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愛する星に、願いを込めて  作者: Hs氏
星の子供達編
119/136

策謀

「でコーネル、此だけの軍勢を揃えて、次に具体的には、何をする気だ、」


 シュタイン・バーグは、コーネル・オリゴンに、今後の予定を聞いた、


「あん、だから、魔導省と戦争するって言ってんじゃん、シュゥじい、カチコミ、戦争な、」


 シュタインは、首を振りながら、


「コーネル、魔導省って言っても、全公国で、地域支部は4、ムーダの支部で数百、派出所だけで数千、一体、何処の魔導省と戦争をするんだ、」


 コーネルも、少し考えて、


「ルースだ、ルース・ガイアード、奴がいる魔導省と戦争する、ってことよ!」


 シュタインは、考えながら、


「儂も、聞いた事はある、本名は、確か、ルーフェンス・ガイアード、通称、『闇のルース』、魔導省飛翔騎士団の団長、だが、飛翔騎士団は、魔導省の上級魔導士の所属部署で、彼等も全公国に散らばっているし、ルーフェンス事態、何処にいるのか、何をしているのか不明だ、」


 シュタインは、コーネルを真っ直ぐ見て、


「そんな相手と、どうやって戦うんだ?」


 コーネルも、そう言や、そうかって顔して、


「公都の本省を強襲するってのは、どうだ、」


 シュタインは、少し考えて、


「・・・公都を、此処から、直接、行けるのか、コーネル、」


 コーネルは、首を振って、


「其は、無理かな、何か、頭の良い俺が言うには、此の『魔剣グゥスソー』で行けるのは、バルセリ周辺と、俺のムーダ大都市ガルマーダベルトリアぐらいだ、って言ってやがるんだ、」


「・・・東部に片寄ってるのぅ、何でじゃ?」


 コーネルも、首を振りながら、


「何故かは、俺にも分からねぇって、よし、俺のムーダに戻って、魔導船で、公都の魔導省にカチコミを掛ける!」


 シュタインは、目頭を押さえながら、思った、コイツは、本当に、只のチンピラだ、


 だが、コーネル、彼の言ってる事は、ある意味で正しい、魔導省は、絶対に我等を生かしては、おくわけがない、其は、我々は、此の世界に来ても、あの魔導省の上級魔導士の対応でも分かるし、コーネルは既に、殺されかけている、


 魔導省ヤツラにとっては、儂等は、殺すべき害虫、絶対に殺しに来る、ならば、どうするかだ、


「分かった、コーネル、先ずは、儂等だけで、お前のムーダに戻るのは、どうじゃ、此の軍勢は、用意が出来たら呼び出す、出来るか?コーネル、」


 コーネルは、額に手を当てて、


「ちょっと待ってくれよ、シュゥじい、頭の良い俺に、聞いてみっから、」


 そう言うと、コーネルは暫く、一人言を言った後、


「出来るってよ、シュゥじい、で、其からどうすんだ、」


 シュタインは、ニヤリ笑いをして、


「先ずは、公都バルドリスと、アブドラ大砂漠にある、歓楽大都市オルガルマーダバンラシアとの、真ん中当たりにある、ムーダを我等の拠点とするんだ、コーネル、」


 コーネルは、不服そうな顔で、


「何で、公都じゃねぇんだよ、彼処あそこには、元の俺のシマだってあんだぞ、シュゥじい、」


 シュタインは、コーネルをさとすように、


「まぁ、聞け、コーネル、公都には、魔導省以外、防魔省の上級魔導士部隊、近衛師団がいる、公都で揉め事が起きれば、奴等迄動くし、更に、暴動鎮圧用の魔導機、数千が配置されている、」


 コーネルは、えっ、てな顔で、


「暴動鎮圧用魔導機、そんなの聞いた事ねぇぞ、」


 シュタインは、頷いて、


「当たり前だ、一般人には知らされて無い、150年前の魔導大戦後、その教訓として、密かに配置された、儂が知ってんのは、その魔導機を開発したのが、我が社の軍事部門だからだ、」


 シュタインは、コーネルに、


「なぁ、コーネル、お前さんが、幾ら強くても、公都で魔導省、防魔省、更に魔導機まで、相手にしてたら、時間が掛かり過ぎるし、奴等も、お前さんに対する対策を打ってきて、お前さんがどんどん不利になるのが分かりきってる、」


 此処で、シュタインは言葉を切って、


「ならば、公都の外で、魔導省だけを相手にした方が良い、近衛師団も魔導機も、彼等は公都の外には出れない、」


 コーネルは、この丁寧な説明に、納得したのか、


「成る程、流石、頭が良い、シュゥじい、で、魔導省とは、どうやって戦争すんだ?」


「だから、ムーダが重要になる、村民を追い出し、公都に行かせ、『違法魔導士』の噂を流させる、そうしたら、黙っても魔導省の奴等は、やって来るし、来た奴等を、コーネル、お前さんが片っ端から始末すれば、良い、」


 コーネルは、喜んで、


「流石、シュゥじいだ、もっと前から、シュゥじいが、俺の相談役だったら、ガラハドス兄弟に、俺は、嵌められなかった!畜生、思い出すだけで、腹立ちやがる!!」


 シュタインは、呆れて、


「コーネル、お前さんは、ガラハドス兄弟と揉めたのか、彼奴あいつらは、魔導省の御用聞きだぞ、だから、公都の利権も一手に握れてるし、魔導省も奴等やつらから甘い汁を吸ってる、そう言う関係を知らなかったのか?」


 コーネルは、頭を掻きながら、


「ほら、シュゥじい、俺、力だけで伸し上がったから、そう言うの疎くて、其に、俺の回りの舎弟も脳筋ばっかだし、」



 ・・・



 本当に、チンピラ、



 公都には、こんなチンピラが、ウジ虫の如く、湧いて出る、そう言う奴等を始末する為に、魔導省はガラハドス兄弟を飼っている、全ては、公都の治安の為、


 その兄弟が、手を焼いて、魔導省迄、動かした、このコーネルは、独学で、魔導を勉強したと言うし、やはり、天才だったのかも知れん、


 もし、コイツが、ちゃんと教育を受けていたら、狩られる側では、無く、狩る側になっていた筈だ、


 いや、今は、魔導省を狩る側か、


 世界とは、皮肉な物よ、



「しゃねぇ、歓楽大都市オルガルマーダを取り敢えず、俺のシマにすっか、」


「バンラシアか、まぁ、金は、必要だが、彼処あそこは、パラドロスって男が仕切ってると聞いたぞ、」


 コーネルは、少し考えて、


「『強欲のパラドロス』か、奴は、金に汚いだけで、小物だ、俺には、問題ねぇ、」


 その時、白いフードを被った骸骨が、


『其ノ、『パラドロス』ヲ、始末スレバ良イノカ?』


 コーネルは、骸骨を見て、


「ん、確かお前、ボルドだっけ?」


『我ハ、暗殺ノ、バルド、ダ、』


「えっ、そうなの、すまねぇなぁ、俺から見ると、おめぇら、皆、おんなじに見えるし、」


『カマワン、デ、誰ヲ殺ス、』


 コーネルは、少し考えて、直ぐに諦めて、


「あぁ、パラドロスは、小物だし、利用価値が決まったらで、良いんだが、どうする、シュゥじい、あっ、ルースのヤロウは、俺が始末するから良いよ、」



 ・・・



 丸投げ、



 まぁ、良いか、



「デリカ、我等が今、立てた計画で、我等の障害となる者を、お前の未来眼で見るんだ、」


「ん、・・・」


 デリカ・グランチカは、袖で涎を拭きながら、慌てた、


「な、な、なぁんなんだょじい、」


 コーネルは、呆れて、


「何だって、デリカ、寝てたのか、」


「ね、ねぇてねぇよ!コーネとじいの話が、難しくて、寝た訳じゃないからなぁ!」


「お前なぁ、難しいって、俺だってシュゥじいの話、分かるぞ、だから、ガキは、ちゃんと、学校行けって、おりゃ言ってんだ、」


 デリカは、ホッペを膨らませて、


「コーネだって、行ってないじゃないか!あたいだって、行かない!!」



 デリカ・グランチカ



 生まれた時から、立つことも、歩く事も出来なかった、薄幸の少女、その生涯は、ベッドで始まり、ベッドで終わる、そう言われた少女、親は、彼女を捨て、彼女は学校にも行けず、公共病院の大部屋の端のベッドで育った。


 コーネルは、彼女に自分の人生を重ね、もう高校生パールバウゼの年齢の彼女に、小学校デ・ハウゼに行けと言い、二人の口喧嘩が始まる。


 この話題になると、二人共長くなるので、慌てて、シュタインが止める、


「兎に角だ、デリカ、お前の未来眼で、儂等の邪魔をする奴が誰かを見るんだ、」


 デリカは、シュタインを睨んで、


「良いのかじい、今、使うと、一週間は使えなくなるぞ、」


 コーネルも、頷いて、


「良いよ、デリカ、見てくれ、俺達の邪魔する奴等をだ、」


 デリカは頷いて、その後、天を見上げた瞬間、デリカの瞳の黒目が消え、青白になり、一人言を呟く事、十分、


「見えた、・・・コーネが逃がした、・・・彼奴等あいつらの・・・一人だ、・・・名前は、」


 コーネルは、納得した顔で、


「俺を、殺すって言ってた、ガキだな、」


 デリカは、ゆっくりと、首を振って、


「違う、その横の、奴、」


「ん?」


 デリカは、瞳を閉じ、肩で息しながら、


「はぁ、はぁ、はぁ、此処までだ、名前は、」



「ジェミオ・バレットス!!!」



「?そいつが、俺を殺すのか?」


 デリカは、首を振って、


「違う、何か、コーネが凄く怒って、そのガキの名前を怒鳴ってた、何か、コーネの嫌な事を奴が、やったみたい、」


 コーネルは、少し考えて、


「俺の、嫌な事する奴、・・・まぁ、消えても、良いかな、じゃ、そいつで決定だ、バルド、そいつを消せ、」


 デリカは、嬉しそうに、


ついでに、奴とイチャイチャしてる、金髪の女な、リアって呼ばれてる奴、そいつも消してな、」


 コーネルは、呆れて、


「おめぇ、もしかして、私情、入ってねぇか?」


 デリカは、再び、頬を膨らませて、


「入って無いもん、ちゃんと、見たもん!」


『分カッタ、デハ、ソノ得物ヲ、貸シテクレ、』



「えっ?」


「おぃ!」


「なんじゃと、」


 コーネルは、怒りながら、


「ふざけんな、こりゃ、俺んだ、てめえに、やれっかよ!」


 バルドに怒鳴った。


『?デハ、此ハ、誰ノ、武器ダ?』


挿絵(By みてみん)


 バルドの右腕には、『魔剣グゥスソー』が、


 シュタインが、驚いて、


「コーネル!此は、どう言う事だ?」


魔剣グゥスソー』が二本、コーネルとバルドの手に、一本ずつ、


「ちょっと待て、『頭の良い俺』に、聞いてっからよ、えっ、そうなの、神さんが、・・・うん、・・・成る程・・・そうか・・・分かった、」


 コーネルは、シュタインに向かって、巨大な6本の剣が刺さった、黒い巨大な山のような物体を指しながら、


「何だか、『頭の良い俺』が言うには、この神さん、ガキなんだそうだ、でな、判断が、面白いか、面白くないかで、神の力を使うから、まぁ、こう言う事も、有るって言うんだよ、」


 シュタインは、びっくりして、


「な、なぁ、なぁんじゃと!!」


 コーネルは、えっ、てな顔で、


「シュゥじい、そんな驚く事か?ガキの神の気紛れで、『魔剣グゥスソー』を、二つに分けてバルドに呉れたんだとさ、神さんがバルドを気に入った、らしいんだよ、」


 気に入った、


 其だけの理由!


 気紛れ!



 気紛れで、願いを叶える、



 其が、神のする事か?


 

 ならば、



「コーネル、じゃ、逆に、神の気紛れで、我々は消されるのか!!」


 コーネルは、当然ってな顔で、


「『頭の良い俺』が言うには、昔は、そんな事もあって、だから、『星の民(ヤツラ)』が、あのコーリンの野郎が、神を寝かせたんだと、」


 シュタインは、愕然とした、彼は、遥か昔、自分が、百の具魔(ヒャトルトゥ)ドルパーチと呼ばれた時代を思い出す、


 かって、自分の仲間がある日、一瞬で消えた事を、また、見知らぬ仲間が一瞬で現れた事を、


 あの時の自分は、知性が低かったから、其が当然だと思っていた、だが、今なら分かる、その危険性を、


 背筋に、冷たい物が走り、


 冷や汗が、滝のように流れ、


 シュタインは、思った、



 この神は、危険だ、



 とてつもなく、危険だ!!



「コーネル!此処は、とてつもなく、危険な場所だ、他の奴等を、此処に来させては駄目だ!神に会わせては、駄目だ!!」


 コーネルは、頷きながら、


「ああ、『頭の良い俺』も、そう言ってる、おぃ、バルド、おめぇ、その剣で、バルセリアの魔導高等学校アウル・バ・ハウゼに行って、ガキ、殺して来い、部下に10の魔導死、連れて行け、」


 バルドは、ゆっくりとこうべを垂れて、



『ワカッタ、』



 そう言って、『魔剣グゥスソー』を振った瞬間、



 バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!


 バルドと10体の骸骨が消えた、



「さぁーてと、俺達も、ムーダに戻っとすっか、魔導省の奴等と戦争すっ為にな、」


 デリカが、嬉しそうに、


「やったあ!やっと、シャワー(ドルサァ)浴びれる!」


 コーネルは、笑いながら、


「そう言やぁ、今日は、何日、なんだ、シュゥじい、」


 シュタインは、胸ポケットから時の魔導機を出して、


「今日は、5月27日の力曜日リィョルヤだ、」


 コーネルは、驚いて、


「そんなに、経ったのか、俺達が遺跡に入ったのが、4月15日、一月以上か、」


 シュタインは、頷いて、


「たぶん、この地のせいだ、此処にいると時間の感覚が狂うようだ、」


 コーネルも、頷いて、


「急いで、戻っぞ、」


 そう言って、コーネルは、『魔剣グゥスソー』を振った瞬間、



 バシュ!バシュ!バシュ!



 三人は、『喪なわれし地平線(ロストホゥ)』から、消えた。



 そして、その地に、残るは、『混沌虫カオスバグ』に侵食され、後、一年の命の幼き、眠れる神、『魔神グゥス』のみ、



魔神グゥス』は、眠り、夢を見る、



 其は、幼き、神の夢、



 切なき、神の夢、

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