スグル・オオエの真実
僕とエミは、春休みにスグルさんと出会った、その時、スグルさんは僕達に、『星の力』、『星導術』を見せてくれた、その力で、スグルさんは、魔導省の旗艦『プリンシブァ』の事故に巻き込まれた僕達を救ってくれた、
スグルさんは、その後、僕の学校の学校作業員となり、僕が『星の力』を使える事を知ると、僕に、『星導術』を教えてくれる事になり、その時、僕は、スグルさんを師匠と呼ぶようになった。
師匠は、僕にいろんな事を教えてくれた、僕の星の事、僕に星が使命を託している事を、『星隠し』、『星具』、そして『星の扉』、
その頃の僕は、一ヶ所の『星の扉』しか開いて無い状態で、他の『星の扉』が開いていないから、『星の力』を上手く使えない、開けばきっとハルは、成長する、そう教えてくれた。
僕は、その師匠の言葉を信じて努力してきた、そして、師匠の言葉は正しかった、
僕は、七人の仲間と、師匠が勧めてくれた『星の遺跡』の攻略に挑戦し、僕は、僕の『星具』、『破星の剣』を手に入れ、二番目の『星の扉』、『右星の扉』が開いた。
僕は、スグルさんを師匠と呼び、信じて来たから、強くなった。
僕にとって、スグルさん、師匠は、偉大な人で、憧れの人で、僕の人生の目指す、目標だった、
その師匠が、スグルさんが、師匠の言う、『星の遺跡』の果て、僕の星が行けと言う、『世界の星の中心』の地で、コーネルと言う男の剣に刺され、
その時、世界から、スグルさんは、師匠は消えた。
コーネルと言う男は、僕等より遥かに強く、僕達は奴に殺されそうになり、ジェミの機転で、僕達は、『星の遺跡』に逃げる事が出来た、
僕は、星の使命は、師匠を消した、コーネルと言う男を、殺す事、そう思った、メルティスト先生が、目を覚ますまでは、
先生は、師匠とコーネルが出会い、あの男が、禍々しい大剣を出した時、気を失った、先生が言うには、先生の特技、『鑑定』が、自分の上限を越えて発動したから、らしい、
先生は、スグルさんとコーネルが出会った時、世界に現れた物が重要だと言う、
皆の語る内容から、見えた物の姿は、
『六の剣が刺された巨大な物、その巨大な物には、虫が集り、その虫は、巨大な物の足元に有る巨大な亀裂から、無限に涌き出ている、』
と、言う内容だった、
先生は、先生の特技、『鑑定』で、僕達が見た物の本質を語った、
巨大な物は、『真理と法則』、『魔の神』、虫は、『混沌と無秩序』、『混沌虫』、虫は神を喰らう、神の天敵で、神の寿命が後、一年しか無い事も、分かった、
そして、先生は、『魔の神』に刺さった剣は、『星』で作られていて、神に『喜びと静かさ』を与える物だと教えてくれた、
その『星の剣』の製作日は、魔導暦0年、
今から、二千年前、
制作者は、スグル・オオエ
師匠だった。
先生は、更に、
「皆、『魔の神』を『魔の人』と置き換えると、何かの話を思い出す筈、」
ジェミが直ぐに答えた、
「『コーリン・オーウェルその改心』」
僕も思い出した、その一節を、
『コーリンが魔人を六本の巨大な剣で、大地に縫い付けて、七本目の巨大な剣を魔人に突き刺そうとした時、勇者は、その手にした剣で、コーリンの尻を刺し貫いた、』
先生は、ハッキリと言った、
「スグルは、コーリン・オーウェル、その人よ、」
ルーナ殿下を、除く、全員が、目を見開き、彼の名を繰り返した、
「コーリン・オーウェル!」
ローシィさんは、首を振って、
「私は、スグルの事を記事にする為に、彼の世界の事を取材したし、彼が嘘を付けば、私の特技、『真実の筆』が気付く、彼の世界、『電気』、『原子力』、『高層ビル』も、真実だった、彼が、コーリンなんて、有り得ない、」
先生が、ローシィを問い詰める、
「じゃ、何故、彼は、そんな異質な世界の人なのに、古代の秘術、『星の力』を使えたの?」
ダンが、自然に、
「スグルさんは、そんな東の国の出身者じゃないんですか?」
オルは、ダンに、
「ダン、其は、スグルさんの嘘だから、皆、気付いてる、」
「えっ、オル、そうなのか、ジェミも、知ってたのか、」
「まぁ、嘘だとは、思ってた、」
ドーリが、嬉しそうに、
「ダン、私も、スグルさんは、東の国の大魔導士、と思ってたょおー、」
・・・
先生は、話を続けた、
「古代魔導学にとっては、コーリン・オーウェルについての歴史は、伝承が広まり過ぎて、真実は、不明点が多く、掴み難から、コーリンの研究は研究者泣かせの一つ、だけど彼には一つだけ有力な仮説が有って其は、彼、コーリンは死んだんじゃなく、有る時点で世界から消えた、と言う説、」
先生は、その仮説に自分の考えを加えて話を始めた、
「魔導暦以降に、彼の伝承が無いのは、魔導暦0年に、彼は、この世界から消えて、スグルの世界に行った、そう言う可能性も有る、其なら、ローシィさんの取材も真実になる、」
「何故、彼は、そんな異質の世界に行ったのか、其は、皆が見た、あの『混沌虫』が涌き出る亀裂に有るんじゃないのか、何故ならあの亀裂の製作日は、魔導暦0年、制作者は、」
先生は、此処で、言葉を止めた、そして、言った言葉は、
「スグル・オオエだから、」
師匠!
「伝承では、7本の『星の剣』を、『魔の神』に刺す予定だった、しかし、何者かが邪魔して、彼は、誤って、7本目の剣で、世界にあの亀裂を開けてしまった、」
「そして、その時、彼が、あの亀裂の中に落ちたとしたら、中は、『混沌と無秩序』、変な世界と繋がっていても可笑しくは無い、」
ローシィさんは、始めて、頷き、先生の意見に賛成して、皆に言った、
「つまり、その後、彼は、混沌の世界を渡り歩き、やっと二千年後の私達の世界に戻って来た、・・・そう言う話なら、確かに、辻褄が合う、でも、私達は、7本目の剣は、見てないし、その剣は何処に、」
先生は、ハッキリと僕達に言った、
「皆は、見てる、7本目の剣を、あの、コーネルと言った男が手にした剣こそが、7本目の『星の剣』、その物、」
ダンが、驚き、
「あの、禍々しい剣が、『星の剣』って、」
「正確には、だったって事、彼が最初に、あの剣を手にした時は、『星の剣』、製作日、魔導暦0年、制作者、スグル・オオエだった、けど、次々と『鑑定』内容が書き換えられて、最後に、『魔の剣』、製作日、魔導暦2035年5月13日、制作者コーネル・オリゴン、それ以上の『鑑定』は、魔素の負荷が酷くて、私には耐えられかった、」
その時、サーディさんが、怒鳴った、
「先生!其は、奴が、神の力を手に入れた、そう言う事なのか!」
先生は、ゆっくりと頷いた、
「そう言う事ね、此は、推測なんだけど、7本目の剣は、スグルと一緒に亀裂に落ち、たぶん、スグルと一体になっていた、だから、私達は、気付かなかった、だけど、あの男は、知ってた、そして、それが自分の剣に、自分の力になるように、魔の神に願った、その結果、神は答えた、」
「此は、あくまでも、私の推測、」
先生は、それ以上は、話さなかった。
「ハル・・・」
エミが、僕の手を握り、僕の名前を言った、
分かってる、僕達は、スグルさんが、コーリン・オーウェルだって事を知ってた、スグルさんは、最初に、僕達に、自分は、コーリンだって言った、
信じなかったのは、僕達だ、僕は、皆に言った、スグルさんの事を、
「皆、聞いて下さい、スグルさんと、最初に会った時、スグルさんは僕達に、自分はコーリンだって、教えてくれたんです、其を、信じなかったのは、僕だ!」
もし、其を、信じてたら、
スグルさんは、僕達にもっと、真実を話してくれたかも知れない、
先生は、首を振りながら、
「安心して、ハル君、スグルは、私にも、自分はコーリンって言ったから、で、私も信じなかった、」
先生は、俯いて、
「私は、スグルが、失われた、『星の大国』の人々の子孫、『星の民の末裔』だと思った、だから、彼は、失われた、『星の力』を使う事が出来る、そう思っていた、」
先生は、苦笑いして、
「だってさぁ、あの、コーリンよ、尻に剣、刺される、コーリンだ、って言われたって、信じられる、」
・・・
僕は、何も答え、られなかった、
その時、ルーナ殿下が、僕達に、ハッキリと言った、
「良いじゃないか、あのスグルが、子供達の大好きな、コーリンと同姓同名だったとしても、逆に考えて、世界中の子供達に愛された遇者コーリンだぞ、凄い事じゃないか、」
その時、ルーナ殿下の笑顔が、殿下の耳に着けてる、星形の耳飾りが、光り輝いて、
僕は、幻を見た、
師匠が、笑っている、
『なぁ、ハル、俺が、何者なんか、どうだって良いんだよ、俺は、ハルの師匠、其だけだ、』
師匠が、僕に、そう語った気がした、
ローシィが、ため息を付いた後、笑いながら、
「確かに、スグルの性格は、ちょっと抜けている処は、コーリンに似てる気がする、」
先生も、笑いながら、
「スグル、確かに、バカだし、」
エミも、
「其に、食べ方汚ないし、リアとジェミが仲良いから、焼きもち焼いて、ジェミを虐めるんですよ!」
ジェミは、驚いて、
「えっ、虐められて無いよ、何か、僕の事、心配してたみたい、」
リアは、首を振りながら、
「ジェミは、自分の事は、無頓着なんです、」
全員が、笑い、
僕は、その時、ハッキリと分かった、
師匠は、師匠は、
皆に、愛されていた事を、
「ハル君、此処からが、本題、良い、良く聞いて、スグルは生きてる、」
えっ、
先生、
「でも、先生、師匠は、彼奴に刺されて!」
先生は、首を振って、
「私の、『鑑定』で、スグルの状態に、怪我なんか、表示されなかった、たぶん、自分で作成した『星の剣』で、自分を攻撃する事は出来ない、そう言う気がする、」
バシュ、ザクッ、
「ハル!!」
エミが、叫び、ルーナ殿下は顔をしかめる、
「ハル君、そう言う事は、先に言ってくれ、皆、ビックリするぞ、」
ルーナ殿下に注意されたが、僕は、僕の『破星の剣』で、自分の手を、ちょっと切ってみた、
確かに、先生の言う通り、手は切れていない、
じゃ、師匠は、何故?
「先生の言う通りだ、じゃ、何故、師匠は、消えたんですか?」
「此も、私の推測なんだけど、あの七番目の『星の剣』は、スグルと一体化してた、其を、コーネルが、『魔の力』を使って、『魔の剣』に変えた為、『星の剣』が世界に存在し無くなり、だから、繋がってる、スグルも、世界に存在、出来なくなった、そんな気がする、」
先生は、僕を、真っ直ぐ、見詰めながら、
「だから、ハル君、あの男と同じ事をしたら、貴方が、あの、『魔の剣』に、貴方の『星の力』で、『星に願い』、もう一度、あの剣に、スグルの『星の剣』として上書きし、そうしたら、彼は、再び、この世界に、認識されるはず、」
認識、
師匠が、
師匠が、僕の、僕の力で、
再び、この世界に、
先生は、厳しい顔で、
「ハル君、其れも、一年以内に、スグルを、あの世界で、呼び戻して、彼に、七番目の『星の剣』を使って、亀裂を修復させないと、世界から、神は消えてしまう、」
僕は、先生に聞いた、
「先生、師匠なら、あの亀裂を、治す事が出来るんですか!」
先生は、頷いて、僕にハッキリと言った、
「亀裂の制作者、スグル・オオエなら、修復は可能なはず、何故なら、あの世界は、私の『鑑定』では、『喪なわれし地平線』、全ての概念が喪われた世界、と表示された場所、それは『神』も『混沌』も同時に存在出来る、思いが現実となる世界、」
先生は、断言した。
「スグルが開けたなら、スグルが閉じるって思えば、きっと、閉じる、あれは、スグルの思いが開けた、亀裂、だから、世界を救えるのは、彼、一人、」
先生は、僕達を見回し、
「皆で、スグルを救い、世界を救う、私は、貴方達なら、出来る、そう信じてる、」
その時、
僕は、
理解した、
星に託された、使命を、
師匠を救い、
世界を救う事を、