モウメの猛攻撃は、ピタリと止まり、


 彼等は、試練のフェーズ1が終わった事に、初めて気付く、



 時刻は、8時、攻略を開始して4時間、『約束された子(プロスターチャー)』の疲労は、ピークに達し、滝のような汗と、そして、肩で息をしながら、彼等は巨大な門を見上げていた。


 彼等は、思う、その先に有るのは、さら成る試練、


 しかし、彼等に、引くと言う言葉は、無かった、


 引いても、また、同じ事の繰り返し、ならば、進む、進み続ける!



 自分達が、強くなる為に!!


 

 彼等の意思は、固く、ダンバードが言う、


 彼は、額の汗をぬぐいながら、


「此れより先は、たぶん、スグルさんが言ってた、『星の遺跡』の試練、フェーズ2だ、今迄と同じなら、私と、アンリ、エミを狙って来る魔牛人アウル・モウメが3体、」


 ダンバードが、此処で、言葉を止めた、


 オルダス・ホールスが、うん? と言うような表情をして、友である、彼に声を掛けた、


「どうした、ダン、怖じ気付いたのか?」


 ダンバードは、首を振りながら、


「違う、その逆だ、オル、」


 オルダスが、ダンバードに聞き返す、


「逆?」


 ダンバードは、右手に持つ、『月下の秘細剣ムーンスタートゥレイソー』を見詰めながら、


「私は、私は、自分が強くなった!そう確信しているんだオル、だから、」


 彼は、目の前に有る、巨大な門を見詰め、更に、その先に居るであろう、自分達を殺そうとする、自分達専用の魔牛人アウル・モウメを想像し、


「だから、私は、相手が、たとえ、どんな敵だろうと、私は負けない!!!」


 オルダスは、笑いながら、


「そうか、其れなら安心だ、私達は、先に進むことが出来るし、此の、『星の遺跡・神殿』を攻略することが出来る、」


 ダンバードは、後ろを振り返り、破軍の星(アルカイド)を背負いし、『星に愛されし子供(スタラブルチャー)』、



 ハルチカ・コーデルを見る、



 彼の顔は蒼白、流れ出るは、滝のような汗、されど、彼の瞳は、強い意思で光輝き、ダンを見詰め返す、


 ダンバードは言う、


「心配なのは、ハル、君だ、、今迄、此処までの攻略で、かなりの『星の力』を使ったんじゃないのか、持つのか、」


 全員が、ハルチカを注視し、エミリアが、ハルチカの腕を掴み、


「ハル、ハルが無理だったら、引き返そ、・・・私、其れでもいと思う、」



 ハルチカは、笑う、


『大丈夫、我ガ星二、負ケルト言ウ言葉ハ無イ、タダカツダケダ、エミ、』


 エミリアは、ハルチカの顔を、その表情を、清々しい笑みを浮かべている、彼を見て、


「ハル、」


 ただ、名前を呼ぶだけ、


 ダンバードは、ハルチカとエミリアの会話を聞き、その瞳を、コーネリア・ロンディーヌを気遣うアンリー・スウィートに向けた後、彼はハルチカの言葉を思い出し、コーネリアに聞く、


「リア、ハルは大丈夫だと言ってるんだが、君は、どう思う、」


 コーネリアも、疲労の濃い表情を浮かべながら、


「大丈夫よ、ダン、まだ、私は魔導力が使えるし、其れに、今迄、此の先は、『星の力』を使う相手に対する敵が出現する場所フィールド、使えない私の事は、心配無用、」


「お嬢様、」


 コーネリアは、アンリーに顔を向けて、


「ごめんなさい、アンリ、何時も、貴女ばかり、・・・私は、何にも、貴女のこと、手伝うこと、・・・出来なくて、」


 アンリーは、慌てて、


「お、お嬢様、大丈夫です、私、頑張りますから!」


 ダンバードは、頷く、ハルチカの心配は杞憂だ、此の遺跡は、私達、『星の力』を使う者だけを襲って来る、彼女はそんなに危険じゃないし、其れに、私達が頑張れば良い、


 ダンバードは、オルダスに眼差しを戻し、


「じゃ、進んで良いな、オル、」


 オルダスは、頷いて、


「あぁ、行こう、ダン、先頭は、アンリ、そしてダンだ、私とジェミ、リア、エミ、そしてハル、で、中に入ろう、」


「分かった、オル、」、と言いながら、ダンは、『試練の間(トライアルフィールド)』の大門の大扉を押した、


 ギィイイイイイイイ


 大扉の扉は、大きな軋み音をてながら、ゆっくりと部屋の内側に開いた、


 最初に、アンリー・スウィートが、一歩、部屋の中に入り、『星狼の双剣スターツゥウルティァン』を構える、


 次に、『月下の秘細剣ムーンスタートゥレイソー』を斜め下に構えた、ダンバード・グラスタがアンリーの後ろに控え、次に、入ろうとした、ジェミオ・バレットスに、オルダス・ホールスが声を掛ける、


「ジェミ、その、・・・あんまり、気負うな、ジェミ、」


 ジェミは、オルに振り向いて、


「大丈夫だよ、オル、」


 そう言った後、『試練の間(トライアルフィールド)』に入りながら、小さな声で、


「・・・たぶん、」、と呟く。


 その後は、ジェミオ・バレットスの背中を見ている、コーネリア・ロンディーヌ、


 その二人を、心配そうに見ている、エミリア・ドルネッサ、


「ふぅ、」


 ひと呼吸して、心を落ち着かせ、『水星の片眼鏡(ヘルスターモノック)』を、左手で触りながら、右手を光輝かせ、自分が、後方から皆を守る、そう言う気概を持って、オルダス・ホールスが、『試練の間(トライアルフィールド)』に入る、


 そして、最後に、


 全ての、星より使命を託された、


 ハルチカ・コーデル


 彼が、『試練の間(トライアルフィールド)』に入った瞬間、



試練の間(トライアルフィールド)』は、天井高、9メータ以上、此れは、普通の建物の3階相当、広さは、50メータを超える、円形場サークルフィールド、壁際には、コリント式の円柱オーダ、3層、規則正しく並び、


 ハルチカが、『試練の間(トライアルフィールド)』に入った時、


 彼等の、反対側に有る、大門から入って来る、魔牛人アウル・モウメは、4体、



 4体!



 今迄と、違う!



 一体、多い!!



 オルダス・ホールスの背筋に、悪寒が走る、彼は、瞬時に相手を観察する、


 並びは、前に、3、後ろに1、


 前の3体は、右から、3メータ近い巨体、頑強な上半身、丸太のような腕、背には巨大な大剣、


 あれは、ダンバードを狙う、魔牛人アウル・モウメ


 真中の魔牛人アウル・モウメは、2メータ位の背に、全身が、しなやかな筋肉、上半身、下半身共に、バランスの良い体型、両手には、小刀、


 明らかに、アンリーと対峙たいじする為の魔牛人アウル・モウメ


 左側の魔牛人アウル・モウメは、下半身が巨大で、右手には、3メータ近い槍を持つ、今迄の経験から、考えると、あれは、エミリアの『星の力』を破壊する為の魔牛人アウル・モウメ


 あのタイプは、アンリーやダンバードを軽く飛び越えて来るから、私と、リアで相手をしていた、



 ならば、後方にいる4体目の魔牛人アウル・モウメは、


 此の魔牛人アウル・モウメは、異常に太い腕を持ち、左手には細い長い板、



 板?



 最初に、動いたのは、4体目の魔牛人アウル・モウメ、細い板を持つ左手を、斜め上方に構え、素早く、右手を引く!


 あの構えは!


 魔弓アウル・デコラ!!


 オルダスは、思い出す、かって北方共和国連合で見た、魔狩人アウル・ハウラが使っていた、武器、


 オルダスは、叫んでいた、


「あれは、魔弓アウル・デコラだ、皆、下がれ!!!」


 板が、しなり、数百の輝線が左手から板に出現した瞬間、



 全員が、後ろに下がろうとした瞬間、



 ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、ズバッシュ、


 数百の黄金の輝線が、アンリーを、ダンバードを超えて、コーネリアに、ジェミオに、エミリアに降り注ぐ!


 エミリアが、『星時計盤スタークローッ』をかざし、


 ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、


 止まる輝線は、その数、数十、


 ハルチカが、左胸を押さえながら叫ぶ!


『星ヨ!!!!!!!!』


 膨大な星が、ハルチカの左胸に集まり、同時に、胸に切裂かれる激痛が走る、


 その痛みにハルチカは歯を食いしばり耐え、彼は思う、自分が、エミリアを、ジェミオを、コーネリアを救うんだと!!



 ハルチカは、必死だった、



 オルダスは、右手をかざし、輝線を撃ち落とす、そう決意し、


 アンリーは走る!


 4番目の魔牛人アウル・モウメを破壊する為に!


 アンリーの意図を理解した、ダンバードは、彼女に追随し彼女に対峙たいじする両刀の魔牛人アウル・モウメ牽制けんせいする!



 全員が、覚悟を決めた瞬間、



 その時、ジェミオが、右手をかかげた瞬間、


 スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、スコン、


 ハルチカが、オルダスが、エミリアが、その目を疑い、彼等は、一体、何が起きてるか理解、出来なかった、


 嫌、オルダス・ホールス、彼は直ぐに理解した、『星の秘蔵庫(スタートレェチェ)』、ジェミは、彼の『星具スタートゥ』を盾として使っている!


 4体目の魔牛人アウル・モウメの攻撃は、更に、苛烈、激烈になり、もはや、魔牛人アウル・モウメとジェミオが対峙する、そう言っても過言では無い、


 そう言う光景が暫く続いた、瞬間、


 アンリが、対アンリ用の魔牛人アウル・モウメ回潜かいくぐり、魔狩人アウル・ハウラ魔牛人アウル・モウメの首を跳ねた瞬間、



 バチン!!!!!!!!



 一本の輝線が、


 消す事の、出来ない、一本の輝線が、



 ジェミオに向かう、



挿絵(By みてみん)



 ハルチカは、走る、ジェミオを助ける為に、


 エミリアは、『星時計盤スタークローッ』を握り締めて、叫ぶ、



 止まれ!止まれ!止まれ!止まれ!



 コーネリアは、全ての力を、持てる才能の全てを使い、ジェミオの前に『リキ』の壁を作る、



 嗚呼、されど、黄金の輝線、止まらず、



 ハルチカは、自分が夢を見ている、そう錯覚するほど、輝線は止まらず、『リキ』の魔導壁を破壊し、ジェミオの『星の保護(スターガード)』を貫き、



 ゆっくりと、


 魔導防護服アウルプロセルに守られているジェミオの胸を、



 ドシュツ!!!



 撃ち抜いた!!!



 コーネリアは、



 その光景を見た瞬間、



 決断する、



 天に向かい、彼女は絶叫した、


「お爺様!私に、力を!!!」



 天は、答える、


『ヨカロウ』



 その時、天に7つの星が光、その中で一際、光輝く星は、メグレズの星、


 七星、最後の星、その星を、背負いし人の名は、



 コーネリア・ロンディーヌ

 

 

 その両手には、黄金の腕輪、



金の錬金環(ゴールアルケサーク)



 彼女は、ジェミオ・バレットスに駆け寄り、叫ぶ、



星体錬成スターファルマ』!!!


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